土地活用としての「コインパーキング事業」を考える(1)
時代に支持されるコインパーキング事業
公開日:2016/09/30
バブル崩壊がコインパーキングのきっかけ
コインパーキング事業が土地活用の一環として考えられるようになったのは、1990年以降いわゆるバブルがはじけてからです。
空き地が増え、「この土地をどうするか」と多くの人が土地活用を考えました。ちょうど「コインパーキング」の仕組み自体が世の中に登場したタイミングと重なり、土地オーナー様の土地活用の一環として、一気に増えていきました。
また、ちょうどそのころ、街中に路上駐車が増え、それが原因で子どもや高齢者の飛び出し事故が増加し、交通事故で亡くなった人や怪我をされた方は少なくありませんでした。
さらに当時は、空き地にごみを捨てる人も多く、地域社会の問題となりました。中には自転車や畳などの粗大ごみまで捨てる人もいたほどです。
また、手入れされず雑草が生えたままの土地も多く、蚊や虫が大量に発生し、近隣の人たちから苦情や抗議が絶えないところもあったようです。
そうした土地をコインパーキングにすることで、土地はきれいに舗装され、しかも土地オーナー様には毎月の賃料が手に入るわけですから、このような地域社会問題の解決策として、コインパーキング事業は、土地オーナー様はもちろん、近隣の住民の方々にも喜ばれました。
ドライバーのマナー向上もコインパーキング事業を後押し
当時、土地オーナー様にとっては、コインパーキング事業というのは、あくまで「仮の姿」であり、景気回復後は建物を建築するものであるというのが一般的な考えでした。
それから20数年経っても、今のようなかたちでコインパーキング事業は継続しています。
それは、時代の流れとともに、道路交通法の改正などもあり、違法駐車や迷惑駐車に対する意識が変わったことがあげられると思います。
今では、ドライバーの方のマナーが非常に良くなっていると感じますし、実際、警察庁交通局のデータでも、東京、大阪の「瞬間路上駐車台数」は、ここ十数年、かなり減少しているようです。
出典:東京都特別区及び大阪府における瞬間路上駐車台数の推移(平成12年~22年)
とは言っても、まだまだ路上駐車は存在していて、路上駐車している車両が邪魔して、有事の際、消防車が入ることができなかったり、事故の可能性があるといった問題を抱えている地域もあります。
本格的土地活用の助走期間としてのコインパーキング事業
もう一つ言えるのは、コインパーキング事業は本当に短期ですぐにスタートできるということです。最初に土地オーナー様にご提案させていただいてから、早い人はその場で決定をしていただけます。そうすると、1ヶ月後にはコインパーキングとしてスタートができて賃料を得ることができるわけです。
また、解約したい場合は、(大和ハウスパーキングの場合)2ヶ月前までに書面にてお知らせいただければ、解約する事ができます。
土地オーナー様からもっともお聞きする声は、コインパーキングで土地活用を行いながら、将来の運用に関して、じっくり考える時間ができて良かったということです。
今日は、社会の変化が非常に早く、土地活用の選択肢が非常に多くなっていますから、本格的な土地活用を始める前に、本当にマンションでいいのか、オフィスビルがいいのか、小売店を誘致したほうがいいのか、あるいはアパートがいいのか、稼働率はどうなのかなど、しっかりと検討していただく必要があります。
一旦コインパーキングにしておいて、その間に考えることができるわけです。
以前、大和ハウス工業株式会社と一緒に取り組んだ事例ですが、最初土地オーナー様は、アパート経営を模索されていました。
しかし、調べていくと近隣のアパートの稼働率が年々落ちていることが分かり、将来の運用を考えるために、当面の間、コインパーキング事業で土地を活用される事を選択されました。
その後、4年ほどコインパーキング事業を行われたのですが、大和ハウス工業株式会社からの提案で、その土地に保育所を建築することになりました。土地オーナー様は、利回りもさることながら、保育所は地域貢献にもなるということで、保育所の建設を決断されました。
保育所は、認可申請など非常に時間もかかりますので、実際に建築を開始するまで、コインパーキング事業によって賃料収入があるというのは、非常に大きいメリットになったのです。