2017年4月から消費税率が10%に上がります。
消費税率8%で新居を建築できる期間は、残りわずか。
増税に伴う補助金制度や税制優遇も確認しておきましょう。
2015年度税制改正関連法により、消費税率(消費税+地方消費税)の8%から10%への引き上げ時期が、当初の予定から1年半先延ばしとなり、2017年4月1日に決まりました。つまり、2017年4月1日以降に購入するものは、基本的に消費税率が10%になるということです。
では、注文住宅の場合、建設中のものはどうなるのでしょうか。引き渡しが4月1日以降であれば、消費税率は10%になるはずですが、条件によっては8%のままということもあるのです。
注文住宅の場合、じっくりと考えて建設すると、計画開始から入居まで1年前後かかると言われています。消費税のルールをおさらいすると、消費税率8%のうちに住まいを建てるためには2つの方法が考えられますが、どちらも、そろそろ動き出すべきタイミングを迎えていると言えるのではないでしょうか。
2014年4月に5%から8%となった増税時には、前年度に駆け込みで住宅を建てた方が急増しました。持家着工数のデータによれば、2012年度が約32万戸に対し、2013年度は約35万戸に急上昇しています。工事数の急増で人手が足りず、契約しても着工ができない事態が発生しました。
今回の増税も前年となる2016年度の持家着工数が増加することが予測されます。8%で契約できる期限である2016年9月30日に向けて契約が集中すると、前回のように着工時期が遅れる可能性も考えられます。近年中に新居の建築を計画されている方は、余裕を持って検討されてはいかがでしょうか。
また、消費税の増税は、建築費用だけでなく、「すまい給付金」や「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」などの制度にも影響があるため、しっかりと把握し、計画を有利に進めましょう。
2017年4月1日以降に引き渡しを受ける建物には10%の消費税がかかりますが、2016年9月30日までに請負契約を結んだ建物については、引き渡しが2017年4月1日を過ぎても消費税率は8%が適用されます(税率引き上げに伴う経過措置)。このルールに従えば、消費税率8%で建てる方法は下図の【1】【2】となります。
※工事請負契約、または購入者が内・外装、設備または構造について特別な注文を付けられる売買契約が対象
「すまい給付金」は、消費税率引き上げによる住宅取得者への負担を軽減するための制度。消費税率8%の場合、住宅ローンを利用して住宅を購入すると、年収に応じて10万円~30万円の給付金を受け取ることができます(2019年6月30日まで)。消費税率が10%へ引き上げされた際には、給付額が最大50万円に。年収基準も緩和される見込みです。また、50歳以上で購入する住宅が一定の基準を満たしていれば、現金購入も対象となります。
※住宅の床面積が50㎡以上、第三者機関の検査を受けた住宅が対象となる等、諸条件があります。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」とは、両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合、一定金額まで贈与税がかからない特例のこと(2019年6月30日まで)。2015年は非課税限度額1000万円(良質な住宅は1500万円)でしたが、2016年以降は、時期により非課税枠が増減。特に2016年10月~2017年9月は消費税率が10%の場合、大幅に拡大します。この制度は、年間110万円の基礎控除と併用できるので、合計すると2610万円(良質な住宅は3110万円)まで贈与税ゼロで援助が受けられます。
※制度の適用には、「贈与を受けた年の翌年の3月15日までに居住する、もしくは居住することが確実と見込まれること」また、「贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること。家屋の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下であることなどの条件があります。
※掲載の情報は2015年10月現在のものです。内容は制度運用中でも変わる場合がありますのでご了承ください。
アドバイス
住まいる総合研究所 井口 克美先生(住宅評論家)
1987年株式会社リクルート入社。SUUMO(旧週刊住宅情報)及びSUUMOカウンターにて、営業及び企画を担当。
マンションから注文住宅まで幅広い領域で活躍。2014年「住まいる総合研究所」を設立し、セミナー講師及び執筆活動に取り組んでいる。
2015年10月現在の情報となります。