書斎コーナーで大人時間を
家を建てるなら「絶対に書斎をつくりたい」と思っている方も多いのではないでしょうか。書斎という言葉には何やら自分だけの秘密基地のような響きがあり、たまにはそこに籠もって心ゆくまで読書をしたり、趣味の世界に没頭したいという方が多いのではと思います。しかし、個室として書斎をつくるとなると、それなりのスペースと予算が必要になり、家族を説得するのに一苦労しそうです。そこで、おすすめしたいのが個室にするのではなく、書斎コーナーにするという案です。設計のポイントは、家族からは直接見えないけれど、気配は感じられるという場所に設けること。廊下の片隅などが候補ですが、さらに吹き抜けになっていて書斎コーナーとリビングが空間的(立体的)につながっていると、家族の気配を感じやすくなり最高です。
ロフトはハシゴではなく階段をつけましょう
住まいの上手な設計の秘訣は、なるべく「たくさんの居場所を設ける」ことです。たまには誰でも一人になって籠りたい時があると思います。そこで検討してみていただきたいのがロフト(屋根裏部屋)です。一般的には普段使わないモノを収納しておくためのスペースとして設けることが多いのですが、むしろここでは居場所の一つとして想像してみましょう。天井が少し低く斜めになっていて、どこか非日常的で隠れ家のような感じでワクワクするはずです。設計上のポイントはハシゴではなく固定階段にすること。ロフト用に考案されたコンパクトで上りやすい階段もあります。これで、億劫にならずに日常的にロフトが利用できます。またロフトの窓は、溜まった熱気を抜くために必ず開閉できるタイプにすることをお忘れなく。
地下室はとても有効なフリースペース
家をお考えの方でも地下室を検討されている方は、とても少ないと思います。おそらく、地下室は薄暗くてジメジメしたイメージがあるのではないでしょうか。私はもっと地下室をつくる家が増えてもいいと思っています。地中の温度は比較的安定しているため、地下室も夏場は外気温より相対的に低くなるので涼しく感じ、逆に冬場は外気温より温度が高く暖かく感じます。また多少大きな音を出しても外に漏れる心配が少ないのでオーディオルームや、最近求められているテレワークにも利用可能。ヨガやトレーニングルームにも使えますが、ハードな運動でたくさん発汗する場合には除湿が必要です。ワインがお好きな方は、地下室は年間の温度変化が緩やかなのでワインを貯蔵するカーヴとしても最適です。さらに容積率が緩和されるというメリットもありますので、ぜひ検討してみてください。
住宅設計アドバイザー 一級建築士
山形大学工学部 特任教授 (前)近畿大学建築学部 教授
木村 文雄
1976年 芝浦工業大学 工学部建築学科卒業
ハウスメーカーにて住宅設計、商品企画、研究開発などに携わり
2013年4月より近畿大学建築学部 教授に就任
2019年4月より現職
※掲載の情報は2020年7月現在のものです。