暮らしにいいものを探して vol.6上質な眠りで
豊かな暮らしを育む［前編］

心地よい眠りの鍵は「湿気」
天然素材のよさを取り入れた寝具

天然素材の敷き寝具の組み合わせ例。敷き寝具でしっかり湿気を放出して体温を維持することが大切。下からウッドスプリング、馬毛マットレス、馬毛パッド、ウールパッド。上に載せているのはイタリアリネンのシーツ。

「眠りには大きく3つの効果・効能があります。脳、体、心の3つを休ませることです。眠れないと脳が休めないし、寝てもだるいとか、しびれるというのは体が休めてないんですね」。寝室の環境を整えるのはもちろんですが、快適な寝具に肝心なのは、温度と湿度のコントロールだと言います。

「体は眠るときに深部体温を下げるため、表面温度を上げて汗をかきます。汗は蒸気ですが、寝具に吸収された蒸気は冷えると水（湿気）になりますから、そのままだと水に包まれて眠っている状態で、体が冷えたり蒸れたりしてしまいます。それが暑さ・寒さの不快の根本なんです」。適温・適湿を保つためによいのが質のよい適切な天然素材。「上質な天然素材は優れた調湿作用を持っていますから、きちんと汗を吸湿して外へ放出してくれる、適度にコントロールすることで不快感を取り除いてくれます」

寝具の天然素材にはコットンやリネン、シルク、ウールなどがありますが、そうした天然素材を十分に生かすためには、包んでいる側生地もしっかりと湿気を放出できることがポイントで、側生地の素材も大事だそう。また、ISHITAYAでは馬毛の寝具も扱っています。「蒸れないし、弾力性があってしっかり体を支えてくれるんです。馬毛は天然繊維の中でも長くて強靱で長持ち。希少なため、かなり高価ですが100年、200年と次世代に継いでいけるのです」

ホーステールの馬毛だけを使ったオリジナルのjinba馬毛マットレス（シングル）759,000円。小袋に分けて詰める形状なので、部分的に強度を高めるなど調整も可能。100年使っても弾力を保つ、丈夫さが特長。

馬毛は尻尾の毛を縄状に編み、蒸して形状記憶させてからほぐす。製作工程を月の満ち欠けに合わせるなど、こだわりの職人技でつくられている。実際に触ると弾力性にびっくり！小袋のまま洗濯できる。

馬毛以外にも敷き寝具の組み合わせ提案はある。下から厚さ10cmの天然ゴム・ラテックスのマットレス、ミルフィマットレス（シングル）93,500円に、フランス・ピレネー産ウールのやわらかウールベッドパッド700（シングル）44,000円を2枚重ねてセット。

ヨーロッパ産のホワイトグースを使ったufu羽毛掛け布団スタンダードクラス（シングルロング）127,600円～（100g単位で羽毛の充填量のオーダーが可能）。羽枝が長く少量でもしっかり空気を包み込んで断熱するので、軽くても保温力は抜群。極細糸で織られた側生地を使用。上に掛かっているのはオリジナルのカシミヤケット169,400円。

ブナの無垢材を使用した棒状ウッドスプリングにラテックス（天然ゴム）の脚を取りつけたセパレート式マットレス（シングル）204,600円。肩の部分はスプリングを抜いて自然に肩が落ちるように調節できる。

枕は敷き寝具と合わせて
天然素材で心地よく

「枕が合わない原因の一つは、仰向けと横向きの体勢で肩の高さにギャップが生まれるからです」。横向きになったときにしっかり肩が落ちれば、枕の高さはさほど気にならないといいます。「敷き寝具が体に合っていれば、枕は首のすき間を埋めるだけで十分なもの。枕が合わないなら、たとえばマットレスの固さやスプリングが消耗していないかなど、一度見直してみてください」。その上ですき間を埋めるように高さを調節します。また、枕自体にもへたりなどが生じるので、3年ほどで見直す必要があるそうです。

湿気を吸収し、きちんと放出するウールや馬毛など、枕にも天然素材がおすすめ。蒸れにくく、快適な状態を保ちます。湿気がこもらないのでニオイも発生しにくいというメリットもあります。

イギリス産ウールのオリジナル枕。上から、ウールのスリーピースピロー22,000円、中が4つに分かれていて偏らず、高さ調節もできるウールユニットピロー22,000円。

馬毛を使った蒸れずに快適 な jinba馬毛枕。上から、体格の大きな人向けAタイプ121,000円、首回りに可動域をもたせたCタイプ121,000円、女性や小柄な人向けBタイプ99,000円。

弾力があって蒸れにくい、馬毛を使用。

寝具ショップと体験型ショールーム、ダイニングが一つになった本店gamadan。寝具だけではなく、建築や作庭、音響、食など、五感で体感する心地よさがテーマ。