良質な眠りは、人生の重要課題
私たちにとって、睡眠の質が大切なことは言うまでもありません。しっかり眠って英気を養い、明日からも頑張るためには、眠りの妨げにならないような間取りをつくる必要があります。そのために主寝室のゾーニングで注意することは、道路に面して設けないことです。家の外から入ってくる車などの騒音を防ぐために、できるだけ道路側から離れた、静かな奥の方に配置することがポイントです。
寝室と収納はセットで考えましょう
ベッドルームのクローゼットは、和室の押入れのように奥行きを半間(910mm)にする必要はありません。むしろそうしてしまうと、奥の方に何が入っているのか分からなくなってモノが行方不明になりかねません。洋服を掛けるハンガーは奥行き600~750mmあれば十分ですので、むしろその分で寝室を広くする方が得策です。もしスペースに余裕があるなら、流行りのウォークイン・クローゼットがオススメです。大きさやカタチが不揃いなモノを収納するのに大変有効ですし、また部屋から直接見えないので少々雑然としても気になりません。
子どもと一緒に成長できる子ども室に
子ども室は、子どもの成長に合わせた空間づくりが重要です。よく用いられる手法としては、まず大きな部屋を用意し、成長に合わせて仕切り壁や可動式のクローゼットで部屋を分ける方法などがあります。また子ども室のゾーニングでは、できるだけ西側は避けましょう。夏場の西陽はきついため、部屋に熱がこもり、過ごしにくくなってしまいます。どうしても西側になってしまう場合は、窓の外側に可動式のスクリーンや簾(のれん)などを設けることをオススメします。また子どもに規則正しい生活をして欲しいなら、朝陽の入る東側に配置し、あえて遮光性のないカーテンを吊ってみるのもいいでしょう。北側に設ける場合は、光の採り方を考えて高窓やトップライトを採用することで、薄暗くなく快適な空間に仕上がります。
子どもとのつながりを設計する
子どもは思春期になると自分の部屋にこもりがちになり、家族とのふれあいが少なくなることもあります。そこで一つの案として、子ども室は寝るだけのコンパクトなサイズにして、そのかわりに勉強や遊ぶ場所として、廊下などにスタディコーナーやプレイコーナーを設けるのがオススメです。ほんの少し廊下幅を広くしてカウンターテーブルとイスを設ければ簡単につくれます。ポイントは、これらのコーナーとLDKとが、吹き抜けなどによって、空間的につながるようにして、お互いに気配が感じられるようにすることです。さらに将来、子どもが巣立った後に、子ども室をどのように使うかまでをしっかり考えて、間取りを設計するようにしましょう。
住宅設計アドバイザー 一級建築士
山形大学工学部 特任教授 (前)近畿大学建築学部 教授
木村 文雄
1976年 芝浦工業大学 工学部建築学科卒業
ハウスメーカーにて住宅設計、商品企画、研究開発などに携わり
2013年4月より近畿大学建築学部 教授に就任
2019年4月より現職
※掲載の情報は2020年3月現在のものです。