照明は暮らしに欠かせない存在です。
最近ではデザイン性や機能面でさまざまな種類の照明器具が販売されており、
家具や内装との組み合わせを考えるのはわくわくするもの。
照明の使い方ひとつで生活空間は大きく変わります。
新築時でないと取り入れにくい照明もあるので、住宅の購入を予定している方は、
間取りの計画と合わせて照明についても考えてみませんか。
照明の専業メーカーであるコイズミ照明に、
快適な暮らしを実現する照明計画の考え方を3回シリーズで教えていただきます。
第1回目は、「色と明るさをデザインする」です。
人間の心身に寄り添う照明計画を考える
近年、新型コロナウイルス感染症や働き方改革などの影響により、在宅で仕事をされる方が増えています。今までは、仕事を終えてリラックスする場所として考えられることが多かった住宅ですが、ワーキングスペースとしての機能も担うなど、その役割は多様化しています。ゆったりくつろげる場所、集中力が高まり仕事がはかどる場所、それぞれの役割に合わせた空間作りが大切です。
空間作りのキーとなる照明も同様に、ライフスタイルにおける役割を考えることが大事。また、自宅で過ごす時間が普段よりも長くなると健康やメンタルヘルスに影響が出る場合もあります。人間の感情や心身状態に寄り添った光を照明計画に取り入れることで、住宅で過ごす時間がより豊かで快適になるように目指しましょう。
快適な光環境を取り入れるためのポイントになるのは以下の4 つです。
「色」「明るさ」「場所」「範囲」
今回は「色」と「明るさ」に注目してお話します。
空間の光環境 概念図
基本の3色を生活のシーンに合わせて選ぶ
住宅に使われる照明には主に「電球色」「温白色」「昼白色」の3つの色味があります。
電球色
(2700K 100%)
「電球色」(2700K)はオレンジに近いあたたかみのある色。特に演出性に優れ、重厚感や高級感を演出することができ、またリラックス効果もあります。室内に落ち着きをもたらすので、くつろぎたい空間におすすめです。
温白色
(3500K 100%)
「温白色」(3500K)は「電球色」と「昼白色」の中間の色で、自然な色味が特徴です。家族のだんらんを心地良く演出します。
昼白色
(5000K 100%)
「昼白色」(5000K)は明るい白い色で、爽やかな雰囲気を演出します。テレワークで仕事をしたり、勉強したりする際に採用すると文字が見えやすく、活動的な空間にしたい場合に効果的です。
住宅のシーンごとに3色のうちどれがぴったりかを考えていきます。これを「適時適照」と言います。また、さまざまなシーンが想定される空間では、シーンに合わせて色温度や明るさの調節ができるようにすることがおすすめです。ご家族のライフスタイルを振り返り、どの部屋でどう行動をして、どんな気分で過ごしたいか考えてみましょう。
※「K」(ケルビン)は、色温度を表す単位のこと。
色と明るさのバランスを考える
「色」と密接にかかわっているのが「明るさ」です。光の色に合わせて照度(明るさの程度)を調整するのが良いでしょう。高い照度の場合、白い昼白色の光は爽やかな空間を演出しますが、照度を抑えすぎると陰気で寒々しい印象を与えます。一方、電球色は、照度を抑えるとおだやかな雰囲気になり、照度が高すぎると暑苦しさを感じさせます。このような光の色と明るさ、心理の関係を「クルーゾフ効果」と言います。色と明るさの関係に気を配りながら照明計画を考えましょう。また、光をより効果的に空間に取り込むため、光の色と明るさを1日の中で時間帯に合わせて変更することも有効な手段です。
クルーゾフ効果 概念図
※「lx」(ルクス)は、光で照されている面の明るさを表す量のこと。
ちょうどいい照明環境を自動で調整できるアプリ
照明を人間の心や体に寄り添う形で使用すれば、さまざまなプラスの効果が得られることが近年わかってきました。照明の色や明るさを調整することで、日々を快適に過ごせるだけでなく、仕事や学習時の集中力が高まったり、安全性や効率性のアップにつながったりします。
とはいえ、毎日こまめに照明の調整をすることは手間に感じるでしょう。そんな方におすすめなのが、家中の照明器具を手元で操作できる住宅用照明制御アプリです。コイズミ照明の「TRee」は色や明るさを自動調整し、シーンに応じた雰囲気の演出が可能です。スマートフォンやスマートスピーカーと連携すれば、「仕事のシーンをオンにして」「食事のシーンをオンにして」と声をかけるだけで応じます。さらに、スケジュール機能も搭載しているので、時間帯によって自動で明るさを上げたり下げたりすることもできます。新築住宅を購入予定の方は、このような住宅用照明制御アプリを検討してみてはいかがでしょうか。
照明制御アプリ「TRee」
おすすめの照明を部屋別にご紹介
ダイニング・キッチン
料理をつくったり、食事を楽しんだりと、ダイニング・キッチンは生活空間の中でもさまざまな用途があります。「料理に集中できる空間にしたい」という方には昼白色を、「ダイニングテーブル上の料理をおいしそうに見せたい」という方には電球色がおすすめです。また、作業スペースの色味を温白色にしておき、キッチンカウンターなどに電球色のペンダントライトを付けるなど、組み合わせても良いでしょう。
電球色(2700K)
温白色(3500K)
昼白色(5000K)
リビング
家族とのだんらんの場や、テレワークの合間に休息する場など、リビングにはさまざまな役割があります。ご自身の好みに合わせて色を選びましょう。また、壁や天井など内装色との調和も大切。例えば、壁面が風合いの豊かな木目調ならば、素材感を存分に引き立てる電球色の間接照明がおすすめです。昼白色ならば爽やかに、電球色ならば落ち着いた雰囲気で。調光調色が可能なら自然光と融和させて、室内にいても1日の変化を感じられます。
電球色(2700K)
くつろぎを生むあたたかみのあるあかり
温白色(3500K)
安心感を演出する自然なあかり
昼白色(5000K)
1日のはじまりに適した活動的なあかり
寝室
寝室は、まぶしさを感じさせないように配慮することでより快適な空間になります。寝る前に少し読書をしたり、子どもに絵本の読み聞かせをしたりする場合、心身を落ち着かせる電球色がおすすめです。より爽快な目覚めを望まれるなら、起床時刻の30分前からゆっくりと明るくなるよう、照明に自動調光機能を持たせる方法もあります。
夜:電球色(2700K)
朝:昼白色(5000K)
「色」と「明るさ」に注目した照明計画がイメージできましたか。第2回目は照明の「場所」について考えていきます。
写真提供:コイズミ照明
取材協力
コイズミ照明株式会社
(本社)〒541-0051 大阪府大阪市中央区備後町3-3-7 TEL:06-6266-8141
ショールームのご案内
コイズミ照明では、東京・大阪・福岡・沖縄の4か所にショールームをご用意しています。実物の大きさや明るさを体感してみてください。