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コラム vol.364
  • 不動産市況を読み解く

持ち家か賃貸か?「土地問題に関する国民の意識調査」結果から

公開日:2021/05/30

POINT!

・最新の「土地問題に関する国民の意識調査」によると、持ち家志向の割合は過去最低

・全体でも年代別でも新築志向は減少し、特に賃貸住宅居住者で顕著

いつも聞かれる、「持ち家か賃貸か?」

「持ち家(所有)か賃貸住宅(賃借)か?」平成2年ごろまでは、持ち家志向が当たり前の時代でした。しかし、平成3年から始まるバブル崩壊以降は、「持ち家派」と「賃貸派」に徐々に分かれるようになりました。これに呼応するように、不動産専門家やお金の専門家であるファイナンシャルプランナーなどが、この議論にコメントするようになり、専門家の見解も分かれています。

土地問題に関する国民の意識調査について

「住宅の所有意思」に関する調査はいくつかあり、国土交通省が年に1度調査している「土地問題に関する国民の意識調査」の調査項目にもあります。この調査は、平成5年度から始まり、この類の公的機関が行う調査としては比較的歴史が浅いため、まだなじみが薄いかもしれませんが、多岐にわたってアンケートを行っています。

令和3年6月に、「令和2年度の土地問題に関する国民の意識調査」(注:調査期間令和2年12 月3日~24日、これまでの対面聞き取り調査から、今回は郵送による調査に変更。全国から抽出された20歳以上の男女3,000人が対象者)の調査結果が公表されました。今回のコラムでは、住宅についての「所有と賃借の志向」という項目にフォーカスして解説してみたいと思います。

持ち家志向は、調査史上最低の数字に

「土地+建物を所有したい」つまり持ち家を志向している方の割合は、選択項目の中で最も多かったものの、平成5年度の調査開始以来最低の68.3%でした。このところ70%台前半が続いていた数値が、今回の調査でやや下がりました。
「借地・借家で構わない(または望ましい)」と答えた方は15.5%でした。前回調査で21.8% でしたので、こちらも少し下がりました。
一方、「分からない」と答えた方が前回4.3%から14.5%と急増しました。これはコロナ禍による意識の変化が考えられますが、今回初めて郵送調査となり、通常の対面調査ではなかったことも影響しているのかもしれません。
調査開始からの傾向としては、持ち家志向の方は、平成23年度では80%台をキープしていま したが、平成24年度以降は70%台になり、ここ数年は73~74%前後でしたから、この10年で6 ポイント程度下がったことになります。

図1:所有と賃貸の志向

(注)「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない、または望ましい」、「借家(賃貸住宅)で構わない、または望ましい」は、それぞれ、 平成30年度調査までは「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」、「借家(賃貸住宅)で構わない」として質問した。
国土交通省 令和2年度「土地問題に関する国民の意識調査」より

これは、総務省が5年に1度調査・公表する、 「住宅・土地統計調査」の中にある、「持ち家住宅率」での比率低下(図2)と、調査方法や 調査内容は違いますが傾向は同じです。年代別(30代、40代、50代)の平成5年と平成30年調査を比較すると、10ポイント前後低下していることと合致しています。

また、政令指定都市では、「土地+建物を所有したい」と答えた方は61.6%で、都市部での持 ち家志向の低下がうかがえます。
大都市圏では、15%前後の方が、賃貸住宅で構わない(または望ましい)と答えており、その 割合は増加傾向にあります。

図2:世帯主の年齢別 持ち家比率の推移

総務省統計局「住宅・土地統計調査」より作成

賃貸住宅居住者では新築へのこだわりは少ない

「所有か賃貸か」と同じく、「新築住宅か既存住宅(中古)か?」という議論もよく話題に上ります。こちらも本調査で回答を得ています。「あなたが所有したいと思う住宅は、新築ですか、既存住宅ですか」という項目では、48.6%が新築、どちらでもよいが38.7%、既存住宅は7.9%でした。(図3)

図3:新築住宅か、既存住宅か

(注)「既存住宅」は、令和元年度調査までは「中古住宅」として質問した。
(注)対象は図1で「土地・建物を両方とも所有したい」「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」と答えたもの
国土交通省「令和2 年度「土地問題に関する国民の意識調査の概要について」」より作成

「 この項目は平成23年度から追加され、当時の新築希望は63.3%でしたが、現在は「新築住宅に対するこだわり」は減っているようです。これは、特に新築マンションの価格が高騰していることも一因かもしれません。
「現在の居住形態」ごとに比較すると、現在賃貸住宅に住む方は、新築住宅がよいと答えた方が39.8%、どちらでもよいが47.2%となっています。(図4)

図4:新築住宅か、既存住宅か(住居形態別)

注)対象は図1で「土地・建物を両方とも所有したい」「建物を所有していれば、土地は借地でも構わない」と答えたもの
国土交通省「令和2 年度「土地問題に関する国民の意識調査の概要について」」より作成

現在持ち家の方の場合は、それぞれ49.7%、37.8%です。したがって、新築に対するこだわり は、賃貸住宅にお住まいの方のほうがより少ないという結果になっています。
さまざまな調査で浮かび上がっている「賃貸志向の高まり」と「新築に対するこだわりの減少」は、この調査結果でもそれが示されているようです。

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