愛犬との楽しい暮らしの中には、「あるある」とみんなが共感する
細かな悩みがたくさん隠れていますよね。
中には、飼い主さんの家事の負担に直結するものも。
この記事では、それらを「名もなきペット家事」と名付け、
いぬ編・ねこ編でお届けします。
愛犬のお世話の中で特に大変なのが、「シャンプー」と「トイレのしつけ」。
「うまくできないから大変」「家事の負担にもつながる」という
飼い主さんも多いのではないでしょうか?
そこで今回は、シャンプーやトイレにまつわる負担を軽減する、
獣医師からのアドバイスや家でできる工夫をご紹介します。
※Benesse Corporation
※いぬのきもちが実施したアンケート結果より。「犬のお世話の中で大変だと感じるものはなんですか?」という質問に対して、「大変なものはない」「その他」を除いた複数回答の結果。(n=406)
シャンプーやトイレのしつけは、愛犬が健康的で快適に暮らすためには必要不可欠なもの。しかし、どちらも手間と時間がかかるため、飼い主さんの負担が大きいお世話でもあります。
「いぬのきもちアプリ※」で実施したアンケートでも、愛犬のお世話の中で大変だと感じるものの上位にシャンプーとトイレがランクイン。「とにかくシャンプーを嫌がる」「トイレ以外の場所で失敗してしまう」という声が多く、どの飼い主さんも似た悩みを抱えていることがわかりました。
お悩みその1:愛犬のシャンプーはどうして大変?
愛犬のシャンプーをしている飼い主さん245人のうち、「自宅でしている」という人は約27%、「自宅とサロンの両方でしている」という人は約44%でした。合わせると約70%以上の飼い主さんが自宅でシャンプーを行っているということがわかります。
しかし多くの飼い主さんがシャンプーで困った経験をしており、最も多かったのは「犬が嫌がったり、怖がったりする」というお答えでした。
※いぬのきもちが実施したアンケート結果より。「自宅で愛犬のシャンプーをする際にどのようなことに困っていますか?」という質問に対して、「飼っていない」「その他」を除いた複数回答の結果。(n=406)
「ドライヤーを嫌がるのですごく時間がかかる」というお悩みも多く、「高齢犬なので、カラダに負担がかかっていそうで心配」という声も。愛犬が疲れてしまう前に、短時間で効率的に仕上げる工夫が必要かもしれません。
また、「シャンプー後に飛び散った水や毛の掃除が大変」という意見も。シャンプーをする際は、周りの環境を工夫することも大切かもしれませんね。そこで、獣医師に上手なシャンプーのやり方を伺いました。
【獣医師解説】上手に手早く!自宅シャンプーの4つのステップ
シャンプーの正しい手順を知り、皮脂や汚れをしっかり落とすことが愛犬の健康維持につながります。愛犬を嫌がらせないポイントも押さえておきましょう。
Step1:事前のブラッシングとシャンプー液で下洗い
いきなりシャンプーを始めるのではなく、まずはブラッシングからスタートしましょう。表面の汚れを落とし、もつれた毛をほぐしておくことで地肌までしっかり洗えるので、最後の乾きも早くなります。続いてシャンプーをぬるま湯に溶かしたシャンプー液を作り、その泡と水を手でカラダ全体にやさしくなじませます。それから表面の汚れを落とすイメージで、シャワーでさっと洗い流しましょう。シャワーの音や水圧を嫌がる犬も多いので、シャワーヘッドをカラダに密着させて、背中から流すとよいでしょう。
Step2:たっぷり泡で本洗い
事前に泡立てネットなどでしっかり泡立てた泡で、全身を洗います。嫌がりにくい胴体から始めて、しっぽ→足→首→頭→顔の順に進めましょう。指の腹でなでるように、やさしく洗うのがポイントです。顔は、頭に泡をのせ、指先でのばしながらやさしく洗います。
Step3:しっかりすすぐ
シャワーヘッドを頭に密着させ、弱めの水流で顔をすすぎます。顔まわりの次は、背中からお尻の順に全身をすすぎましょう。すすぎ残しのないようにすることが大切です。最後はリンス液を全身にかけ、もう一度すすいで仕上げます。
Step4:タオルとドライヤーでしっかり乾燥
カラダの上から下へ向かって、タオルで全身を押さえながら水分をしっかりと拭き取ります。ドライヤーは必ずカラダから離してやさしく当てるようにし、嫌がりにくい胴体から乾かし始めて、顔は最後にしましょう。正面から風を当てるのではなく、やや後方から当てるとよいでしょう。
大型犬を洗う場合は
大型犬のシャンプーは浴室で行いましょう。手順は上記と同じですが、カラダが大きい分洗うのに時間がかかるので、さらにたっぷりの泡を事前に用意しておくとよいでしょう。シャワーの音を怖がる場合はシャワーヘッドをカラダに近づけたり、スポンジで濡らしたりして、なるべく音を小さくしてあげましょう。
シャンプーの環境にも工夫を
犬がシャンプーを嫌がる理由は、「濡れるのが嫌」「シャワーの音が怖い」などさまざま。できるだけ短時間で済ませてあげることで負担を軽減してあげましょう。
ポイント1:滑らない足場を用意
足元がツルツル滑ると不安で暴れてしまいます。逆にしっかり立っていられれば、全身を洗いやすくなります。足元が滑らないようにマットを敷いたり、フラットな洗面台で行ったりするなどの工夫をしましょう。
ポイント2:必要な道具を手の届く場所に
シャンプーやリンス、タオル、ドライヤーなど、必要な道具を手元に用意してから始めましょう。なるべく1カ所ですべての作業を終えられると、短い時間で済みます。
ポイント3:濡れても気にしなくてよい準備を
飼い主さんは濡れてもよい格好をしておきましょう。周囲の壁や床も、濡れてもよい場所であれば水ハネを心配しないでシャンプーに集中することができます。
マルチシンクは、シャンプーの負担を軽減
犬のシャンプーを考えて設計されたマルチシンク。足元が滑らないように設置された底板や、洗いやすいハンドシャワー水栓が犬の不安を軽減します。飼い主さんにとっても、ラクな姿勢で手早くシャンプーを済ませることができます。
お悩みその2:愛犬のトイレのしつけはどうして大変?
トイレのしつけの苦労はすべての飼い主さんが通る道ですよね。そこで、トイレのお悩みを集めてみました。
※いぬのきもちが実施したアンケート結果より。「愛犬のトイレに関する悩み事を教えてください」という質問に対する回答の結果。(n=406)
さまざまなトイレのお悩み、どう対処すればよいのでしょうか?獣医師のアドバイスをご紹介します。
【獣医師解説】トイレの失敗 原因別の対処法
原因1:トイレの場所がわかっていない
愛犬は、まだトイレの位置をしっかりと理解していないかもしれません。トイレを固定した場所に決め、根気強く覚えさせましょう。愛犬の行動範囲を広げすぎないよう制限することで、トイレの位置を把握させやすくなります。さらに、きちんとトイレでできたら毎回ほめてあげるようにしましょう。
原因2:トイレが清潔じゃない
トイレは清潔にしていますか?トイレが汚れたままだと、それを嫌がり別の場所でしてしまうことがあります。トイレシートはできるだけこまめに交換し、清潔な状態を心がけましょう。
原因3:かまってほしい
飼い主さんにかまってほしくてわざとそそうをする場合もあります。この時、飼い主さんが反応してしまうと、犬はかまってもらえたと勘違いします。そそうされても淡々と片づけ、犬には声をかけないようにしましょう。そそうをしても飼い主さんはかまってくれないと学ばせることが大切です。
暮らしの動線を見直し、快適なトイレづくり
愛犬が落ち着いて排泄ができるよう、家族の生活動線と交わらない場所にトイレスペースを確保しましょう。また、はみ出し防止のためにトイレシートはカラダより大きいサイズを選ぶのがポイント。大きめのトイレのほうが排泄しやすく、そそうやはみ出し予防にもなります。
また、犬は嗅覚がすぐれているので、寝床との距離が近すぎると、ニオイが気になってリラックスできません。寝床とトイレの位置は少し離して設置してあげましょう。
掃除の負担を減らすトイレ空間
いかがでしたか? シャンプーとトイレのお世話には苦労もありますが、愛犬の健康な暮らしを守るために上手に取り組みたいですね。今回ご紹介した工夫を参考に、愛犬も人も負担の少ない快適な毎日を過ごしていきましょう。
監修/白山聡子先生(獣医師)
名もなきペット家事~いぬ編~
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