6月29日にダイワハウスが「家事シェアハウス」の体験イベントを開催し、
共働きの女性11名にご参加いただきました。
当日は「家事シェアハウス」のコンセプト説明、建物の見学、
そしてゲストを招いたトークセッションが行われました。
家事参加のギャップと「名もなき家事」
まずはじめに、家事シェアハウスを担当するダイワハウスの多田綾子が登壇。コンセプト説明の前に、5月に当社が行った全国の共働き世帯600名を対象とした、家事に関する意識調査についてご紹介しました。
この調査で、妻と夫の間には家事に対して大きなギャップが存在することが分かりました。
まず、家事参加率についての質問では、夫の場合「3:7」という回答が多く、妻からは「1:9」との答えが返ってきたのです。このギャップはどこから生まれるのでしょうか。
調査では脱いだ服をしまう、靴を揃えるなど、妻が家事として行っているにもかかわらず、男性が認識していない細かな家事、「名もなき家事」の存在が明らかになりました。
この「名もなき家事」を実際に行っているか調査すると、夫はわずか1割という回答。つまり、9割が「妻」の負担となっていたのです。
仕事も、子育ても頑張っているお母さんですが、家族にその様子が伝わらず、ひとりで家事を抱えてしまっているという現実が、妻と夫のギャップを生む。こうした不満をハウスメーカーであるダイワハウスが解消できないものか…と取り組んだのが「家事シェアハウス」でした。
「家事分担」ではなく「家事シェア」という考え方
「家事シェアハウス」は共働きの女性の意見を参考に開発された商品で、大和ハウス工業富山支店から生まれました。富山県は共働きの世帯が全国で4番目に多い地域※で、「家族が無理なく、継続的に家事に参加し、妻の負担を減らす家づくりが出来ないか」という、お母さん社員たちの思いがきっかけでした。
「今までは家の中で家事を「分担」する、ということで満足している家庭が多かったのですが、それでは話し合いで妻の家事作業量を減らすことになるものの、夫は家事のほんの一部を手伝って満足して、細かな家事に気付かない」と、多田が説明すると、参加者の皆さんも大きく頷き、共感をしている様子。
「分担という考え方ではなく、「シェア」するという考え方に変えることで家事は奥さんが一人でやるものではなく、家族みんなで分け合い共有するものだということを感じていただくことが必要です」と、家事シェアハウスのコンセプトをお話ししました。
家事動線の工夫で「名もなき家事」を軽減!
続いて、実際に「家事シェアハウス」の機能を体験していただきました。夫婦と育ち盛りの子どもがふたり、4人家族を想定した「家事シェアハウス」で、まずは一般的な家の夫の帰宅シーンを当社の男性社員が再現しました。
勤めから帰ってきた夫は脱いだ靴を揃えることなく、いつもの調子で「ただいま」とリビングへ。
はずした腕時計とポケットから出した携帯電話、そして郵便物をテーブルの上に置き、ソファの背もたれにジャケットをかけ、ストンと腰を下ろすと靴下を脱いでポイと部屋の隅に放り投げると、周囲からクスクスと笑いが起こり、「あるある」と頷く参加者の姿が見られました。そして夫が「ビールちょうだい」と言い放ったところで再現は終了。「今見ていただいたこと、これこそが名もなき家事です」という多田の言葉に、参加されたみなさんは「ウチもそうです」「よくあることですね」と苦笑いしながらも納得。どこの家庭でも見られるこのシーンに、いくつもの「名もなき家事」が存在していたのです。
続いて「家事シェアハウス」の動線で夫の帰宅シーンを再現すると、参加されたみなさんの表情が一変しました。
「ただいま」と同じように帰宅した夫はしっかりと靴を片づけ、腕時計など毎日使う身の回りのものを家族各自が管理できる玄関口近くの「自分専用カタヅケロッカー」へしまいました。
そして郵便物は宛先をチェックして家族それぞれのロッカーへ配布し、不要なダイレクトメールなどはその場で足もとのゴミ箱へ捨てることができます。
そのまま自然な動線で浴室前の「ファミリーユーティリティ」に到着。ここでは洗濯・干す・たたむ・アイロン掛けまでを一ヵ所でできます。夫はここで、脱いだジャケットやネクタイをハンガーパイプに仮置き、ワイシャツや靴下をランドリーボックスへ投げ込むと、手を洗ってすぐ部屋着に着替えることができました。
そうしてリビングに到着したときは、完全にリラックスモードのできあがり。
自分で冷蔵庫を開けてビールを取り出した夫は、ソファに腰かけて自分でプシュリと乾いたノドを潤します。
なんとここまでの動作で、ひとつとして妻の手を煩わせていないのです。
これには、「すごい!」「感動的なほどに無駄がない」と喝采が起き、家事の負担を減らす工夫を目の当たりにして、参加された女性のみなさんの表情が明るくなりました。
シューズボックスに靴をしまう、郵便物を仕分け不要なものを捨てる、脱いだ服を拾う、上着をハンガーにかける。
これまで家事として認められなかったこれらの「名もなき家事」。ひとつひとつは小さなことですが、それが積み重なることで妻の大きな負担になっていたのです。
その負担が減った理由は、夫の協力ももちろんですが、作業を行う夫にすら負担を感じさせない「家事シェアハウス」の滑らかな動線づくりにあったのです。
その後は「家事シェアハウス」内の自由見学時間が設けられ、それぞれに気になるアイデアを実際に体験。
例えば、畳んだ洗濯物やカバンなど、あとで2階に持っていこうと、ついつい物を置いてしまいがちな階段ですが、この家では壁に設けられた「階段ポケット」がそれらの待機場所として機能しています。
また、キッチンに設置された「キッチン横マルチスペース」では、料理本やレシピをチェックするためのタブレットを収納できちょっとした作業もできるための工夫がされており、「これは便利」「私の家にも欲しい」と感動の声があがっていました。
壁や冷蔵庫のドアが指定席になっていたお知らせプリントやチラシなどをスッキリと収納できる「お便り紙蔵庫」、本やおもちゃなど、家族それぞれがリビングで使いたいものを片付けておける「自分専用ボックス」は、ママと一緒に参加した幼い兄妹に好評でした。
妻ひとりにかかっている負担を減らすためには、役割を決めて家事を分担するのではなく家族全員で「名もなき家事」をシェアすることが必要と言えるでしょう。
それが自然に行えるようにする最大の近道が、「名もなき家事」を楽しく自然に行える「家事シェアハウス」のアイデアなのです。
そして参加された女性の心をもっともつかんだのは、寝室に設置され、壁にフックを備えたウォークインタイプの「ビューティークローゼット」。
洋服を機能的に収納できることはもちろん、明日の服を選んでフックにかけておけば、バッグや帽子などとのコーディネートを確認しやすいだけでなく、朝の忙しい時間を節約することもできるのです。
家事シェアが時間と心のゆとりを生み出し、そのゆとりで生まれた会話や笑顔が、さらにスムーズな家事シェアを実現してくれるのです。
参加者の意見
- 「(家事をシェアしている家庭の様子を見て)こういう家族の関係になれたら魅力的だなと思った」
- 「自分の家でもこんな風に家事をシェアできたら、いろいろなことに時間を使うことができそう」
- 「家事シェアで時間はもちろん、心にも少しゆとりができそう」
- 「ほどこされたアイデアの数々は女性にとって、ちょっとしたご褒美になりそう」
- 「小さな子どもでも、この動線があればパパと同様に家事ができそう。小さなころから家事をシェアするという教育をするのは大切だと思った」
プロフィール紹介
河崎 環(かわさきたまき)
スイス、英国での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞、雑誌への寄稿、テレビ・ラジオ出演も多数。政治経済から少女漫画、デザインまで、多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を手がける。二児の母。
著書:「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
藤原 千秋(ふじわらちあき)
All About「家事」「掃除」「子育て」ガイド。主に住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして16年のキャリアをもつ。現在は並行して家事サービス、商品開発等に携わる。大手住宅メーカー営業職出身、三児の母。
著書:「この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典」(朝日新聞出版)
多田 綾子(ただあやこ)
大和ハウス工業株式会社 住宅事業推進部。一級建築士。インテリアコーディネーターでもあり、12年前から収納や暮らしの提案を行う。また社員の勉強会やお客様へのセミナーを全国で実施。
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