住宅ローン金利は史上最低水準を推移しています。
この機会をうまく活用したいところですね。
今回は上手に資金計画を立てるために、住宅ローンの基礎知識をまとめました。
住宅ローンの金利タイプと返済方法は次のように大別されます。特徴やメリット・デメリットを理解し、自分に合うものを選びましょう(詳しくは下記参照)。
- 金利タイプ
- 1全返済期間の金利が一定である「全期間固定型」
- 2一定期間の金利が固定されている「固定期間選択型」
- 3返済途中で定期的に金利が変わる「変動型」
- 返済方法
- 1元金と利息を合わせた毎月の返済額が返済期間を通じて一定になる「元利均等型」
- 2毎月一定の元金と残元金に対する利息を合計した金額を返済する「元金均等型」
一般的に、無理のない年間返済額は、世帯年収の約25~30%と言われます。世帯年収が800万円なら年間200~240万円、月々約16.7~20万円となります。ただし、貯蓄金額などの状況に合わせて資金計画を組むことが大事です。
住宅ローンを利用して住宅購入する場合、ローンの総返済額を把握することが大切です。金利の差は小さくても、長期間借り入れると総返済額で大きな差が生じます。金利が下がると、借入額を増やしても総返済額が減るという逆転現象が起きる場合もあります。購入時は物件価格ばかり意識しがちですが、ローン金利を考慮し、総返済額が幾らになるのかを考えて判断しましょう。
総返済額は住宅ローンの返済が始まってからでも抑えることができます。その方法の一つが繰り上げ返済です。繰り上げ返済とは、毎月(またはボーナス時)の返済以外に、残高の全部または一部を返済すること。一部繰り上げ返済には、毎月返済額を変えずに返済期間を短縮する方法と、返済期間を変えずに月々の返済額を少なくする方法があります。いずれも総返済額は減りますが、それぞれの特徴を把握した上で、自分に合う方法を選んでください
(詳しくは下記参照)。
住宅ローンには数多くの種類があり、それぞれ金利タイプや返済方法などが異なります。複数の住宅ローンを組み合わせることも可能です。ベストな組み合わせは借りる人の状況や考え方によって変わりますので、自分の条件を考慮して資金計画を立てましょう。
金利タイプ
確定した金利が全返済期間中変わらないタイプ。他の金利タイプに比べて総返済額が少し高めになりますが、安定した返済計画を求める人に向いています。
返済期間中の一定期間の金利が、固定されるタイプ。固定期間終了後は、変動金利や再選択した固定期間型になります。
返済途中でも定期的に金利が変動するタイプ。一般的に金利は年2回、返済額は5年に1回見直されます。
返済方法
金利が変われば毎月返済額と総返済額が大きく変わります。たとえば4,000万円を35年返済(月々返済のみ)で借りた場合の毎月返済額は、金利が2.5%なら142,998円、金利が1.03%なら113,474円(A)。その差は29,524円、年間で354,288円です。35年間の総返済額を比較すると、約6,006万円と約4,766万円で、差は約1,240万円にもなります(B)。また、金利2.5%で3,250万円借り入れた場合と、金利1.03%で4,000万円借り入れた場合を比べると、後者の方が借入額が750万円も増えているのに総返済額は少なくなります(C)。
金利と総返済額の関係
- ※フラット35(全期間固定金利)返済期間35年間・元利均等型・月々返済のみ
- ※2010年頃の金利2.5%と2016年11月の金利1.03%で比較
繰り上げ返済には、期間短縮型と返済額軽減型があります。同じ金額を繰り上げ返済した場合、前者の方が減額される利息額が多くなります。どちらのタイプでも、より効果を上げるためには、早い時期に行うことが大切。複数の借り入れがある場合、金利が高い方のローンから優先的に繰り上げ返済を行いましょう。
繰り上げ返済の種類
期間短縮型
返済が短縮された期間分の利息を減らせるので、完済する時期を早めたい人に向いています。
返済額軽減型
毎月の返済額が減るので、教育費などの将来の支出に備える場合や、収入が下がっている場合に有効です。
(一社)住まいる総合研究所 井口 克美先生(住宅評論家)
1987年株式会社リクルート入社。SUUMO(旧週刊住宅情報)及びSUUMOカウンターにて、営業及び企画を担当。マンションから注文住宅まで幅広い領域で活躍。2014年「住まいる総合研究所」を設立し、セミナー講師及び執筆活動に取り組んでいる。
2016年12月現在の情報となります。