土地活用・賃貸物件経営における税の概略を理解しましょう! 【4】「土地だけ貸す」か「土地に建物を建てて貸す」か。それぞれのメリットを考える
公開日:2021/09/30
POINT!
・土地だけを貸す場合、①居住用定期借地、②事業用定期借地、③駐車場や資材置き場として貸す方法がある
・土地に建物を建てて貸す場合、④居住用、⑤事業用に分けられる
土地活用において、その土地を活かして収益をあげるためには、「土地だけを貸す」か「土地に建物を建てて貸す」かを、最初に決めることになります。初期投資資金、期間、収益など、どちらを選ぶかで大きく異なりますので、重要なポイントになります。
「土地だけを貸す」「土地に建物を建てて貸す」のどちらがいいかは、土地オーナー様の状況や意向により異なると思います。しかし、重要な分岐点ですから、それぞれのメリットと注意点について、しっかりと理解しておく必要があります。
土地だけを貸すパターン
「土地だけを貸す」パターンとしては、「①居住用定期借地」「②事業用定期借地」が、収
益性が高く見込まれるものとしてあげられますが、それ以外にも「③駐車場や資材置き場として貸
す」という方法もあります。
このパターンのメリットは、「初期投資がほとんどなく賃料( 地代)が入ってくること」「定期期間が終われば返還されること」、そして「その後は転用が可能なこと」等があげられます。
ただし、期間については考慮が必要です。居住用定期借地は、一般定期借地権においての(土地についての)賃貸借契約となりますので、契約期間は50年以上となります。こうしたことから、寺院や大規模病院、大使館など、広い土地を「①居住用定期借地」で貸している例は見られますが、一般の土地オーナー様が、新たに居住用定期借地契約に基づき土地の賃貸借契約を結ぶことは、それほど多くないようです。一方、居住用以外の「②事業用定期借地」の場合は10年以上50年未満で賃貸借契約が可能です。
また別のメリットとしては、建物を建築しないため、賃料の受け取りスタートが「土地に建物を建てて貸す」場合よりも早くなります。
一方で、賃料(地代)は、建物まで含めた賃貸借契約よりも低くなります。また「③駐車場や資材置き場として貸す」パターンでは、税務対策効果の期待が少なくなります。いずれの場合も契約期間中はその土地を自ら使うことはできません。
土地に建物を建てて貸すパターン
「土地に建物を建てて貸す」パターンも、「④居住用」と「⑤事業用」に分けられます。土地だけ貸すよりも高い賃料収入が見込めますが、初期投資と建物の維持管理費がかかります。
居住用では、賃貸住宅、賃貸併用住宅、高齢者施設、社宅などがあります。一般的に、居住用賃貸物件は、景気に左右されにくく、安定収入が継続的に見込まれます。
事業用では、商業施設やロードサイド店舗、飲食店舗など、その他さまざまなパターンがあります。一度入居が決まると、一定期間(ある程度の長期期間)空室になりにくく、賃料も安定しているため、安定した賃貸経営が見込めます。
しかし、万が一短期で退去が決まると、次のテナントを探す苦労(立地や周辺状況によります)をする可能性があります。
建物建築のための資金について
居住用賃貸物件の建築費用は、たいていの貸主の方は金融機関からの借り入れや自己資金で行います。事業用はこれらに加えて、借主サイドからの建築協力金ということもあります。建築協力金は、流通小売業系テナントなどから建築費のための資金を預かるというイメージのものです。一般的には、この資金で貸すべき物件を建築し、無利子で賃貸借契約期間中に均等割で返済を行います( 注:各種取り決めで異なります)。契約期間満了後の建物解体撤去については、土地所有者側が負担することが多いようですが、これも事前に取り決めておきます。
また建物の償却費(減価償却費)を経費算入でき、税務対策効果が見込めますので、これもメリットといえるでしょう。前述の「土地だけを貸す」パターンでは、土地は減価償却しませんので、減価償却費は経費算入できません。
※税については各々異なりますので、詳細は専門の税理士等にご確認ください。
「土地だけを貸す」と「土地に建物を建てて貸す」のどちらが向いているかは、所有する土地の立地、広さ、周辺の市場環境といった条件により異なります。どちらのパターンにおいても土地活用の方法は確立されていますし、年々進化していますので、大和ハウス工業の担当者等、専門家とよく相談しながら決めましょう。
もっと詳しく知りたい方は
今回の内容は、「土地活用BOOK入門篇」にも解説されています。「土地活用にはどんな種類があるのか」について知りたい方は、ぜひ入手してください。