突然来た地震の揺れで、頭が真っ白に・・・
いざという時に適切な対処ができず後悔しないために普段から
知っておくべき防災の知識を、危機管理アドバイザーの国崎信江さんに伺いました。
地震や火災が発生した時、最優先で守らなければならないのは、家族一人ひとりの命です。ただ、被災時には自分の身の安全を確保するのに精いっぱいという状況も考えられます。そこで、家族のそれぞれが自分の判断で避難できるように備えておくことが大切です。
我が家の玄関収納には、ヘルメットと防災べストを家族の人数分、すぐ手に取れる形で置いています。私の場合、ベストにはブザーや簡易トイレなどを入れています。避難時には家族全員で一緒に行動できるとは限らず、家族それぞれで必要なものが違うはずなので、持ち出すものは個別で用意するとよいでしょう。自分で必要なものを用意することで、子どもも防災を身近に感じられます。
避難の際、非常持ち出し用リュックにさまざまなものを詰め込んで背負うと、重すぎて走れません。そこで、身動きが取りやすいよう、ベストや小さい鞄などに最低限必要なものだけを入れることも私はおすすめします。また、外出の際は簡易トイレや食料などを持ち歩くと、非常時に役立ちます。
防災を前提とした家づくりは日頃の快適さやきれいさにもつながると、私は考えています。
我が家は、全ての部屋に2方向の出入口がある間取りにしているので、被災時に一方の出口が塞がっても、もう一方から逃げられます。2方向の経路は部屋同士を行き来しやすくするので、生活動線が短いということに加え、家族がコミュニケーションを取りやすいという利点もあります。
さらに、入念な収納計画の下、収納スペース外にものを出さないことで、避難経路を確保しつつもすっきりとした暮らしを実現。また、飲料水は10日分、食料や日用品は1か月分を目安に備蓄をしています。収納と備蓄を分けて考えずに置き場所を設けることで、いざという時に必要なものを使えますし、普段から片づけやすくなり、快適に過ごせます。
地震が来たら、自分の身の安全を最優先に。揺れている間は火元や窓際に近づかないようにしましょう。子どもには、安全な空間に身を隠すよう普段から教育しています。確実に身を守れる空間が各部屋にあると理想的ですが、机に補強柱を設置するだけでも安全を確保できます。
揺れが収まったら、まず靴やスリッパを履き、ガラス片などによる足のけがを防ぎましょう。そして、けがの有無や家族の安否、部屋の状況を確認し、次にとる行動を決めます。火災が発生しても、揺れが収まるまで待ちましょう。煙を吸わないように注意し、初期消火ができなければ迅速に避難することが大切です。
状況確認と並行して、家の外までの経路を確保します。戸棚などが倒れて塞がれてしまう前に、ドアや窓を開けておきましょう。平屋やマンションの下層階などでは、窓やバルコニーからも避難できるように。集合住宅では、玄関が耐震ドアであるかを確認しておきましょう。
避難の必要がある場合は、最小限の荷物を持って家から離れます。避難の判断は口コミに頼らず、確かな情報源から。テレビやラジオ、インターネットなどで、地震の規模や被害状況を把握しましょう。避難の際は、戸締りや貴重品の携行など、防犯にも気を配ることが大切です。
2016年8月現在の情報となります。