いつ発生するのか、予測が難しい地震ですが、
万が一の際も被害を最小限に、安全を確保できるよう備えておきたいもの。
ここでは、そもそもなぜ地震が起きるのか、原因と揺れの種類を解説。
防災につながる暮らし方の工夫のほか、地震発生時や、避難時に必要な行動をまとめました。
また、非常時も電気を自給自足でき、安心して過ごせる大和ハウスの家の特長もご紹介します。
ぜひ日頃から家族で話し合って、災害時への備えを進めておきましょう。
Part1地震の原因(地震が起きる理由)とは?
日本の面積は世界全体の0.25%と少ないにもかかわらず、マグニチュード6以上の地震回数は世界全体の20.8%と高い数値が観測されています。首都直下地震や南海トラフ地震など、今後大きな被害が予想される巨大地震の可能性もあり注意が必要です。まずは地震発生の基本的な仕組みを見ていきましょう。
地球を覆うプレート
地球は中心からいくつかの層が重なってできています。表面を覆う「地殻」の下には、地球内部を対流している「マントル」があり、マントル上部と接した地殻の岩盤は「プレート」と呼ばれています。世界に十数枚あるプレートのうち4つが日本周辺に集まっています。対流しているマントル上部にあるプレートは少しずつ動いており、海のプレートである太平洋プレート、フィリピン海プレートは、陸のプレート側へ1年あたり数cmの速度で移動しています。そのため日本周辺は、複数のプレートにより複雑な力がかかる状態になっています。
※イメージ
プレートがぶつかり合うことで地震に
少しずつ動いているプレートが互いにぶつかり、すれ違うなどして、片方のプレートがもう一方のプレートの下に沈み込むことがあります。境目の付近は沈み込んだプレートが元に戻る反動などで強い力が働き、多くの地震はこの力により引き起こされます。世界中で地震が発生している場所を調べると、地震の多いところと、少ないところが明確に分かれますが、地震が多いのはプレート同士が接している付近がほとんどです。地下で起きるプレートの「ズレ」が地震の大きな要因になっています。
硬い物に大きな力が加わり、それに耐えられなくなると、ひずみが生じます。地下のマントルの対流により大きな力がかかっているプレートが、限界に達すると亀裂が入ったり、大きく動いたりして地震が起こります。前述の通り日本周辺には複数のプレートがあるため、世界でも有数の地震多発地帯となっています。なお、すべての地震がプレートの境界で発生しているわけではなく、ハワイや中国内陸部などプレート内部で発生する地震もあります。
通常の地震はガラスが割れるように一気に破壊が進行します。しかし、2024年1月の令和6年能登半島地震では、海底の地殻にたまった水などの流体が、ゆっくりとした断層破壊を引き起こしたのが原因となっているようです。水などの流体によるものと考えられる群発地震が以前から活発化しており、それが海底活断層の滑りを誘発して大地震につながったと推測されています。ただし、まだ研究が進められているところで、明確な理由は分かっていません。
Part2地震の種類は?地震の縦揺れ・横揺れとは?
地震は発生する場所やメカニズムの違いから、「海溝型地震」「活断層型地震」「火山性地震」の3種類に分けることができます。また、震源からの揺れを伝える「地震波」には、「縦波(P波)」と「横波(S波)」があり、大きな被害をもたらすのが「横波(S波)」による横揺れだといわれています。
地震の3種類
海溝型地震
対流するマントルの動きにより、プレート同士がぶつかっていることを前述のパート1でお伝えしました。日本周辺では、陸のプレートに対して、厚くて重い海のプレートがぶつかることで下に沈み込み、海底に深い海溝がつくられている場所があります。水深6,000m以上の深さのものを「海溝」、それより浅いものは「トラフ」と呼ばれています。この深い溝に、海のプレートが沈み込んでいくに従って、陸のプレートも少しずつ引き込まれ、両方のプレートの間にひずみが蓄積します。
陸のプレートが元に戻ろうと反発する際に、放出される巨大な力が引き起こす地震が「海溝型地震」です(プレート境界型地震、プレート間地震とも呼ばれます)。海底が震源地となる海溝型地震では、プレートが海底で跳ね上がることで海面が上昇し、津波が発生することがあります。また地震の揺れの規模と比例して津波の規模が大きくなるケースもあるため、海溝型地震が発生したときは、海岸に近い地域では特に警戒することが重要です。過去の地震では、東日本大震災(2011年)などが該当します。
活断層型地震
プレート同士がぶつかる海の底ではなく、陸のプレートの中で起こるのが「活断層型地震」です(直下型地震・内陸型地震とも呼ばれます)。地下の地層や岩盤が周囲から押されて地盤にズレが生じたところを「断層」といい、長期にわたり活動を繰り返し、今後も活動が続くと予測される断層は「活断層」と呼ばれます。断層に蓄積されたひずみが限界に達したときに生まれる膨大なエネルギーが、活断層型地震を引き起こします。
居住地から震源地が近いことが多く、発生から短時間で揺れを感じます。下から突き上げられるような衝撃や、縦方向に伝わる揺れが起こり、比較的短い時間で収まることが多いようです。震源が浅いときは地震警報が間に合わないこともあります。局所的に強い揺れになることもあり、家屋の倒壊によって火災が起こり、大きな被害が生まれることもあります。マグニチュード7.3で被害が大きかった阪神・淡路大震災(1995年)も活断層型地震でした。
火山性地震
火山の噴火、地下のマグマ、熱水の活動などにより、火山体やその周辺で発生する地震を「火山性地震」といいます。マグニチュード5以下の比較的小さな規模の地震で、揺れも震度1以下であることが多いですが、まれに大きな地震となることがあります。火山性地震は発生のメカニズムが通常の地震とは異なり、前震や余震がなく、本震のみが単独で発生するとされています。
火山の爆発的噴火に伴い発生するものを「爆発地震」と呼び、これは火山性地震の中では大規模で、空気の振動が衝撃波となって空気中を伝わる「空振(くうしん)」を起こします。そのほかにも、火山の活動に伴い「火山性微動」と呼ばれる震動が起こることもあります。火山性地震を観測し、発生原因や震源の移動などを把握することが、噴火を予測する際の重要な手掛かりとなっています。島しょ部や海底の火山などの噴火では津波が発生する可能性があり、沿岸地域は速やかな避難行動が必要になります。
地震の縦揺れ・横揺れとは?
縦揺れ
自分のいるところと震源地との位置関係によりますが、地下の比較的浅いところで発生した活断層型地震では、下からドンと突き上げられるような、強い縦揺れを感じることがあります。地震の規模が大きな縦揺れの場合は、固定していない家具は飛び上がって転倒し、建物の柱が基礎から引き抜かれるなど、大きな被害をもたらす可能性があります。建物の揺れを防止する免震構造は一般的に縦揺れに弱いことが多く、人に与える心理的な不安も大きいようです。
横揺れ
地震の横揺れは、地面に対して水平方向に動くため、人は前後左右に揺さぶられるような状態になります。テレビや冷蔵庫などが室内で大きく移動し、重心が上にある家具は転倒の可能性があります。特にマンションなどで高層階に住んでいる場合は揺れ幅が大きくなるため注意が必要です。また、横揺れを発生させることが多い海溝型地震では、海岸や河川の近くは津波に備えた行動も重要になります。
Part3地震が発生する前の対策
地震が起きる前にどんな備えをしておくと良いのでしょうか。まずは地震発生時のケガを防ぐために家具を固定したり、食料品や飲料水の備蓄をしたり、できることから少しずつ始めましょう。また、外出先の家族との安否確認の方法や、集合する避難場所を決めておくと安心です。ぜひ災害に強い暮らし方について考えてみましょう。
家具・家電の配置見直しや固定をする
地震は24時間365日いつ起こるか分かりません。自宅で就寝中に発生する可能性もあります。強い縦揺れで大きな被害を生んだ阪神・淡路大震災は、早朝という時間帯もあり、亡くなられた方のほとんどが、家具などの転倒や家屋の倒壊による圧死でした。地震が起きたら室内にある家具や家電は転倒・落下するものだと考えて、L字金具や突っ張り棒で固定したり、粘着シートで動きにくいようにしたり、対策しておくことが大切です。
寝室や子ども部屋には家具などをなるべく設置しないようにして、どうしても必要な場合は背の低いタイプを選ぶと良いでしょう。避難経路となる出入り口、廊下、玄関はスペースが確保できるよう特に注意が必要です。キッチンにある冷蔵庫は重量があるため、地震で移動したり倒れたりすると大変危険です。また、キッチン内のガスコンロで火を使っている場合は、冷蔵庫が倒れると消火の妨げになる可能性もありますので、十分検討してから設置しましょう。
ケガを防止する
地震直後にケガをしてしまっては、避難や片付けがスムーズにできなくなってしまいます。食器棚やキャビネットなどの扉、窓に使われているガラスは割れると非常に危険ですので、できれば飛散防止フィルムなどで対策を取るのがおすすめです。お皿やグラス、陶器製のインテリア、調理用の刃物なども、大きな揺れの際には室内を飛び回る凶器になります。置く場所などを考慮して、常用するもの以外はなるべくしまっておくなど、日頃から整理しておくと良いかもしれません。
すぐ外へ避難しなければならないこともあり、破損した家具や建物のかれき、ガラスの破片などが散乱したところを移動するときに履物は欠かせません。スリッパは危険ですので、できれば外を安全に歩けるスニーカーなどを寝室に用意しておきましょう。地震の影響で停電になることもありますので、真っ暗な中でも、懐中電灯、ラジオ、すぐ使う防災グッズなどは取り出しやすい場所に置いておきましょう。停電時に点灯する保安灯などを、寝室や廊下に設置しておくと安全に避難できます。
家族や友人と安否確認の方法を共有する
昼間の時間帯など、家族がそれぞれの職場や学校に出掛けているときに地震が発生することもあるかもしれません。離れた場所にいると安否確認が難しくなるため、万が一を想定して連絡の取り方や、集合する避難場所を話し合って決めておきましょう。災害発生直後は、携帯電話やインターネットの通信回線が混雑でつながりにくくなり、通常の状態に復旧するまでに時間がかかることも考えられます。
そんなときのために、大規模災害時に利用できる、災害用伝言ダイヤルや、災害用伝言板の使い方を確認しておきましょう。災害用伝言ダイヤルなら、「171」に電話をかけて音声メッセージを録音でき、自分の電話番号を知っている家族などが、その伝言を再生できます。災害用伝言板では、文字メッセージで安否情報の登録が可能です。登録された文字情報は全国どこからでもインターネット(パソコン・スマートフォン・タブレットなど)経由で確認することができます。
避難経路・避難場所の確認をする
普段あまり知る機会がないかもしれませんが、万が一のために避難経路と避難場所を知っておくことはとても重要です。住んでいる地域の自治体のホームページや、国土交通省のハザードマップポータルサイトなどから、防災マップやハザードマップを入手して、近隣の学校や公園にある避難場所と、現地に行くまでの避難経路を確認しておきましょう。実際に歩いてみるとルートが覚えやすくなり、災害時に慌てず移動できるはずです。最短ルートが火災や崩落などで使用できないこともありますので、複数のルートを想定しておくことも大切です。
地震だけでなく台風や豪雨などが同じタイミングで発生することもあります。通常は住んでいる地域ごとに避難場所が決められていますが、近隣にあるそのほかの避難場所についても把握しておくと、より安心でしょう。河川が近くにある場合は浸水、海岸が近いなら津波、崖が多いなら土砂崩れなど、複数の視点から危険性をチェックしておくと良いかもしれません。避難するときの迂回路も見つけやすくなるでしょう。
自宅に防災グッズを準備しておく
用意しておきたい防災グッズには、懐中電灯、ラジオなどすぐに使うもののほかに、ライフラインが復旧して支援物資が届けられるまでの間に必要な食料品、飲料水、生活用品などがあります。備蓄する量は3日分以上を目安とし、家族の人数分を用意できると良いでしょう。自宅からの避難が必要になる状況も想定して、非常用持ち出しリュックに現金、健康保険証利用を登録したマイナンバーカード(健康保険証は2024年12月2日以降新規発行が終了)などの貴重品や、常用薬、救急用品、洗面用品などをまとめておくと安心です。
食料品や飲料水などは、復旧に時間がかかることも想定して、可能なら1週間程度の備蓄が理想です。飲料水は1人1日3リットルが必要といわれますが、食料品と合わせるとかなりの量を保管しなければなりません。普段から食べている保存性の高い食料品を少し多めに購入し、使った分を買い足していくローリングストックなら賞味期限切れを防げます。平常時と災害時のフェーズ(状態)に関わらず、生活の質を維持するフェーズフリーの考え方を上手に取り入れるのもおすすめです。
家族の一員であるペットのフードと飲み水、療法食や薬も、人と同じように1週間程度の備蓄が望ましいです。災害時は、ペット用物資の配送は優先順位が低くなる可能性があり、入手困難になる状況も想定して準備することが大切です。ペットとの「同行避難」にも備えて、キャリーバッグ、予備の首輪、リード(伸びないもの)、食器、トイレ用品などを持ち出しできるようにしておきましょう。犬の場合は毎年、市区町村で登録して鑑札を受け、狂犬病予防注射の接種を忘れずに。
最小限の防災グッズを持ち歩く
最小限必要な防災グッズを普段から持ち歩くようにすれば、外出先で地震が起こった際も安心です。モバイルバッテリー、マスク、ウェットティッシュ、ばんそうこう、生理用品、ビニール袋、あめ、チョコレートなどを一緒に、さり気なくポーチなどに入れておきましょう。かばんの中でもかさばらない程度の大きさ、重さも300g以内など軽くなるようにするのがポイントです。緊急連絡や状況確認でスマートフォンを多用することも考えられるので、特にモバイルバッテリーの予備があることはとても重要です。
災害に備える家づくりをする
地震に強い家を建てたい。そう考えるなら、建物の耐震性能だけでなく、土地選びが大切になります。国土交通省・国土地理院の「重ねるハザードマップ」などを参考に、土地の成り立ちから確認すれば、地盤の強さの目安が分かります。地震の際に危険なのは揺れだけでなく、同じタイミングで発生する津波や洪水、土砂災害も考慮に入れる必要があります。「重ねるハザードマップ」なら、住所を入力すれば、さまざまな災害のリスクを追加して調べることができ便利です。
建物については、揺れに強い構造や基礎を持つことが必須となります。また、外観デザインについてはシンプルな形の方が地震の揺れのエネルギーを均等に受けられ、建物の負担が少ないといわれています。防災グッズをすぐに取り出せる収納の工夫や、備蓄用の食料品もしまえる大容量パントリーを設けるなど、災害時を考慮した間取りにする必要もあるでしょう。また、停電してしまうとエアコンを使用できないため、断熱性能の高さも大切なポイントの一つになるかもしれません。
つまり、耐震性や断熱性が高く、災害でインフラが停止しても自宅で生活できるよう、十分な備蓄品と電気の確保ができる家が望ましいでしょう。
大和ハウスでは、阪神・淡路大震災クラスの衝撃を基にテストした構造や、類焼の被害を防ぐ構造、地震による電気火災を未然に防ぐなどの非常時対策を導入しています。さらに、太陽光発電とエネファームで使う電気を蓄電池にためる「全天候型3電池連携システム」で、停電時も電気の自給自足を可能にしています。
また、大和ハウスが提案する、家族みんなが自然と家事に参加できる「家事シェアハウス」には、玄関に一人ひとりの荷物を管理できる「自分専用カタヅケロッカー」があり、ここに非常用持ち出しリュックを収納しておけば、万が一の際もすぐに持ち出せます。防災グッズの最適な収納場所や、停電時の対策など、総合的な観点から「災害に備える家」を建てることを考えるなら、ぜひ大和ハウスの注文住宅もチェックしてみてください。
防災知識や対応力を高めておく
地震はいつ起こるか正確に分からないだけでなく、揺れの種類や規模も予測することができません。発生する時間帯はもちろん、季節や当日の天候も分からないため、実際にはどのように対応したら良いか戸惑うはずです。台風のシーズンには、豪雨や突風による二重被災も起こり得ます。過去の地震では、建物の倒壊や、室内の家具の破損だけでなく、火災を伴うことも多々ありました。複数の災害が同時に発生することも想定して、家族で話し合っておくと良いでしょう。
災害についての知識や対応力を高めるために、新聞、テレビ、ラジオやインターネットなどから、防災に関する情報を意識的に収集したり、自治体や企業主催の無料の講演会やウェビナーに参加したりするのも良いかもしれません。「災害に備える家」が特長の大和ハウスでは、WEBサイトで防災に関するコラムや、住まい方の工夫について情報を発信しています。参考になる具体的な内容が満載ですので、ぜひご覧ください。
災害時の出費に備えておく
大規模な地震により停電が続くと、銀行ATMからお金が引き出せない、コンビニエンスストアなどの店舗で電子マネーが使えない、などの状況で過ごすことも考えられます。衣料品や食料品、生活に必要な日用品のほか、清掃や片付けの道具など、買い物が必要な場合もありますから、現金は必ず手元に置いておくようにしましょう。非常用持ち出しリュックの中に、小銭を含めて少なくとも2万円程度は入れておくと良いかもしれません。
Part4地震が発生したときの対応
大きな揺れに襲われた直後は気が動転しそうですが、屋内でも屋外でも最優先で行いたいのが身の安全を確保する行動。周囲の状況が落ち着いてきたら、火災を防いだり、家族やご近所の方の安否を確認したり、できることから始めましょう。建物の倒壊や津波などの危険性がある場合は、迅速に非難しましょう。
発生直後
屋内にいるとき
自宅で地震の揺れを感じたら、落下物の恐れがない廊下や玄関に移動します。難しいときは転倒しそうな家具から離れ、分厚い座布団などで頭を保護し、ヘルメットがあればすぐにかぶって、揺れが収まるのを待ちます。
キッチンのガスコンロやストーブの火は、揺れ始めの時点で消せると良いのですが、難しい場合は無理をせず揺れが収まってから火を消し、ガスの元栓を閉めます。ただ、震度5相当以上の地震などでは、ガスメーターの安全装置が作動し、自動でガスが止まるようになっているため、状況判断をしっかりしてまずは身の安全の確保を優先するようにしましょう。
もし水道が出るようなら、断水に備えて浴槽に生活用水をためておいても良いかもしれません。 ただし、感染症や食中毒のリスクがあるので飲用には使用しないようにしましょう。
屋外にいるとき
ビルに取り付けてある看板、外壁や窓ガラスの破片などが上から落ちてくる可能性があります。塀や電柱、自販機なども、倒れてくるかもしれません。かばんなどで頭を守りながら、公園や空き地など広いスペースがある安全な場所へ避難してください。電車などに乗っているときは、車掌や駅係員のアナウンスに従います。車を運転中の場合は、まずハザードランプを点滅させて前後の車に注意を促し、ゆっくりと道路の左側に停車してエンジンを止め、車を離れるときはキーをつけたまま駐車します。車での移動は消火や救出活動の妨げになりますので避けてください。
揺れが収まったとき
自宅にいて、すぐ避難する必要がある場合は、非常用持ち出しリュックを持ち、安全なドアや窓から逃げ道を確保して外に出ます。ガラスや食器などが散乱している可能性があるため、必ず靴を履くようにしてください。自分と家族の安全を確保したら、ご近所の方の安否も確かめるようにしましょう。災害時はインターネットのSNSなどで不正確な情報やデマが増えるため、あらかじめ登録した自治体などの公的アカウントから情報を入手するほか、携帯ラジオや防災無線などから、正確な情報を入手しましょう。離れた場所にいる家族や子どもを迎えに行くなどの行動は、これらの後にしましょう。
災害発生後の状況を判断し、避難場所に行かないこともあるでしょう。その場合は、備蓄してある食料品、飲料水などで生活するようにしなければなりません。なお、ペットのいる家族が避難する際は、同行避難が基本とされています。飼い主と離れ離れになったペットの保護、公衆衛生上の問題の発生を防ぐために行政が推進しています。日頃からペットのしつけや健康管理、迷子にならないための対応(マイクロチップの装着等)を行い、避難場所で快適に過ごせるよう準備しておきましょう。
津波の危険性があるとき
海岸や河川のそばに住んでいる場合は、津波警報が発令されると津波が襲ってくる可能性がありますので、すぐに高台や3階以上の鉄筋コンクリート造の建物に避難します。自宅または周辺で家屋の倒壊や火災による延焼の危険、山崩れなどの可能性がある場合も、すぐに市区町村が指定している避難場所へ移動しましょう。
誰かの指示でなく、自分の判断ですぐに行動することが重要です。また、できる範囲で一人暮らしの高齢者など要配慮者がいる世帯には積極的に声をかけ、助け合うようにしましょう。
Part5今日から地震対策を始めよう
地震の発生回数が多い日本で安心して暮らすには、万が一への備えは欠かせません。分かってはいるものの、今すぐ起こるものでないと考えると、つい準備が後回しになりがちです。今回このコラムを読んだことをきっかけにして、ぜひ家族で一緒に話し合うところから始めてみましょう。
実際に災害を経験すれば意識が大きく変わるのは間違いありませんが、起こってからでは遅いのが災害です。いざというときの家族同士の連絡方法や、避難方法などについて、みんなで非常時のマニュアルをつくって定期的にシミュレーションしてみることをおすすめします。
また、地域の住民同士のつながりがあると災害時に助け合え、家族の安全確保に力を発揮します。普段から地域と接点を持って防災への意識を高めておけると良いかもしれません。近いうちに家づくりや大掛かりなリフォームの予定があるなら、ぜひ災害に強い家をテーマに暮らし全体を見直してみてはいかがでしょうか。
お話を伺った方
和田 隆昌(わだ たかまさ)さん
災害危機管理アドバイザー。感染症で生死をさまよった経験から「防災士」資格を取り、災害や危機管理問題に積極的に取り組んでいる。専門誌編集長を歴任し、長年のアウトドア活動からサバイバル術も得意。主な著書に『きょうから始める生活防災』(ワニブックス)他があり、講演会ほかTVなどマスコミ出演多数。