6月29日にダイワハウスが「家事シェアハウス」の体験イベントを開催し、
共働きの女性11名にご参加いただきました。
当日は「家事シェアハウス」のコンセプト説明、建物の見学、
そしてゲストを招いたトークセッションが行われました。
イベントの後半では、司会役にジェネリーノ代表の松前育子さんを迎え、住宅ライター・アドバイザーでコラムニストの藤原千秋さん、コラムニストの河崎環さん、そしてダイワハウスの多田綾子によるトークセッションを開催、家事シェアについての活発な意見交換が行われました。
写真左から、多田綾子、河崎 環さん、藤原 千秋さん
女性の有能ぶりが危うい
藤原さんは、大和ハウス工業から5月に発表した【共働き夫婦の「家事」に関する意識調査】について、「家事についての意識調査の結果を見て、9割近くが女性の負担になっていることを知りました。女性の有能ぶりが危ういと率直に感じます。できる女性すぎるのです」と発言すると、河崎さんは「昔は奥さんがすべての家事をこなして、旦那さんは外で仕事をしてくればいいという考えがありました。それを疑問にもつ風潮も、その頃はありませんでした。(今も)それでは困るんです。妻に何かあった場合、夫に家事が任せられるのか、子どもは大丈夫なのかを考えると、妻が全ての家事をしてしまうのは、結果的にお互いの自立を阻んでいる」と、家事をシェアする重要性に触れました。
「ウチの家事の割合は6:4で6割を夫がやっています」と藤原さんがご自身の話をすると、出席した皆さんも共感したのか、会場から驚きの声と拍手が起こります。それを受けた河崎さんは「ウチは0:10で始めてしまいました。まだまだ『イクメン』という言葉もない時代で、海外事情を学び、もっと男性は子育てをするべきだと叫んでいましたが、それは(自分が果たせなかった)恨みつらみでした」とコメントし会場の笑いを誘いました。
会の途中、松前さんから参加された方々へ意見を聞いてみると「家事シェアはしている方だと思いますが、夫と私の感覚にはズレがあって、彼は5:5だと言っていますが、私は3:7だと感じています」という声も上がり、女性たちの「家事」に関する不満の声が明らかに。
藤原 千秋さん(ふじわらちあき)
さらに、「『名もなき家事』が存在することは感じていましたが、それを言葉にできなかった。掃除や洗濯、炊事を手伝ってもらうと、『お前は何もしていない』と言われてしまい、苦痛に感じることがありました。それが原因で倒れたことがあり、それがきっかけで夫が進んで家事をやってくれるようになりました。あの苦しい『名もなき家事』の存在が最初からハッキリしていたら、倒れずにすんだのかな」と辛い体験を告白する方も。
こうした声を受け藤原さんは、「私も結婚当初は0:10でした。専業主婦だったのでそれでも大丈夫だったのですが、最初の子が産まれて家事で手が回らなくなり、二人目でそれが顕著になり、三人目で破綻しました。夫が仕事を休んで家事を手伝うようになり、そこで『大変な量の家事がある』と理解してもらえたのです」と家族の助けの重要性、言葉で伝えることの必要性について述べました。
言葉ではなく、
自然に実践できるのが家事シェアハウスの魅力
河崎さんは「『名もなき家事』をこれだけ言語化したことが素晴らしい。言語化することで相手に伝わるようになる。同じ家の中に住んでいて、同じだけの家事を自分たちの暮らしに必要なものとして共有しているのだから、私だけが全て担うのはおかしいんじゃない、と。家事シェアについて言葉で伝えることは大切ですが、それが難しいのも事実。しかし言葉で伝わらなくても、目の前に分けて置きたくなるような棚があって、そこにパパやママなど名前が書いてあれば、きっと仕分けしてしまう。こうして言語を超えて「仕向けられた」動線があれば自然に体が動き、いろいろな問題を解決してくれます。だからこうした家づくりから始まる家族問題の解決アプローチはすごいと思いました」と「家事シェアハウス」の魅力について触れました。
また藤原さんは『名もなき家事』に気づいてもらうためのコツとして、「『名もなき家事』ができてしまった理由のひとつは、気づかれないこと。汚れる前に先回りして掃除をしていると、それが当たり前になってしまう。キレイな家に住んでいて感謝してくれる人はあまりいないけれど、何らかの原因でぐちゃぐちゃになってしまい、それからキレイな状態に戻すとやっと気づいてもらえる。誰かが何かをしていることに気づかなければいけない。気づくゆとりを持たなければいけないのです。私の家では、私が家事をしないほど『ありがとう』と言われる機会が増えます」と、笑顔でコメントすると、会場全体からは感嘆の声と笑いが沸き起こりました。
河崎 環さん(かわさきたまき)
河崎さんは「家事シェアハウス」について、「玄関に入ってユーティリティスペースがあるのが画期的。私たちが家事をする上でうんざりしていることの7割くらいは、あのスペースがあることで解決してしまう。リビングのスペースを少し削ってあの空間を確保するだけでこれだけ心理的な負担が減るのだから大きな価値のある空間ですね」と発言しました。
「家事シェアハウス」を担当する多田も皆さんからのコメントを受け、「今まで自分の家庭の中でも、家事でかなりヘトヘトになることがありましたが、夫に家事をシェアするという発想を伝えたところ、協力的になり、家庭の中での心の負担が減りました。本日皆さんから沢山共感していただけたので、家事に対して女性が思いを伝えるという一石を投じられたのではと思っています。」と自身の体験も踏まえ、説明しました。
家事シェアの実現がもたらすメリット
藤原さんは最後に「実際に家を購入できるかどうかは置いておいて、「家事シェアハウス」に込められた思いやエッセンスを広く伝えることが大事。これから小さいお子さんを育てる方に対し、笑顔を増えるようなアドバイスができると思う。家事をシェアして気持ちもシェアして、笑顔になれる。「家事シェアハウス」を見てそのヒントを得たことを広く伝えていきたい」とコメント。
河崎さんは「妻が家事をするのは責任感でやっていたけれど、『家族事』は夫婦のこと、家族のこととしてシェアする発想が生まれたのは、「家事シェアハウス」の貢献だと思う。夫婦のありかた、家族のありかた、そして役割が変わり、自立の仕方も変わっていく。幼いうちから自分のことをできるようになれば、それはもう自立と言えます。ガミガミと教え込むのではなく、いつの間にか自然とできるようになる、そんな自立は素敵だと思う」と締めくくりました。
プロフィール紹介
河崎 環(かわさきたまき)
スイス、英国での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞、雑誌への寄稿、テレビ・ラジオ出演も多数。政治経済から少女漫画、デザインまで、多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を手がける。二児の母。
著書:「女子の生き様は顔に出る」(プレジデント社)
藤原 千秋(ふじわらちあき)
All About「家事」「掃除」「子育て」ガイド。主に住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして16年のキャリアをもつ。現在は並行して家事サービス、商品開発等に携わる。大手住宅メーカー営業職出身、三児の母。
著書:「この一冊ですべてがわかる!家事のきほん新事典」(朝日新聞出版)
多田 綾子(ただあやこ)
大和ハウス工業株式会社 住宅事業推進部。一級建築士。インテリアコーディネーターでもあり、12年前から収納や暮らしの提案を行う。また社員の勉強会やお客様へのセミナーを全国で実施。
家事シェアハウス 体験イベント