汚れがついたら軽いうちにこまめに取り除けば、掃除は簡単にすみます。毎日する場所、週1回する場所、月に1回念入りにする場所などに分け、無理せずできる範囲で計画を立てましょう。汚れの種類や状態を知り、どこをどのように掃除をするか、動線や手順を確認しておくことも大切です。
住まいには、さまざまな素材が使われています。知らないまま掃除をすると、かえって汚れを広げたり、素材を傷めてしまうこともあります。掃除を始める前に、掃除する場所の材質を確認しておきましょう。また、効率よくきれいにするために欠かせないのが、洗剤や道具類。特性や正しい取り扱い方を知って、上手に使いこなしましょう。
掃除を行うときは、最初に手順を確認しておくと、ムダなくスムーズです。
ホコリは上から下へ落ちるので、掃除は高い場所から始めて、低い場所で終わるようにします。床掃除をした後で、家具などのホコリやゴミを払うと、それが下に落ちて、再度掃除することになります。
床掃除をするときは、掃除をしたところを踏んで汚さないように、出入口から遠い奥から、手前に向かって進めましょう。特にワックスがけを行うときは、乾くまで歩けないことになるので注意を。
洗剤を使って掃除するときは、下から上へ行います。逆に行うと、液だれしたときに跡が残って取れない場合も。拭き取りも下から上が基本です。
洗剤を汚れに直接かけると、ムラやしみの原因になったり、素材を傷めることもあります。洗剤を使用するときはまず、スポンジやぞうきんにつけて、目立たない場所で試してから行いましょう。
まずはマイルドな洗剤で軽い汚れを落とし、それでも落ちないひどい汚れはもう少し強い洗剤を使います。このステップで素材に影響がないかをチェックしながら作業を進めると、大きな失敗が防げます。
汚れの種類によって、掃除方法が異なります。掃除する場所の材質を確認し、 洗剤や道具を使い分けて効率よくきれいにしましょう。
掃除を始める前に、掃除をする対象面の材質をチェック。特に水を吸い込む素材か、はじく素材かによって、掃除の仕方が変わってきます。対象面に水滴を落としてみて、すっと吸い込めば、水を吸う素材です。プリント合板のように一見、木のように見えて紙の場合もあるので、慎重に見極めましょう。
水を吸い込む素材
紙、布、木材(素木)、しっくい、皮、土壁など。水や洗剤を使うとしみの原因になります。
水を吸い込まない素材
塩化ビニール、化粧合板、プラスチック、ガラス、金属など。水や洗剤を使うことができますが、洗剤によっては、変色するものもあります。目立たない場所で確かめてから使用すると安心です。
障子など水拭きできない場所は、はたきや柔らかいブラシで、こまめにホコリを取り除く。
洗剤には、場所ごとにキッチン用、住居用、浴室用、トイレ用などがあり、さらに油汚れ用、カビ用など汚れの種類によって細かく分類されています。洗剤の液性や種類を確認し、汚れの具合に応じて必要なものを選びましょう。ついてすぐの汚れなら、水やお湯で落とせる場合もあります。まずは、水拭きをして、落ちない部分に洗剤を使いましょう。使用説明を確認し、洗剤は混ぜて使用しないこと。特に塩素系の漂白剤「混ぜるな危険」の表示には注意が必要です。
洗剤の液性と適する汚れの種類
- 酸性
尿石、こびりついた石けんかす、水あかなど。 - 弱酸性
湯あか、軽い石けんかすなど。 - 中性
付着後、長時間経過していない、軽い汚れに。 - 弱アルカリ性
一般的な汚れから、皮脂汚れやたばこのヤニなど、広範囲の汚れに適応。 - アルカリ性
頑固な油汚れ、しみなど。
※酸性やアルカリ性は洗浄力は高いが、素材に与えるダメージや皮膚や目に与える刺激が大きい。酸性タイプのものは塩素系漂白剤と混合すると危険なので注意を。
洗剤の種類
- 合成洗剤
主成分は界面活性剤。油と水を結びつけやすくする働きによって、汚れを素材から引き離して落とします。液性は酸性・弱酸性・中性・弱アルカリ性・アルカリ性の5段階。 - 洗浄剤
主に酸やアルカリの化学作用で汚れを落とし、一般的に合成洗剤よりも強力。キッチンや浴室・トイレなどのしつこい汚れ、カビ取りなどに使用します。 - 研磨剤
こびりついた汚れをこすり落とすときに使います。粉末タイプよりクリームタイプの方が粒子が細かいので、素材を傷つけにくいです。クレンザーは界面活性剤に研磨剤を加えたものです。 - 漂白剤
しみや汚れの色素を化学反応によって分解し、白さを回復。酸素系より塩素系の方が強力です。還元型は鉄さび汚れや、塩素系漂白剤で黄色に変色したものを元に戻す働きもあります。
使いやすい道具を選ぶことで、効率よく汚れが落とせます。クロスやブラシもさまざまな種類があるので、汚れの種類や掃除する場所に応じて使い分けましょう。さらに正しく使いこなすことも大切です。例えば、掃除機の場合、ゴシゴシと力を入れて速く動かすより、前方に押してから手前に引くまでゆっくり時間をかける方が、吸い取るゴミの量が多くなります。また、道具が汚れているときれいに掃除できません。こまめにメンテナンスをして、機能を発揮できるように保ちましょう。
クロス
ぞうきん
吸水力があり、汚水や洗剤分を拭き取るのに適しています。乾拭きなどの際は繊維が残ってしまう場合もあるので注意。
マイクロファイバークロス
超極細の繊維が微細な汚れをからめ取るので、洗剤を使わず、水拭きだけでもきれいに。繊維や毛羽が残らないので、乾拭きにも適しています。
ブラシ
例えば、サッシの溝にたまった汚れをかき出す際には、毛足が長いサッシブラシが便利。掃除する場所によって、ブラシを使い分けましょう。
取材協力/株式会社ダスキン
2018年2月現在の情報となります。