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コラム vol.260-1
  • 不動産市況を読み解く

2019年からの税制度改革(1) 個人版事業承継税制

公開日:2018/12/25

POINT!

・2019年より「個人版事業承継税制」が創設される見込み

・土地相続に関する税の優遇(特例)を一部見直しすることも検討されている

「個人版事業承継税制」が2019年から適用される

毎年年末になると話題になるのが、次年からの税制度の改正です。税制度については、各省庁が政府・政府税制調査会に申請し、審議を経て、実際の制度となる流れですが、2019年から、事業承継の際の土地・建物などにかかる相続税・贈与税が猶予される制度、いわゆる「個人版事業承継税制」が創設される見込みです。
個人版事業承継税制とは、個人事業主が事業承継をしやすい状況をつくるための税優遇制度で、後継者が事業を継ぐとき、土地や建物などにかかる相続税・贈与税の支払いを猶予するというものです。
現行の税制度では、事業承継の際に税の優遇処置はありませんでしたので、相続税・贈与税負担が重くなり、借金せざるを得なくなったり、最悪の場合は、払えないために廃業を余儀なくされたりすることもありました。
今回の改正案では、都道府県に事業承継計画を届け出て、許可が得られれば納税が猶予されることになるようです。ただし、事業承継後に事業を一生続ける、などの条件が付きそうです。
猶予を受け入れる額(割合)は、まだ正式に決まっていませんが、税額の80%以上になりそうだとメディアは報じています。この猶予される税にかかる対象は土地と建物などです。

図1:個人事業主が相続する時

小規模宅地等の特例

事業を行う個人に対して優遇が過度になってしまうおそれがあるとして、土地相続に関する税の優遇(特例)を一部見直し、あるいは厳しくすることも検討されています。 土地活用ではなじみの深い「小規模宅地等の特例」が、それに該当します。現行では、小規模宅地等の特例として居住用土地は330m2以下、事業用土地は400m2以下の土地について一定の要件を満たしていれば、課税評価額を50%~ 80%減額することになっています。今回の見直し案では、330m2を上回る部分を事業用に付け替え、また相続前3年以内に事業用とされた土地については、特例対象外とすることになりそうです。

注: 原稿執筆時2018年12月7日時点では正式決定ではありません。

図2:小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例について、まとめたのが図2です。
これら以外にも、税制の要望には住宅・不動産関連のものがあります。注目されるものとしては、消費税が8%から10%に増税されるのに伴い、住宅建築の需要が平準化されるような(つまり駆け込み増と反動減が起こらない)税制の改正などによる対策があり、既に決定済みです。具体的には、住宅ローン減税の延長、すまい給付金の拡充、贈与税の非課税枠の大幅な拡充などです。

注: 税についての詳細は税理士にご確認ください。
税制度は変わる可能性がありますので、最新の情報をご確認ください。

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