[愛媛県]Oさま邸
雑誌やSNSなどで見かける、トータルにコーディネートされたインテリア。
完成された美しさがあって憧れますよね。
一体、どこをどう工夫すればこんな空間が作れるの?
と疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は美しさの裏には、プロのコーディネーターやインテリア上級者だけが
知っているセオリーやアイデアがあるのです。
このシリーズでは、さまざまなテイストのインテリアコーディネートのポイントを、
ダイワハウスのインテリアコーディネーターが解説します。
Interior Coordinator
大和ハウス工業株式会社 香川支店 住宅営業所
インテリアコーディネーター
澤井 直美
RC造(鉄筋コンクリート造)の住宅をイメージしたシンプルで力強い住まい
RC造の住宅のようなイメージが漂う、シンプルモダンかつ力強いデザインのインテリアです。木と土と鉄の素材感、質感が際立ち、ミニマルでありながら単調ではない空間になっています。ところどころに黒い鉄素材を用いることで、近年人気のインダストリアルなテイストもミックスされています。
コンクリートの風合いを塗り壁で表現
玄関ホールの壁はコンクリート風の塗り壁。壁全体が白だと単調になるため、部分的にグレーを取り入れてアクセントに。表面の凹凸感により、余分な装飾を施さなくても豊かな雰囲気の漂う空間が生まれています。昼の自然光と、夜の照明光によって微妙に色合いが変化し、異なる雰囲気が味わえます。
光が当たると凹凸感が強調され、独特の風合いが印象的です
塗り壁にはさまざまな仕上げパターンがあり、職人の手によって生み出される模様は二つとして同じものがありません。わが家だけのオリジナリティーを求める方にお薦めの壁仕上げ材です。
レトロなムードが漂う重厚な鋼製扉、アイアン素材
モダンでありながら、どこかノスタルジックな雰囲気が漂う鋼製扉やアイアンの階段
リビングドアは鉄とガラスで制作したオリジナル。隣のオプショナルルーム(書斎)へ続くドアもそろいのデザインで、なおかつドアとドアの間の小壁にも鉄素材が施されています。
2つのドアが並ぶことでうるさい印象にならないよう、一つの黒い面としてスッキリと見せるテクニックです。
また、スケルトン階段の手すりなどにも同じく黒い鉄を用い、床の木目や塗り壁の質感に負けない存在感を演出しています。
広い空間は「濃色」で引き締める
テレビの背面のアクセント壁は大判のタイル。キッチンからも目に入ります
LDKはひとつながりになった広い空間なので、それぞれを単体で考えず、全体でバランスがとれるように配色が計算されています。
木の節目をあえて際立たせた床材と白い塗り壁を基調にし、アクセントカラーとして「黒」を投入。テレビボードの背面には迫力のある3m×1mの大判輸入タイルが漆黒のアクセントとなって、室内に引き締め効果を生んでいます。
キッチンの背面は黒いクロスでスタイリッシュに。家電はシステムキッチンに合わせて黒で統一
反対側のキッチンの背面には黒いクロスを用いて奥行き感を出しています。
ソファの脚と床材の相性を検討
座面が広く、一部を除いてアームが無いカウチタイプのソファ。脚を伸ばして座ったり、多人数でゆったりくつろいだりできるタイプです。壁付けにせず、人の動き、特に走り回る子どもの動きを妨げずに回遊できるレイアウトとなっています。背もたれが低めなので、ダイニングからテレビを見る時に邪魔にならないという利点があります。
脚で本体を浮かせるデザインは掃除のしやすさもメリット。もちろんロボット掃除機も通れます
また、本体に比べると面積が小さいソファの脚ですが、トータルコーディネートを考える上では意外と重要なパーツです。
こちらのお宅では黒いアイアンの脚で、床の木目とケンカしないデザインを取り入れています。床から浮き上がったデザインによって床の木目がよく見え、インテリアに軽やかさが生まれます。
隠す明かり、主張する明かり
LDKの主照明はダウンライト。天井を折り上げてダウンライトを埋め込み、まとめて配置することで、存在感を感じさせないよう工夫されています(ちなみに、エアコンも天井埋め込み型を採用して存在を隠しています)。グレアレスライトを採用し、ソファに寝転んだ時などに照明が目に入ってまぶしいといった不快感(グレア)にも配慮しています。
リビング天井のダウンライトは隠して。3つ並んだ廊下のブラケット照明は可愛らしく存在を主張
一方、廊下の壁につけたブラケット照明は「見せる照明」で、アンティーク調のころんと可愛らしい形。
インテリアには「3の法則」というものあり、3つを等間隔に並べることでバランスよく感じられるのです。玄関からリビングまでの間に温かい明かりを灯し、中へ中へと誘うような演出をしています。
絶大!フルサイズのサッシの効果
部屋の天井とバルコニーの軒天が連続して見える「グランフルサッシ」
xevoΣオリジナルの「グランフルサッシ」は、垂れ壁がなく、2m72cmの天井高いっぱいの高さがあります。リビングとバルコニーの床や天井(軒天)が段差なくつながり、より室内外の一体感が高まって、開放感が生まれます。
窓が大きい分、ウインドウトリートメントの存在感も増すので、十分な検討が必要です。こちらのお宅ではシンプルなロールスクリーンを採用しています。
スイッチもシンプルイズベスト
スイッチプレートは白いものだと思い込んでいませんか?こちらのお宅では白、グレー、黒の3色を壁色に合わせて採用しています。デザインも一般的なものよりシンプルです。
ともすればインテリアの邪魔になりがちなスイッチ類も、ちょっとした配慮でスッキリ見えるのです。
白、グレーなど、壁色に合わせてスイッチをチョイス
黒の壁面になじむスイッチプレート(写真中央)
色で遊べる子どもたちの部屋
マリンブルーと水色でコーディネートした、2つの子ども室
2つの子ども部屋は、部屋の一つの面をブルー系のアクセントクロスとカーテンでコーディネートしています。
一方の部屋はマリンブルーの壁紙に水色のカーテン。もう一つの部屋はその逆です。窓のサイズは同じなので、もしもカーテンの色に飽きたら交換して楽しむこともできます。
便利な約10cmの壁のでっぱり
主寝室窓側の壁が少し手前に出っ張っているのがお分かりいただけるでしょうか。腰の高さのあたりで、厚みを持たせているのです。この厚みがベッドのヘッドボードの役割を果たします。スマートフォンや眼鏡など、お休みになる時に手元に置いておきたいものを置けて便利ですよ。ベッドボード付きのベッドを置くよりも空間がスッキリします。
腰壁にはスマートフォンを充電できるコンセントもついています
ホコリが入らないようフタが付いており、使用時は横にスライドさせます。使わない時は、手を離すとフタが閉まる仕組みになっています
Pick Up Furniture
HIROSHIMA(マルニ木工)
広島県に拠点を置く家具メーカー、マルニ木工が提供する名作チェア。日本を代表するプロダクトデザイナーの深澤直人氏がデザインしました。
丁寧な職人の仕事によるなめらかな手触りや、座っていない時にも美しいフォルムが世界中で高く評価されています。米・カリフォルニア州にある某IT企業の本社に数千脚納入されたことでも話題になりました。
日本はもちろん、世界中にファンが多いHIROSHIMAのアームチェア。さすがの美しさです
※掲載の情報は2019年5月現在のものです。
実例に学ぶ 素敵なインテリアのつくり方講座