住まいの収納のあり方は、毎日の快適さにも、万が一に備える備蓄のしやすさにも関わります。
危機管理アドバイザーの国崎信江さんに、専門家ならではの視点から備蓄・収納術を教えていただきました。
被災時には避難所で一時的に生活すれば助かるイメージがあると思います。しかし、避難所では他人との共同生活からストレスがたまったり、物資が不足したりすることもあるため、状況が許せばできるだけ自宅で過ごせるよう、備蓄を万全にすることをお勧めします。
備蓄する食料や日用品の量の目安は1か月分です。食料は、米やお餅、パスタなどを多めに買い、普段から食べつつ蓄えておくと無駄がありません。また、災害時には紙製品が手に入りづらくなるので、私はトイレットペーパーを多めに確保しています。
飲料水は一人1日2リットルが目安で、10日分あると良いでしょう。我が家では、収納スペースを家のあちこちに少しずつ確保し、家族の人数分のペットボトルを置いています。それに加え、貯湯タンクの水や災害用の浄水器などの備えもあります。
また、地震や火災はいつ起こるかわかりません。リビング、キッチン、トイレ、寝室など家のどこに閉じ込められても助かるために、水や食料などを各所に備蓄しておくことも大切です。
私は家を建てる際、どこに何を収納するのかを入念に計画しました。収納スペースの外にものを出さないようにすることで、普段はすっきりと快適に暮らせますし、万一の時には避難経路を確保できます。
例えば、ごみ箱や掃除用具など毎日使うものから、消火器など災害時に必要なものまで、あらかじめ収納スペースをとっています。キッチンの近くには食品庫を設け、備蓄を兼ねた食品をストックしています。
また、収納をわかりやすく工夫することで、どこに何があるのかを把握でき、いざという時、家族全員が必要なものをすぐに使えます。日常的にも、家族が自発的に片付けをするような環境ができて、快適に過ごせますよ。
電子レンジや炊飯器といった家電は、専用の収納スペースがあると理想的ですが、オープン棚の上方などに置く場合は耐震ジェルやすべり止めシートを下に敷いています。すべり止めシートは100円均一ショップでも手に入り、置き家具の転倒防止にも活用できます。
棚やたんすの引き出しが地震の揺れで飛び出すと危険です。特に通路幅が狭いキッチンの引き出しは避難経路を塞ぎやすいので、側面に市販のストッパーを取り付けています。また、市販されている耐震ラッチも有効です。
来客用など、普段使わない食器は棚の上方にまとめて置き、扉をストッパーやゴムで留めています。食器は重ねすぎないようにし、重ねる際は重いものを下にして、形や大きさが違う食器の間には滑り止めシートなどのクッション材を挟むことで安定させています。
就寝中に地震や火災が起こったらすぐ逃げられるよう、ベッドの近くにあらかじめ収納スペースを設け、避難用の靴やラジオ、手袋、笛を入れています。また、すべての部屋に足元灯を設置しているので、被災時には取り外して、懐中電灯代わりにできます。
2016年6月現在の情報となります。