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これからの大規模地震に備える、次世代防災について考える
【Series3】
大切なのは「知識」ではなく、
「本気で取り組む姿勢」の備え。

※写真はイメージです。

ダイワハウスでは、「地震大国といわれる日本」において、常に安心して暮らすことができる家を目指して、様々な地震対策を施した住宅の実現を目指すとともに、住宅を購入しようと考えている方々に対して、防災意識を喚起していただくよう情報を提供しております。今回、9月1日の「防災の日」に合わせて、住宅購入を検討している人たちの「防災意識」について調査したところ、ほとんどの人が巨大地震に対する不安を抱えていますが、同時に、防災対策などの知識を持っているのにも関わらず、対策を実施していないという実態が明らかになりました。

防災研究第一人者である群馬大学片田敏孝教授は、地震が頻繁に来る地域でも、ほとんどの人は自分が被災するイメージを持てないと指摘します。なぜ、私たちは地震が来るとわかっていながら、被害を最小限に食い止める防災対策を実行に移さないのか、私たちの防災意識の問題点について、先生に伺いました。

津波から子どもたちを守った防災教育

── 東日本大震災で、先生が指導された小中学生約3千人は迅速に避難し、生存率99.8%という素晴らしい成果を挙げて「釜石の奇跡」と呼ばれました。どのような指導をされたのでしょうか。

私は、東日本大震災の8年前から、釜石の小中学校などで津波の避難の重要性について説いてきました。小学校で、ひと通り防災教育をした後、「地震が来たらどうする?」と聞くと、「津波が来るから逃げる」と、みんな元気に答えます。次に、少し意地悪な質問をします。「君たちが逃げたら、お母さんはどうすると思う?」。子どもたちの顔が曇ってきて、「お母さんが学校に迎えに来ちゃう」と言いさらに顔を曇らせます。子ども達はそれがお母さんの命を危うくすることが理解できるからです。そして、子ども達は「今日、家に帰ってお母さんに迎えに来ないようにお願いする」と言います。

でも、やはり親は心配で迎えに来てしまうでしょう。では、どうしたらよいのでしょうか。私は子どもたちに言いました。「君たちが、津波が来たらしっかり逃げる子になり、お父さん、お母さんがそう信じることができれば、お母さんたちは迎えに来ないよ」と。子どもたちは「家に帰ったら、お母さんに僕はきちんと逃げると言う」と言って帰っていきました。

三陸地方には「津波てんでんこ」という言葉があります。この言葉が意味することは、直接的には「津波が来たら、家族や知り合いも構わずに、てんでんばらばらに一刻も早く高台へと逃げろ」という意味です。
東日本大震災でも、高台に避難してきた青年が、おじいさんがまだ避難していないのに気づき、周りの人の静止を振り切って家に助けに戻って帰らぬ人となったというような話をたくさん聞きます。

大地震や津波など危機に瀕した時、自分のことよりも、自分にとって大切な子どもや家族のことを思って行動するのが人間の性なのです。残酷ですが、このことがこれまでの津波の被害を大きくしてきました。
そして、あの日、子どもたちは、教え通りちゃんと逃げてくれました。これは、多くの犠牲者が出た中で、「釜石の奇跡」と言われていますが、子どもは何を思って避難したのでしょうか。それは、自分たちが逃げれば、お母さんたちが逃げてくれると考え、必死に逃げたのです。

だから、「津波てんでんこ」というのは、決して人を見捨てて自分だけ逃げろという意味ではありません。それぞれが自分の責任で、自分の命を守り、それをお互いが信じ合えるほどの絆を築くこと、そうすれば皆が助かることを意味しています。

── 津波避難の啓蒙活動を始めたきっかけを教えてください。

地震や津波は周期的に来ることがわかっています。三陸地方はこれまで何度もの津波の被害に苦しめられ、1896年の明治三陸地震の釜石市では、当時の人口6,500人の約3分の2に当たる4,000人が亡くなっています。その後、1933年の昭和三陸地震でも多くの方が亡くなりました。日本列島の下には、太平洋プレートが年間8センチも潜り込んでいます。100年では800センチになり、もたなくなってドカンと海溝型の地震が来ます。そして三陸では津波が襲ってきます。

東日本大震災の前の時期も、もう地震がいつ来てもおかしくないと言われていました。 津波対策で重要なのは、「1秒でも早く、1mでも高い所に避難すること」。やらなければいけないことは非常にシンプルで、遠い昔から定期的に津波の被害を受けたきたこの地方では、この鉄則を知らない人はいません。それなのに、当時、避難警報が出ても、ほとんどの人は逃げないという状況がありました。これまでの教訓が生かされていないのです。

<参考>「防災の日」に関する意識調査より(2016年8月大和ハウス工業実施)


約7割の人が震度5以上の揺れを体験。約8割の人が巨大地震に不安!

ダイワハウスのアンケートで、これまでの大きな地震の経験を聞いたところ、全体の約7割(67.5%)の人が震度5以上の大きな揺れを経験し、約8割(75.9%)の人が将来の巨大地震に不安を感じているということがわかりました。

これまでに震度5以上を体験したことがあるか(n=1035)
将来起こりうる巨大地震に対する不安(n=1035)

怖いのは「自分は大丈夫」という気持ち

── どうして逃げないのでしょうか。

いろいろな理由がありますが、ひとつの大きな理由として、当事者意識の欠如があります。大きな津波は概ね100年近くの間隔で起こります。100年というと3世代にわたる時間間隔に当たります。私は小さい頃、母親から第二次大戦の空襲の話をよく聞かされました。今から考えると、私が話を聞いていたのは、戦争が終わってから20年しか経っていない時期です。それでもそれを経験していない私は、遠い昔の話としてリアリティを持てませんでした。直接経験していないことは、1世代をまたぐだけでも伝えることは難しいのです。

三陸の人も、体験した世代から再三津波の話を聞かされたことでしょう。しかし、世代をまたいだ話に現実感がなくなり、逃げないことが一般化し、そんな親の姿を見て、子どもも逃げないと、「逃げない文化」が形成されていくのです。釜石には多くの津波の碑があり、先人はその後悔の念を後世に伝えようとしました。しかし、そんな津波の碑に託された思いすら苔むしてしまい、子どもたちにそれを見せても、先人の思いは伝わりませんでした。

もうひとつ、逃げない理由として、防災対策が大きく行政に委ねられてきたわが国の防災体制の問題があります。行政が地域の安全を願って大きな堤防を建設すると、地域の住民は、「立派な堤防ができたからもう安心」と口々に言います。しかし、相手は自然です。時に堤防に想定された津波より大きな津波もあり得ます。しかし、大きな堤防を前に住民の安心感は大きく、それに委ねた心が住民の避難を妨げてしまいます。

日本は災害大国と言われますが、それであっても先進国の体をなしているのは防災大国でもあるからです。これは素晴らしいことですが、自然は時に防災で想定する守りのレベルを超えてくることは東日本大震災などを見れば明らかなことです。しかし、私たちは、国や地方自治体の防災対策に守られているという安心感から、自分で判断して危機を回避する能力が鈍くなっているのではないでしょうか。災害に対しては、個人でやるべきことをきちんとやって、危機が迫ってきたら、自分の判断で素早く避難するという主体性が必要だと思います。

そして、もうひとつ。人間には、地震や事故などのリスクが想定されても、自分にとって都合の悪い情報を過少評価して当事者感につながり難くしてしまう、正常性バイアスという心の特性があります。昔の地震や津波の被害は語り継がれたとしても、ほとんどの人は、「自分だけは大丈夫」、「自分が生きている間はこないだろう」と、当事者意識を持てないのです。

<参考>「防災の日」に関する意識調査より(2016年8月大和ハウス工業実施)


地震の備え、やった方がいいとわかっていても、実際はできていない!

地震への備えとして「食料・水の備蓄」や「家具・家電の固定」などはほとんどの人が知識として知っていますが、実行している人は、「食料・水の備蓄」で約5割、「家具・家電の固定」を実践している人は約3割に過ぎませんでした。また、「家屋の耐震化・耐震診断」は約5割の人が知っていましたが、5%しか実践されていませんでした。

大切なのは知識ではなく、姿勢。

── 先生が取り組んでいる災害社会工学とはどのような学問ですか。

私は、もともとは建設系で堤防を作る側でしたが、防災の本質は、災害に対する社会の対応、人の対応が重要だということに気づき、災害社会工学という学問領域を立ち上げました。災害社会学ではなくて、「工学」を付けた理由はソリューションを導きたいということです。災害という特殊な社会状況下において、私たちはどのように行動すべきかを考えていきたいと思っています。
そして、「自分は大丈夫」と当事者意識を持てない人たちに、どうしたら当事者意識を持って行動を起こして頂けるのかというのも、取り組んでいるテーマのひとつです。そこで重要になるのが「共感のコミュニケーション」であり、それを達成するコミュニケーション・デザインを研究しています。

小学生の防災教育でその具体的な例をお話しするなら、例えばタンスの固定の重要性を教えるとします。まず、子どもたちに「今ここで大きな地震があったとするよ。タンスが倒れてきてお母さんがその下敷きになっちゃった。もうすぐ津波が来る。君は一生懸命にタンスを上げようとしたけど動かない。お母さんはもういいから逃げなさいといっている。さあ、その時、君はどうする?」と聞きます。随分と厳しい問いかけです。最初はみんなあまり現実感もなく元気に「逃げる」と言いますが、議論を進めるうちにだんだん現実感が出てきて、そのうちに泣きながら「私はお母さんのところにずっといる」という子もでてきます。私は子ども達に、「先生にもどちらが正しいか分からない。逃げるという子も勇気ある行動だし、お母さんのそばにいるという子も心優しい良い子だ」、「大事なことは、こんな悲しいことを考えなくて良くすることだ。だからタンスの固定は大事なんだ」と伝えます。

災害では極限の判断をまったなしで迫られます。その判断はどちらでも後悔します。それが災害の現実。このような状況を避けるために、事前にタンスの固定をしなければならないのです。そのことを子どもに伝えると、家に帰って親に「タンスを固定して」と言います。親も子どもたちが何を思ってそれを言っているのかを聞いて、心からタンスを固定しようと思います。
各自が内発的な意識で「やらねばならない」と思うように持っていくこと。「逃げなさい」ではなく、「僕、逃げるもん」。その意識をどうやって作っていくのかを考える。それがコミュニケーション・デザインなのです。

家族を守れる大丈夫な家を作ることで、
「信頼」が生まれる

── 地震の対策はどう指導されていますか。

実は、地震に対してどう準備すべきかというとみんな知っています。耐震補強、そして水と食料の準備、やることはわかっています。でも、やっている人は極めて少ないですよね。さまざまなデータを示して説明しても、来るか来ないかわからないのに、手間もお金もかかるし、すぐにやろうという人は少ない。だから、知識をいくら教えてもだめなんです。なぜなら、元々知っているからです。

たとえば、東日本大震災の時、首都圏では鉄道やバスなどの交通機関が麻痺する中、歩いて家に帰ろうとする人の列が朝まで続きました。その場の安全なところに避難せずに、なんとか家に帰ろうとするのも、家に残した家族の安否を一刻でも早く確認したいという人として当たり前の心情といえるでしょう。

もし、自分の家は地震が来ても大丈夫という風に思えたら、都心にいても帰宅の混乱を避けて、自分の身の安全を守ろうと考えるかもしれません。家族が大丈夫であることの信頼というのは、たとえば都心に働いている人にとっては、家族を守れる大丈夫な家を作ることでもあります。キーワードは「信頼」です。家族が自分の命を守ってくれているという信頼を持つことが大事です。

<参考>「防災の日」に関する意識調査より(2016年8月大和ハウス工業実施)


熊本地震後も、「ゆれ疲れ」が及ぼす耐震性低下の認知は限定的

熊本地震では、大きな揺れにさらされて耐震性が低下する「ゆれ疲れ」により倒壊した家屋が多かったことが話題になりました。熊本地震により「ゆれ疲れ」で耐震性能が低下することの認知はわずかに広がりましたが、その範囲は極めて限定的で、依然、認知不足といえます。


「ゆれ疲れ=耐震性の低下」認知

「ゆれ疲れ=耐震性の低下」認知2013年12月(n=1000)→ゆれ疲れ=耐震性の低下」認知2016年8月(n=1035)

繰り返す「地震のゆれ」は、家だけでなく人も「ゆれ疲れ」させる!

地震による揺れは、家の倒壊や家具の倒れこみなどの不安が増幅され、大きな精神的なダメージとなっていました。揺れによって建物が「ゆれ疲れ」を起こすのと同様に、人も「心のゆれ疲れ」に陥ることがうかがえます。

震度5以上の地震経験者(n=699)における、地震のゆれが引き起こす「心のゆれ疲れ※」経験 ※地震の「ゆれ」の影響で、体調不良や、精神的なストレスを感じること

地震そのものでは、人は死なない
リスクを正しく理解し、日常から向き合うこと

── 私たちは地震のリスクとどのように向き合っていくべきでしょうか。

防災というのは人の科学です。リスクを正しく理解し、過剰に怖がることなく、そして、あなどることなく、粛々と向かいあっていく。考えみれば、生きること自体がリスクです。私は途上国防災でニカラグアや中米に行ったりしますが、これらの国では、きれいな水を確保することもできず、危険な動物もいます。途上国に行って見れば、生きることはいかにリスクかということがわかります。それに比べると日本ははるかに安全ですが、地震や津波などのリスクはあります。

地震のリスク対策のポイントは、地震そのものでは人は死なないということ。地面が揺れて、家具が倒れて、家が倒れて、人は命を落とします。家が倒壊して人が下敷きになるなど、人を守るはずの家が人の命を奪うものになってはいけません。そのためには、完全に倒れこまない家にしなければなりません。家の中も、据え付けの収納家具などで、倒れるものを少なくするなど、対策はできます。災害という共通の敵に対して、それぞれができる限りの対策をすることは当然です。それに冷静に向き合うことが大切なのです。

── ありがとうございました

PROFILE

群馬大学大学院 教授 

片田敏孝 先生

1960年生まれ。群馬大学大学院工学研究科社会環境デザイン工学専攻教授。同大学「広域首都圏防災研究センター」センター長。災害社会工学を提唱し、災害への危機管理対応、災害情報伝達、防災教育、避難誘導策のあり方等について研究するとともに、地域での防災活動を全国各地で展開している。 特に、釜石市において、2004年から小中学生を中心に津波防災教育に取り組み、東日本大震災では、指導した児童・生徒のほぼ全員が難を逃れ、「釜石の奇跡」と呼ばれた。2012年には、防災の功労者として2つの内閣総理大臣表彰を受賞している。内閣府中央防災会議や中央教育審議会をはじめ、国・外郭団体・地方自治体の多数の委員会、審議会に携わっている。

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