地震や台風、大雨など自然災害の多い日本。
災害発生後も暮らし続けられる住まいづくりのヒントを、
危機管理アドバイザーの国崎 信江さんに伺いました。
私が防災に対する意識を持つようになったきっかけは、阪神・淡路大震災です。被災した神戸の街並みが他人事には思えず、緊張を覚えた出来事でした。以来、防災について研究するようになりました。その中で災害から家族を守るために必要だと気付いたのは、「自然災害が起こりにくい土地」で「倒れない家」を建てることです。
災害に強い家づくりでは地盤の強さがとても重要です。地震や大雨による洪水や津波、土砂崩れ、液状化が予想される地域が記載されたハザードマップを複数照らし合わせて、被害の少ない所を選ぶと良いでしょう。また、図書館で閲覧できるその土地の災害史や、インターネットで公開されている国土地理院の地質地盤情報も参考になります。
地盤の強さに加えて、隣家の状態を確認することもお勧めします。自宅が耐震化されていても、周囲の住宅が倒れて、被害を受けるケースもあるからです。街全体の防災意識も土地を探す際の基準にしてもらいたいですね。
災害に強い家づくりでは、災害時を意識しながらも、普段から快適に過ごせる工夫が大切です。生活上の便利さと複数の避難経路確保の観点で間取りを検討しましょう。例えば、ウォークインクローゼットを介して個室をつなげれば、収納を共有できる利便性もあり、災害時にドアが塞がってもクローゼットから脱出することができます。
また、スムーズに避難できるよう、物の少ない整った住まいを心掛けましょう。置き家具は転倒の危険があるため、造り付けの収納がお勧めです。災害後の備えとして、食糧をストックできるパントリーも重宝します。さらに、エコシステム(下部:POIINT 4)があると平常時は経済的な上、水道や電気などのライフラインに被害が出た際にも役立ちます。
住まいの中でも危険性の高い階段は、滑り落ちても途中で止まるように踊り場を設けると安心です。停電時はもちろん、平常時も役立つセンサーライトを廊下や個室の足元に設置するのもお勧めです。
BOUSAI
どの空間も避難経路を複数確保することが大切です。リビングを中心に個室をつなげて各部屋を回遊できるようにしたり、ウォークスルークローゼットを介して個室をつなげるなど、出入口を確保しつつ機能性も考えた間取りを意識しましょう。
置き家具は災害時に倒れてしまい、挟み込みや閉じ込めの危険性があります。食器棚、クローゼット、シューズクロークなどは、造り付けの収納がお勧めです。中の物の飛び出しを避けるため、収納の扉にはストッパーを取り付けると良いでしょう。
大きな家具は専用の器具で固定。非常時に逃げ道を塞がないよう、ドア付近や廊下、階段には物を置かず、片付いた状態にしましょう。掃除機やストック品などの生活用品一つひとつの収納計画をしっかりと立て、すっきりと過ごせる空間を保つことが災害時にも役立ちます。
ライフラインに被害が出た時に役立つのが、水をストックできるエコキュートや雨水タンク。庭があるなら、井戸を設置することも一案です。また、太陽光発電機や蓄電池、発電機、電気自動車があれば、停電時にも電気を使用することができます。
2018年10月現在の情報となります。