空間に強弱をつけられるアクセント壁。
壁は色や素材を変えるだけで、部屋全体の印象を大きく変える力をもっています。
明るい色には部屋を広く見せる効果があり、暗い色には引き締める効果があります。
色や柄、素材によっても異なりますが、アクセント壁を採用することで住まいに癒やしをもたらしたり、
にぎやかな印象を与えたり、高級感を演出したりすることができます。
空間を豊かに見せるアクセント壁の取り入れ方について
ハウジングマイスター(社内認定)・小林と、インテリアコーディネーター・三瓶がご紹介します。
Profile
小林 英明
大和ハウス工業 名古屋支社 住宅事業部 設計部 設計課 主任技術者
一級建築士、CASBEE戸建評価員。お客さまへの誠実な対応と水彩を用いたスケッチ提案で信頼関係を結ぶ。
三瓶 典子
大和ハウス工業 名古屋支社 住宅事業部 設計部 設計課主任
インテリアコーディネーターとして多くの経験を積み、お客さまからの信頼も厚い。
2021年3月現在の情報となります。
アクセント壁の役割とは
アクセント壁とは、その名の通り部屋の中でのアクセントとなる壁のことを指します。壁や天井を1色でまとめるのもシンプルでいいですが、無機質な印象になりがちです。そこで、ある1面のみ壁の色や素材を変えることで、視線に引っかかりができ、部屋全体のインテリアがぐっと引き締まるのです。フォーカルポイント(空間の中で最も視線の集まる場所)にしたり、部屋になじませてインテリアを引き立てたり、好みや生活に合わせて効果的に取り入れましょう。
色や素材で印象が変わる
セレクトする素材の色や柄、質感などによってさまざまな雰囲気を演出できます。色は心理面にも影響を与えるとされています。白い壁には清潔感や透明感があり、赤色などの暖色系からはエネルギッシュでポジティブな印象を受けます。ブルー系の寒色は落ち着きを、グリーン系からは安らぎを感じるでしょう。そのような色の心理的効果も考慮して検討するのがおすすめです。コスト面から多く用いられるのはクロスですが、タイルやウッドパネルなどの素材も人気です。
部屋に応じた色・柄選び
柔らかなパステルブルーのアクセント壁が引き立つ子ども部屋。集中力が増すといわれるブルー系で、勉強にも集中できる空間に。幼すぎない少しくすんだ色味なので、子どもが成長してからも違和感なく使えます。
ちょっとした勉強スペースも兼ねたダイニングのカウンターには、グレーのアクセントクロスを採用。暗めの色味で奥行き感が生まれます。クロスの質感も感じられるよう間接照明を取り入れて、表情豊かに仕上げています。
高級感を出したいなら立体的なものを
目立った色をつけたくないという時は素材感で変化を出しましょう。凹凸のある天然石やエコカラットのアクセント壁は、オフホワイトやベージュといったシンプルな色合いでも存在感があり、部屋にワンランク上の高級感を与えてくれます。
機能性をもたせた素材選びも
調湿機能のある素材(エコカラットや漆喰、珪藻土)などもアクセント壁に使用できます。広い部屋で効果を実感するには、相応の面積に張る必要があり、コストもかかります。小さい面積でも効果を実感しやすいのは洗面室やトイレや玄関などのスペースです。消臭効果も期待できるので、ペットがいるご家庭にもおすすめです。
他のフォーカルポイントを引き立てる
リビングの暖炉など、他に目立たせたいフォーカルポイントがある場合は、大判のタイルなどを採用するのがおすすめです。素材感がありながらも主張しすぎないので、メインとなる暖炉を引き立ててくれます。
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
アクセント壁をもっと楽しむポイント
照明の使い方や、床や天井とのバランスを工夫することで、アクセント壁をさらに魅力的に演出できます。
照明で素材感を引き立たせる
素材感のあるアクセント壁は、照明の当て方を工夫すると、光と影により立体感が出て、昼と夜で異なる雰囲気が生まれます。部屋の全体照明との組み合わせもポイント。また赤味のあるレッドシダーの壁には、少しオレンジがかった間接照明を当てるなど、素材と照明の色の系統を合わせると空間がまとまります。
床や天井とのバランス
床や天井の色柄と組み合わせるのも面白いでしょう。下の写真では廊下の天井から寝室の天井へ続く個性的なウッドパネルを、寝室のアクセント壁にも使用。廊下から寝室へと流れが生まれ、まとまりが感じられます。
廊下から続く天井の木目が、寝室へと視線を誘います
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
寝室のアクセント壁
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
外壁と同じ素材で内と外のつながりを
室内と室外の素材を合わせると、家全体に統一感が表現できます。テラスへとフラットに続くオープンなリビングには、その間取りをさらに引き立てるため、外の柱に使用している外壁用タイルをアクセント壁にも使用。内と外がつながり、開放感ある空間に仕上がります。
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
目的に合わせて住まいを豊かに
空間の中で目立たせたい壁なのか、存在感をなくしてなじませたい壁なのか、その壁の前に何を置くのか、どの壁面をフォーカルポイントとするのかなど、壁の使い方を想像してみると、効果的な見せ方がイメージできます。例えばその壁に飾りたいアートがあるなら、アートの魅力を邪魔しないシンプルな素材や色を選ぶことをおすすめします。リラックスしたい部屋ならば落ち着いたトーンのアクセント壁が良いですし、空間の主役にしたいなら大きな柄や個性的な素材を使うのも良いでしょう。自分の好みと、「こんな空間で過ごしたい」というイメージを上手くミックスし、アクセント壁を取り入れてはいかがでしょうか。