賃貸住宅の入居率と平均居住期間について
公開日:2018/03/31
賃貸住宅に住む方の平均居住期間はどのくらいでしょうか?
賃貸住宅の入居者に多いのは、学校の近くに住みたい学生や、親世帯から独立し、就職する際に新たに住宅を借り、その後新しい世帯を持つ(結婚する)までの単身者ではないでしょうか。また、結婚して世帯を持って以降も、例えば子どもが生まれるまで、あるいは貯金が貯まるまでは賃貸暮らしをする夫婦も多いでしょう。
平均居住期間(全国)
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「日管協短観(2017年度上期」より作成
上図は、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の2017年上期集計のデータです。
これを見ると、学生の賃貸住宅の平均居住期間で最も多いのは2~4年となっています。専門学生、短大生は2年間、大学では4年というのが一般的なのでしょう。また、4年制大学の学生でも単位を全ての取得した学生などは、4年生の途中で自宅に戻るという例もあるようです。
学生の平均居住期間で最も多い2~4年の割合は、2017年上期87.7%となっていますが、2016年上期は76.4%、2015年上期は74.4%でしたので、2017年上期は、その割合が大きく増えたことになります。
一方、ファミリーは2~4年が最も多く約6割を占めますが、4~6年が約32%、6年以上が約16%となっており、ある程度の期間、同じ賃貸住宅に住んでいることがうかがえます。また、65歳以上の高齢者は6年以上が大半となっています。
次に、入居率について見てみましょう。
入居率と滞納率
■入居率(%)
全体 | 委託管理 | サブリース | |
---|---|---|---|
首都圏 | 95.7 | 95.4 | 96.2 |
関西圏 | 93.8 | 93.8 | 94.6 |
その他 | 91.9 | 91.9 | 93.0 |
全国 | 93.8 | 93.4 | 96.0 |
■滞納率(%)
月初全体の滞納率 | 月末での1ヵ月滞納率 | 月末での2ヵ月滞納率 | |
---|---|---|---|
首都圏 | 6.5 | 3.5 | 2.0 |
関西圏 | 8.6 | 3.1 | 1.1 |
その他 | 9.2 | 3.4 | 1.8 |
全国 | 8.2 | 3.4 | 1.8 |
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会による当協会会員(賃貸住宅管理会社) へのアンケート調査結果。
回答社数:1,207社(管理会社)中125社
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「日管協短観(2017年度上期」より作成
空室率については、いくつかのデータでは、20%を超えるかなり高い数字を調査データで出しているところもあります。しかし、この日本賃貸住宅管理協会会員企業へのアンケート調査では、入居率の全国平均は93.8%となっています。逆算すると空室率は6.2%となります。この差は、以前本コラムでも書きましたが、空室率の計算の方法の違いからです。
相対的に入居率が高いと思われる首都圏においては、全国平均に比べて2ポイント近く高くなっており、入居率は95.7%となっています。関西圏の入居率は93.8%、その他の地域ではやや少なく91.9%です。
一方、サブリース契約物件の入居率は委託管理物件よりも総じて高くなっており、首都圏においてサブリース物件の入居率は96.2%、関西圏は94.6%、全国平均でも96%となっています。
サブリース契約を交わしている物件の入居率が高い理由として、
1)サブリース会社が契約時に物件を精査しており、入居者が付きにくい物件はサブリース契約を引き受けていない。
2)サブリース契約をしている物件は、サブリース会社も空室リスクを負うため、入居者客付け活動を熱心に行っている
等の理由が考えられます。(すべてがこれに当てはまるとは限りません)
次に滞納率ですが、一般的な滞納イメージの「月末ベースで1カ月の滞納」を見てみると、全国平均で3.4%となっています。これは、首都圏、関西、地方であまり大きな違いはありません。
サブリース契約については、様々な議論がありますが、このデータをみる限りでは、賃貸住宅オーナーにとってかなり有効な契約だと思われます。空室期間が長くなると、サブリース契約の見直しが行われる可能性ができてますが、需要が見込まれ、適切な賃料設定を行えば、こうした家賃下落リスクも少なると思われます。
- 【賃貸住宅における一括借上に関する注意事項】
- ○賃貸住宅を賃貸する場合、借主(サブリース会社を含む)による一定の条件があります。
- ○賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合があります。
- ○また改定時期にかかわらず、物価・経済状況の変動や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相当になった場合も、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合もあります。
- ○賃料改定の協議が、賃料の改定期日以降に整った場合は、改定期日に遡って改定されます。
- ○賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責期間が適用される場合があります。
- ○また、建物や設備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負担いただく費用があります。
- ○なお、賃貸借契約期間中においても解約になる場合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場合には正当な事由が必要となります。