住まいづくりの夢が詰まった「住宅展示場」をレポート~五条xevoΣ PREMIUM展示場編~
今回レポーターが訪れたのは、京都府の五条xevoΣ PREMIUM展示場です。この展示場の設計デザインを担当した大和ハウス工業の奥田俊彦さんに案内していただきました。
Profile
大和ハウス工業 本社 住宅事業本部 西日本住宅設計室一課 シニアメンター
一級建築士 インテリアプランナー 1級エクステリアプランナー
奥田 俊彦
住まい手にとっていい家とは?自分自身が自分に帰れる場所。「住まい」は「巣まう」からきているとか…。住まいは人が生きるための根源的な場所です。また、手相、人相、服装がその人となりを表すと同じように、インテリア、建物、外構、そして家並み、街並みもその人の魅力を表すものになります。少しでもこの場所づくりのお手伝いができ、住まい手の喜びにつながればと願っています。
「外観は正面にバルコニーをあえて配置せず、軒を深く出すことで、京町家を連想させるファサードにしています。坪庭と屋内のつながりや、開放感のあるモダンな住空間の中に、狭い間口の町家でも、庭・道等とのつながりを重視した京都らしいしつらえを取り入れた演出にご注目ください」
〈玄関ホール〉杉格子の天井が清々しい玄関ホール。
ベンチは坪庭を眺める特等席
玄関ホールに入ると、松の盆栽と月を思わせる丸いアートがお出迎え。杉格子の美しい天井が目に入り、清々しい気分になりました。盆栽が飾られたサイドボードは、日本伝統の蛇腹戸を生かしたデザインだそう。モダンなのに、どこか懐かしさを感じます。研ぎ澄まされたセンスが光るインテリアを目にして、早くも心がときめきました。
①
土間のベンチに座ると、大きな窓から坪庭の景色が眺められるのもいい趣向ですね。彫りの深い白の外壁に映える杉苔や、陽光を浴びたアオハダの緑のみずみずしいこと。ふと、京都の老舗旅館を訪れたような心地よさを感じました。
②
杉格子の天井は、玄関ホールからリビングまで、ガラスの壁を突き抜けて伸びています。この格子の連続感は圧巻の美しさ。リビングのドアは天井まである引き込みの板戸で、開けると存在を感じさせない仕掛けになっていました。
③
奥田さんコメント
「天井の杉格子は群雲、丸い金属モチーフは群雲のかかった月に見立てたもので、スポットライトで照らされる月の光と影をお楽しみいただけます。庭とのつながりや、空間の連続性も見ていただきたいポイントです。ベンチに座り、杉苔が美しい坪庭を眺めておくつろぎください」
〈LDK〉木地色×墨色×白のバランスが美しい大空間のLDK
玄関ホールから続く杉格子の天井に誘われるようにリビングに入ると、木地色×墨色×白ですっきりとコーディネートされた柱のない大空間が広がっていました。聞くとLDK全体で約35帖の広さだそう。しかも天井が高いので、いっそう伸びやかに感じます。白壁の端から端まで帯状に走る墨色のタイル壁がなんともスタイリッシュ。リビングとダイニングの間に配されたグレーの天井とも調和して絶妙のバランスです。大空間だからこそできるダイナミックな演出ですね。色味を抑え、無駄をそぎ落としたシンプルな美しさに見とれてしまいました。
④
テレビを掛けたタイル壁の下には3連の地窓があって、そこから枯山水を思わせる石庭の景色が見える心にくい仕掛け。こんなところにも、京都らしい風趣が取り入れられています。一見、洋風の外壁なのに、彫りの深いテクスチャーが砂利石の和庭と違和感なく溶け合っているのも発見でした。
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生駒石を配した庭と深彫外壁ベルサイクスがしっくりと調和
リビングの天井まである大開口窓の外には斜めに延びるウッドデッキがあり、視線が自然にその先の樹木へと延びていきます。リビングの延長のようなアウトドアスペースだから、気軽に外のテーブルでお茶を飲んだり、食事を楽しんだりできそうです。
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奥田さんコメント
「リビングからダイニングまで墨色の大きなアクセント壁を入れることで、広がり感を出しつつ、空間全体をひとつのイメージにまとめています。ダイニングとリビングの両サイドに大開口のハイサッシを設けて、奥行きも趣も異なる2つの庭が楽しめるようにしました。リビング側のウッドデッキは、桂離宮の月見台のイメージにアングルをつけたもので、リビングから見たときの抜け感を意識してデザインしています」
〈ダイニングキッチン〉高い天井に丸い木製シェードの照明が映えるダイニング
ダイニングは照明や家具に注目しました。この木製のペンダントランプ、素敵だと思いませんか?シェードの丸みが空間に柔らかみを与えていますし、細い曲げ木のスリットが杉格子の天井とも呼応して、繊細な美しさを放っています。北欧フィンランドの照明だそうですが、どことなく和モダンの雰囲気を醸し出していますよね。無垢材の大きなテーブルと後ろ姿が美しい黒のアームチェアの組み合わせもいい感じ。こうしたインテリアコーディネートを見るのも、住宅展示場見学の楽しみですね。
⑦
階段下のスペースは、ワインをたっぷりと収納できるワインセラーになっていました。床が一段下がったロースタイルのスペースだから、ヨーロッパのワイナリーの地下にある貯蔵庫を思わせる味わいのある雰囲気で、かがまずに立ったまま入れるので快適です。間接照明が棚のボトルを優美に照らしています。ホームのときは、お洒落なキッチンをバーカウンターにして、ゲストにお気に入りのワインを振る舞う…。そんな光景が目に浮かびました。
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奥田さんコメント
「キッチンはリビングから丸見えにならない場所に配置し、ユーティリティスペースに抜けて、玄関にも直接つながる回遊動線にしています。美しさだけでなく、家事のしやすさにも配慮しました」
〈寝室〉主寝室は床の近くまである大開口の窓が印象的
2階の主寝室は少し小上がりになったタイルフロアで、コーナーで連続する大きな窓の開放感がとても印象的。外にバルコニーがないので、床の近くまである窓いっぱいに景色が広がります。部屋から直接通りが見下ろせる感覚は、ちょっとドキドキもの。今までの住宅で味わったことのない新鮮さでした。窓際にはぐるりとベンチが造り付けられていて、腰掛けるだけじゃなく、お気に入りのアートや本を立て掛ける場所としても活躍しそう。いいなと思ったのがベッドの前の木壁。シェブロン張りがインテリアに上質感をもたらすアクセントになっていました。こうしたさりげないお洒落感にとびきりのセンスを感じます。
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寝室の続きにある小上がりの和室も覗いてみました。奥側がアール天井になっていてモダンな感じです。足が下ろせる掘り座卓でちょっとほっこり。
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〈Pick Up!茶室〉たった2畳なのに、不思議にゆとりを感じる茶室「WADEN」
ダイニング側のタイル壁の裏側に、「WADEN」と名付けられた風雅な茶室がひっそりと佇んでいました。「WADEN」とは設計の奥田さんが考えられた造語で、WA(和)+ DEN(英語で書斎や趣味の小部屋を意味していて、もとは巣穴やねぐらの意)をアルファベット表記したものだそう。ほどよいおこもり感が心地いい、離れのような感覚の2畳の小さな空間で、よしずを張った低い天井が落ち着きを醸し出しています。壁に並ぶ小窓からダイニングへと視線が抜けるので閉塞感はなく、むしろゆとりを感じます。一番の見どころは床の間の「床もみじ」。京都岩倉・実相院の客殿「滝の間」に着想したしつらえで、光沢ある漆黒の床に鮮やかに映り込む庭のモミジが鑑賞できるという趣向。春夏秋冬で色合いが変化する「床もみじ」を家で愛でることができるとは、なんて情緒豊かな暮らしの提案なのでしょう。
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見て、聞いて、実感
京都らしい粋なしつらえが洋の空間に違和感なく溶け込んだ住まいに、洗練された美意識を感じました。異なる坪庭の眺めも見応え十分。あらためて庭とのつながりが暮らしにもたらす潤いを実感しました。お近くの方はぜひ足を運んでみてください。
五条展示場 DATA
【1階床面積】
123.71m2(37.42坪)
【2階床面積】
107.32m2(32.46坪)
【延床面積】
231.03m2(69.88坪)
- 住所:京都府京都市下京区西七条赤社町20番
- 電話番号:0120-803-399
- 営業時間:10:00~18:00
- 定休日:火