季節の花を住まいに飾り、心を込めて花を贈る。
そんな〝花文化〞を子どもに伝え、一緒に楽しむ方法について、
「Flower Friday」を推進する全国花き振興協議会にお話を伺いました。
私たちは昔から、季節の花や草木を愛で、四季を感じる心を大切にしてきました。花や植物と関わりの深い風習や年中行事も多く、現代の暮らしにもさまざまな形で受け継がれています。小さい頃から花に親しむことで、こうした日本の〝花文化〞への理解・関心が高まり、移ろう四季に対する繊細な感性が育まれます。
まずは日常の中で、子どもが季節の花に触れる機会を設けましょう。一緒に街へ出て公園や道端の花を観察したり、花屋さんへ行ったり。「春になったから○○が咲いたね」などと声をかけてあげると、自然と興味を持つようになるでしょう。
ご家庭で子どもと一緒に花を飾る際は、手軽な一輪挿しから始め、次のステップとして複数の花を用いたアレンジにも挑戦してみてください。細やかな作業やバランスを考えた配置が求められるため、子どもの集中力や創造力の向上にもつながります。本格的なアレンジや生け花の知識がなくても、ちょっとした工夫で季節感やオリジナリティーを演出できます。下部の例を参考に、お子さんと共に楽しみながら住まいを彩ってみてはいかがでしょうか。
お正月(松)に始まり、節分(柊(ひいらぎ))、ひなまつり(桃の花)、端午(たんご)の節句(菖蒲(しょうぶ))、七夕(笹)、お月見(ススキ)など、日本には、花や植物を飾る年中行事が多く存在します。こうした行事も、子どもが自然の草花に触れ、伝統文化への理解を深めるきっかけになるため、ぜひご家庭に取り入れてみてください。
ある調査で「春の七草を知っているか」と聞いたところ、小さい頃に家庭で七草がゆを食べた経験がある人ほど「知っている」と回答した割合が高かったそうです。家族とコミュニケーションしながら実際に行事を体験することで、自ずと知識が身につくのでしょう。行事に飾る花や植物にはそれぞれ由来や歴史があるため、お子さんと一緒に調べてみても楽しいかもしれません。
行事の中には、母の日(カーネーション)、父の日(バラ)など、特定の花を贈る日もあります。最近は、女性にミモザをプレゼントする「ミモザの日(3月8日:国際女性デー)」や、親しい人同士で一輪のバラと一冊の本を贈り合う「サン・ジョルディの日(4月23日)」など、海外発祥の風習も知られるようになりました。
感謝や祝福の気持ちを花に託す文化も、ぜひ子どもに伝えていきたいもの。行事、あるいは友達や家族の誕生日などに、お子さんと一緒に花を贈ってみてはいかがでしょうか。花を選ぶ際は、「花言葉」や「誕生花」をヒントにしてもいいかもしれません。12か月それぞれの誕生花、365日の誕生花があります。 相手のことを考えながら自分で花を選び、喜んでもらう経験を通して、きっと子どもたちも人と人の心を結ぶ花の力に気づいてくれることでしょう。
春
春の訪れを知らせるミモザを飾ろう
愛らしいミモザに、グリーンを添えて。明るい黄色が住まいに華やぎをもたらし、気持ちも春に向かいます。
夏
貝がらやワイヤーで涼しげに演出
花を固定する「花留め」にアルミのワイヤーを使い、海で拾った貝がらを飾れば、ぐっと夏らしい雰囲気に。
秋
栗を使ってお月見アレンジ
秋の花と、実りの秋にちなんだ栗や里芋を飾ります。月見団子代わりに白いピンポンマム(菊)を入れてもOK!
冬
お手製!クリスマスのドア飾り
モミを切り分けてワイヤーやひもで束ね、クリスマスのオーナメントを飾れば、簡単ドア飾りのできあがり。
イラスト作成:JFTD学園日本フラワーカレッジ 高橋 洋子
全国花き振興協議会「くらしに花を」WEBサイト 「お花でwaku! waku!」
全国花き振興協議会
川上から川下までの花産業6団体が、花の生産流通の改善および消費の増進、花き産業の振興を図ることを目的として活動する連合組織。農林水産省が推進する「くらしに花を取り入れる新需要創出事業」を実施しており、日常生活における花・緑の利用促進につながる新たな花文化を創出することを目指し「Flower Friday~週末のくらしの花~」の普及に取り組んでいる。
2018年4月現在の情報となります。