オーナーが知っておきたい賃貸住宅経営の基礎用語「賃貸住宅経営」「賃貸住宅管理」
公開日:2022/07/28
POINT!
・2022年6月15日より、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」が改正・施行された
・賃貸住宅経営は、賃貸住宅を建築した後からがスタート。安定的な賃貸住宅経営を行うためにも、賃貸住宅管理について知っておく必要がある
初めて賃貸住宅のオーナーになられた方は、いろいろと不安もあることでしょう。大和ハウス工業で建築されたオーナー様の多くは、グループ会社の大和リビングに賃貸住宅の管理をはじめ、さまざまな賃貸住宅経営のサポートを依頼されている方が多いと思います。しかし、賃貸住宅経営においては、「すべて管理会社任せ」というスタンスよりも、オーナー様も積極的に賃貸住宅経営についての知識を得て、ある程度は関与していくほうがうまくいくことが多いようです。 ここでは、その第一歩として、賃貸住宅経営や賃貸住宅管理に関する最も基本的な用語について解説します。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」の改正
2022年(令和4年)6月15日より「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」が改正・施行されました。それに伴い、国土交通省より、解釈・運用の考え方の改正点を反映させた「賃貸住宅管理業法FAQ集」と「賃貸住宅管理業法制度概要ハンドブック」の更新版が公表されました。これを基に、用語の解説をしていきます。
そもそも賃貸住宅とはどのようなものか
賃貸住宅(=賃貸の用に供する住宅)とは、賃貸借契約を締結し賃借することを目的とした、居住用のための家屋のことです。 ここでいう「住宅」は、その利用形態として「人の居住用のためのもの」であることが要件とされていますので、普段、事業用として使われるオフィスや、商業用施設、倉庫等は該当しません。また、賃貸併用住宅は、所有者自ら使う居住用家屋と賃貸借契約を締結して賃貸するための家屋が一体となったものです。賃貸する部分は住宅だけでなく、店舗や事務所等の場合がありますが、いずれも賃貸併用住宅です。
賃貸住宅管理について~自主管理と委託管理~
賃貸住宅の管理は、建物管理(維持メンテナンス・清掃・点検など)に加えて、入居者管理(家賃等の出納や入居者トラブルの対応)、入退去管理(入居者斡旋、入居立ち会い、退去立ち会い、保全管理)など多岐にわたります。これらをオーナー自ら行っている賃貸住宅は、「自主管理」物件と呼ばれます。そしてこれらを、大和リビングのような管理会社に委託する物件は、「管理委託」物件と呼びます。 委託すれば、当然費用がかかりますが、賃貸住宅経営は大幅に楽になります。リタイアされた方など時間にゆとりがあれば、自ら行ってもいいかもしれません。
賃貸住宅管理業者とは
賃貸住宅管理業は、賃貸住宅の賃貸事業の賃料収入の源泉である「居室」や「駐車場」、「駐輪場」の管理と、入居者が日常生活上使用する廊下やエントランス、ゴミステーションといった共用部分を中心として、これに付随する設備等を含めた賃貸住宅の全体を、オーナーからの委託により管理する業者のことです。 管理業者への委託内容は、オーナーが賃貸住宅経営をするうえで求める維持保全、家賃等の受領等の金銭管理などです。管理業者は、オーナーから包括的に委託を受けたうえで、すべて自社で行うこともあれば、工事業者や清掃業者などを外部に再委託しながら行うこともあります。いずれも総合的に管理サービスを提供します。
賃貸住宅管理業登録業者
賃貸住宅管理業者は、賃貸住宅管理業を営む業者であり、国土交通省に登録をしなければいけません。国土交通省によれば、「事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に賃貸住宅管理業を行うことをいい、営利の意思の有無については、客観的に判断されることとなります」(賃貸住宅管理業法)。管理契約を行う際には、念のため「登録業者かどうか」を聞くとよいでしょう。
マスターリース契約
マスターリース契約は、特定賃貸借契約とも呼ばれ、賃貸住宅所有者(オーナー)とマスターリース業者の間で、転貸目的のために一括して結ばれる契約です。一時的に第三者に転貸するような場合は、マスターリース契約(特定賃貸借契約)に該当しません。 前ページの図を見ると、イメージしやすいと思います。
図
国土交通省「賃貸住宅管理業法 制度概要ハンドブック」より
サブリース業者
サブリース業者(特定転貸事業者)とは、マスターリース契約に基づき、賃借した賃貸住宅を第三者に転貸する事業を営む業者のことです。 事業を営むとは、営利の意思を持って反復継続的に転貸することを指します。
最後に
賃貸住宅経営は、賃貸住宅を建築した後からがスタートです。安定的な賃貸住宅経営を行うためにも、これらの用語については、始める前には必ず知っておいてほしいと思います。
- 【賃貸住宅における一括借上に関する注意事項】
- ○賃貸住宅を賃貸する場合、借主(サブリース会社を含む)による一定の条件があります。
- ○賃料は、契約開始日以降、賃貸借契約に基づき一定期間経過時およびそれ以降も契約に定める期間が経過するごとに、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合があります。
- ○また改定時期にかかわらず、物価・経済状況の変動や近隣賃料の著しい変化等により賃料が不相当になった場合も、貸主借主協議のうえ、賃料の改定を行う場合もあります。
- ○賃料改定の協議が、賃料の改定期日以降に整った場合は、改定期日に遡って改定されます。
- ○賃貸借契約においては、契約の定めに従い、賃料の免責期間が適用される場合があります。
- ○また、建物や設備の維持修繕等においては、建物の所有者としてご負担いただく費用があります。
- ○なお、賃貸借契約期間中においても解約になる場合があり、また、貸主から更新の拒絶をされる場合には正当な事由が必要となります。