リビングに家族共用の本棚を作ると、
どのような効果があるのでしょうか。
教育コンサルタントの松永先生にお話を伺いました。
テレビゲームやスマートフォンの普及により、大人も子どもも昔に比べて本を読む機会がずいぶん減ってきました。しかし私の経験上、勉強ができる子ども、私立中学受験に成功する子どもの家庭では、必ずと言っていいほど本を読む習慣があります。
ある典型的なご家庭では、リビングに本棚が4つあり、お父さんの本、お母さんの本、子どもの本が並べられていました。週末には家族そろって書店に行き、それぞれ興味のある本を10冊ずつ買ってきて読むのだそうです。
収納の場所が十分にあると、新しく本を買うことを躊躇せずに済みます。また、増えた本の置き場所に困らず、長く保管しておくことができるでしょう。幼い頃に眺めた図鑑、授業で使ったテキスト、昔両親が読んだ本などを5年でも10年でも保管しておき、何年も経って、ふと再読できることに意義があるのです。そうした環境によって文化的な経験が蓄積し、知識として身についていきます。
また、リビングに本棚を置く意味は、いつでも本が読める便利さだけではありません。家族がお互いの本を手に取り合って、「この本はどんな内容なの?」「面白いの?」といった会話をする。そこに大きな意味があるのです。
私は常々、子どもにとって最も大切な基礎学力は「国語力」だと提唱しています。英語であれ数学であれ、どの教科も国語力なくして成績を伸ばすことはできないと言ってもいいでしょう。
ところが国語力とは、学校や塾の授業を受けるだけで身につくものではありません。幼い頃から日常的に本を読むことによって養われます。また、読書を介した親子の会話、つまり言語的なコミュニケーションを重ねることによって伸びていくのです。
大学での学問に必要な国語力の目安は、新書1冊を読んで他者と議論ができるレベルです。お子さんの将来のために、お父さん・お母さんも今日から本に親しむ生活を送ってみませんか。
松永 暢史(のぶふみ)先生
教育環境設定コンサルタント。教育や学習の悩みに答える教育相談事務所V-net(ブイネット)を主宰。主体的な子どもに育てるための方法を提案している。著書に『賢い子どもは「家」が違う!』(リベラル社)、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』(すばる舎)など。
子どもを育てる家づくりバックナンバー
2017年12月現在の情報となります。