夢のマイホーム、人はもちろん愛猫も幸せになれる家づくりを目指したいですよね。
そこで、獣医師の椎木亜都子先生と大和ハウス工業一級建築士の目賀田史夫に、
「猫が幸せな家とは?」を考えていただくスペシャル対談を開催しました。
猫目線に立つことで見えてきた、さまざまな家づくりのアイデアをご紹介します。
【Before】プランをご紹介
今回、事前に30代ご夫妻とお子さま1人の「3人家族」を想定した間取りをご用意。開放的なリビングやテレワークスペースなど、家族にとっては居心地のよさそうなプランですが、ここに猫目線を加えるとどうなるでしょうか? 家族の快適さも維持しつつ、猫が住みやすい間取りを考えていきます。
記事の後半では、【After】プランをご紹介します!
━━━猫と暮らすうえで、最初に考えないといけないことは?
椎木先生:まずは猫の立ち入りを禁止にしたい場所から決めるとよいと思います。例えばキッチンは危険がいっぱい。お料理中に猫が寄ってきてしまったり、勝手にコンロのスイッチを入れてしまったり…。トースターを使用した後、まだ熱いその上を歩いてしまい、やけどをするケースもあります。
目賀田:人目線で使いやすさを考えると、キッチンはオープンな方がよい場合もありますよね。壁で完全に区切ってしまうとキッチンとリビングの分離感が強く出てしまう。それならば、可動式の間仕切りをつけるとよいかもしれません。これなら普段はオープンにしておき、猫に入ってきてほしくない時は閉めることができます。
椎木先生:お風呂場も危険ゾーンです。入浴・乾燥後のお風呂場は暖かいので、猫が喜んで入り込み、バスタブのへりでくつろぐことがあります。その時もし水が湯船に残ったままだったら、落下して溺れる事故が起きるかもしれません。お風呂場も自由に行き来できないようにするのが安心ですね。あとは仕事中に邪魔をされたくない方は、テレワークスペースに猫が自由に出入りできない方がよいかもしれません。飼い主さんの近くにいるのに相手にしてもらえないとストレスを感じてしまうコもいますので、姿が見えないようにしてしまいましょう。
━━━猫用トイレの設置場所が悩むところだと思います。
椎木先生:猫にとって理想のトイレは、寝床や食事場所とは離れていて、静かにゆっくり用を足せる場所です。ただし健康管理の観点から、人の目が行き届きにくい場所はおすすめできません。飼い主さんには、猫の健康状態をマメにチェックしていただきたいですから。
目賀田:では階段下スペースを有効活用して、猫用トイレスペースにするのはいかがでしょうか? 猫用自動洗浄トイレ「ネコレット」なら、ニオイも気になりづらく衛生面でも快適に過ごせると思います。
椎木先生:とてもいいですね。あと、できればプラスもう1個、2階にもあるといいですね。若い時は問題ないのですが、高齢になると上り下りが難しくなってくるので、将来的にも最低2個は設置してほしいです。
目賀田:2階の主寝室のレイアウトを変更すれば、猫用のトイレスペースが確保できそうです。
椎木先生:これなら人のトイレとも近いので、ウンチの処理も楽にできますね!
━━━猫にとって快適でくつろげるスペースとはどのようなものでしょうか?
椎木先生:猫はくつろぎながら外を眺めるのが大好きなので、出窓か猫目線に合った低い窓があるとよいですね。ずっと家にいる猫にとっては、外の世界を見ることが刺激にもなります。
目賀田:窓際に猫用の特等席を作ってあげるとよさそうですね!窓が多いのは飼い主さんにもうれしいポイントなので、ぜひ取り入れましょう。あと、猫は高い場所が好きだと思うのですが、どのような工夫があるとよいでしょうか?
椎木先生:高いところにいながらも、家族の気配が感じられることを好むので、リビングに猫がのぼれる場所があるとよいと思います。ただし高過ぎると、掃除がとても大変になってしまいます。猫は飼い主さんの知らないところでよく吐いたりするのですが、嘔吐物がたまってしまわないようお掃除のしやすさもポイントですね。
目賀田:それでは家族が集うリビングに、猫がのぼって過ごすこともできる本棚を置くのはいかがでしょうか。飼い主さんにとっても便利だし、背が高くなり過ぎずにちょうどよさそうです。あとはキャットウォークを設置するのも手ですね。
椎木先生:キャットウォークを設置する場合は、猫の歩く幅が十分にあるかがポイントです。猫は細い通路はあまり好きではありません。またガタガタする場所が嫌いなので、しっかり固定するようにしてください。あらかじめ備え付けてあれば安心ですね。
━━━猫が嫌いなことはほかにもありますか?
椎木先生:猫は突然の大きな音がとても嫌いなので、洗濯機の音などが苦手ですね。くつろぐ場所と洗濯機スペースは離れている方がよいでしょう。あとはニオイに敏感で、柑橘系・香水・タバコのニオイを嫌います。テリトリーがまったくないのもよくありません。トイレの考え方と同じで、静かにくつろげる場所(でも家族の気配は感じられる)が猫にとっては理想です。
目賀田:家じゅうのあちこちに、猫の居場所になりそうな場所を仕掛けておくとよさそうですね。
椎木先生:最後に運動についても配慮があるとよいと思います。猫は思いっきり走り回ったり、飼い主さんとおもちゃで遊ぶのが大好きです。床ができるだけ広く、遊べるスペースを確保できるといいですね。
目賀田:リビング・ダイニングのスペースをうまく活用すれば、猫が走り回れる動線を作ってあげられると思います。今回の場合はちょうど8の字に走り回れるように棚を工夫することができそうです。
椎木先生:飼い主さんの暮らしやすさはそのままに、猫にとっても楽しい場所になりそうですね!
【After】完成した「猫が幸せな家」プランがこちら!
猫目線の工夫を加え、修正した図面とそのポイントをご紹介します。
大和ハウス工業の3Dファストプランなら、間取りを立体的に再現することができるので、より具体的にイメージしながら図面の確認ができます。
住宅展示場でVR.を使った猫目線での間取りが体験できます!
大和ハウス工業の住宅展示場では、打ち合わせ中の図面を3D上で変更したり、インテリアカラーを変更したりすることができます。より具体的なイメージを持ちながら打ち合わせを進めることができるので、理想の家づくりを叶えられます。今回ご紹介したパースや動画もその一部。VRを使えば猫目線の間取りも体験できます。ぜひ住宅展示場にお立ち寄りください。
対談の中で登場した設備をご紹介します。
可動式の間仕切り
危険が多いキッチンなどの水まわりに間仕切りできるスクリーンを設置すれば、調理中など必要な時だけ愛猫の侵入を防ぐことができます。半透明タイプならお互いの気配を感じることができるので、愛猫も安心して過ごすことができます。
ネコレット
センサーが猫の動きを検知し、猫が退出した後に自動でトイレパンの流水洗浄を行います。オシッコシートは不要ですので、衛生的で猫トイレの掃除の手間も軽減します。
いかがでしたか?専門家による猫目線のアドバイスをヒントに「猫が幸せな家」のアイデアを盛り込んだ間取りをご紹介しました。家づくりの正解はひとつではありませんので、愛猫の性格・好き嫌い・習性などをしっかりと建築士さんに伝え、愛猫やご家族にあった間取りを見つけてくださいね。
撮影場所:大和ハウス工業 平沼skye展示場
獣医師
椎木亜都子先生
2012年日本大学生物資源科学部獣医学科卒業。獣医師免許取得後、東京大学大学院農学生命科学研究科獣医動物行動学研究室に所属し、行動診療を学んだ後、2017年~2022年まで東京大学附属動物医療センターにて、非常勤獣医師として行動診療を担当。現在は、ペット問題行動クリニックBLISSにて往診による犬猫の問題行動治療を行っている。獣医行動診療科認定医。
大和ハウス工業
目賀田史夫
大和ハウス工業東京本社 住宅事業本部設計推進部ZIZAIデザイン室チーフデザイナー。一級建築士。自身も大の犬猫好き。猫や犬と暮らす家の提案実績も多数。
名もなきペット家事~ねこ編~
- 【vol.1】なんとかしたい爪とぎの悩み!グッズを使ってくれない時の対処法は?
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- 【vol.3】いたずらの後始末は圧倒的に妻が担当《その差6倍》!猫の侵入を防ぐアイデアも紹介
- 【vol.4】換毛期の家事負担を減らす、初級・中級・上級別アイデアを紹介!
- 【vol.5】水洗の猫トイレって!?画期的な、その仕組みをレポート!
- 【vol.6】災害時は猫のストレスを極力減らして!自宅待機を安全に過ごすコツ
- 【vol.7】<獣医師監修>猫の体とトイレの「ニオイ」。その原因と対策法は?
- 【vol.8】<獣医師監修>猫が喜ぶ部屋づくり。絶対外せない3つの条件とは?
- 【vol.9】<うちのコ想いのマイハウス>獣医師×一級建築士による対談が実現。猫も幸せな家の「間取り」が完成!
- 【vol.10】いたずら好きな愛猫にはどんな家が理想?一級建築士と猫心理学者が考える猫も人も快適な「理想の間取り」を大公開
- 【vol.11】多頭飼育に「理想的な間取り」を大公開!一級建築士と猫心理学者が飼い主さんのお悩みに応えます!
- 【vol.12】<ニオイのプロ監修>気になるトイレ周りなど、ジメジメ季節のニオイ問題を一気に解決!