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コラム vol.409
  • 不動産市況を読み解く

企業の不動産戦略(CRE戦略)における基本スタンス

公開日:2022/07/19

どのような企業においても、会社を運営し維持・継続するためには、何らかの形で不動産と関わりを持つことになります。オフィス・店舗・工場・倉庫など、挙げればキリがありませんが、企業はこうした不動産を活用して、効率性を追求しながら「収益の向上」ひいては「企業価値の最大化」を目指しています。

企業にとって不動産とは何か?

企業にとって不動産とは、企業が「財やサービスを生産するためのベースとなるもの」です。これは、経済学的にいうと、「生産資源=生産を実行するために必要なもの」の一つということになります。

企業が関わりを持つ不動産を具体的に見ていくと、

  • 1)オフィス、工場、倉庫、店舗等。これらは「生産資源」です。
  • 2)福利厚生としての不動産、たとえば寮・社宅、グランド、その他、福利厚生施設(宿泊施設等)。これらは直接的生産に関わりませんから、「準生産資源」といえるものです。

これらは「利用」するという形での関わりです。
しかし、企業が所有する不動産には別の側面もあります。次のような投資財、資産としての不動産です。

  • 3)投資対象としての不動産資産。
  • 4)金融機関とのお付き合いの観点では、「担保資産としての不動産」の側面もあります。

1)2)は不動産と「利用」という形で関わり、3)4)は投資財・資産としての関わりです。

企業の不動産戦略=CRE戦略の目的とは

企業の不動産戦略の最大の目的は、企業が所有する不動産を最大限有効に活用することにより、「企業価値の最大化」を図ることです。 企業価値を何で測るかは、企業の状況によって異なります。上場している企業の場合では、株価、時価総額などといった分かりやすい指標がありますが、中小企業等では、売上、利益、経常利益等で測ることが一般的でしょう。また近年では、SDGsの取り組みも重視されています。まとめると、どのような企業においても、「効率的に不動産を活用して、いかに利益を生み出すか、生産性を上げるか、ステークホルダーに利益還元をするか」が、企業価値向上の指標といえるでしょう。 この企業の不動産戦略で最も大切なことは、不動産の最適化のための精査をきちんと行うことです。

企業の不動産戦略の第一歩である精査のステージ

利益最大化への企業の不動産戦略の具体的なアクションにはどういったものがあるのでしょう。 まず、具体的なアクションを起こす前段階に「精査」のステージがあります。最初は、企業が関わっている(所有する、あるいは借りているなど)不動産について、「不動産の活用にフォーカスした」視点で精査を行います。

  • 視点1)その不動産は、ビジネス直結かどうか?
    事業に深く関わっている不動産なのか、それともそれほど事業に関係がない不動産なのか?前者は、オフィスや工場、倉庫といった事業で日々使う不動産(コア不動産)です。後者には、社宅、保養所など(ノンコア不動産)があります。
  • 視点2)収益を上げる不動産かどうか?
    その不動産がお金を生むのかどうかの精査です。当然ですが、事業で使う不動産では事業収益が上がります。また、企業で保有している賃貸用物件があれば賃料収入があります。
  • 視点3)不動産の活用状況
    毎日使う、時々使う、めったに使わない等使用頻度の確認を行います。低利用、未利用の物件があれば対処方法を考えます。

さらに、各不動産の資産価値についても、専門家に依頼して具体的な価値を把握しておくのもいいでしょう。

こうした視点で不動産の活用状況を精査すれば、いくつかのカテゴリーに分類することができますので、そのカテゴリーに応じたアクションを検討する必要があります。

不動産戦略見直しの具体的なアクション ~表的な3つのアクション~

精査が終わると、次のような具体的なアクションを検討します。 もちろん、精査すると一番多いのは、適切に使われている不動産を「現状のまま活用する」だと思います。 しかし、そうでないもの、つまり、あまり活用されていないもの、利用効率の悪いもの、あるいはほとんど使われていないものなどは、精査に基づき改善する必要があります。 具体的には、以下のようなアクションを検討します。

  • (1)遊休地(あまり使われていないもの)について
    売却するか、賃貸物件などを建てて、貸すなど活用方法を検討する。
  • (2)低利用地について
    都市部で、容積率などが使い切れていない状態になっているなど、さらなる有効活用が見込める場合は、建て替えによる未使用部分の貸し出しなどを検討する。
  • (3)コンバージョン
    利用用途の変更を検討する。

他にもさまざまな検討ができますが、まずは精査が必要です。代表的なアクション例を3つ挙げましたが、大和ハウス工業などの専門家に解決策を相談するのがいいでしょう。

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