眺めていると、ほっと一息つけるキャンドルの炎。なぜか心がひきつけられます。
今回は、国内におけるキャンドルの売り上げトップを誇り、
「カメヤマローソク」というブランド名で知られるカメヤマ株式会社に
キャンドルの魅力や、暮らしへの取り入れ方について、お話を伺いました。
暗闇の中で淡い光を放ち、優しく辺りを照らすキャンドルの灯り。まるで夏の小川を舞う蛍のようなその灯りは、いつまで眺めても飽きることはありません。
一説によれば二千年以上の歴史があるキャンドル。現代でも世界中の人々の生活に灯りと安らぎをもたらしています。緯度が高く北極圏が近い北欧では冬の夜が長いため、特にキャンドル文化が盛んです。中でもデンマークでは、居心地の良い暮らしを志向する「ヒュッゲ」という価値観に、集いの場を温かく演出するキャンドルが欠かせません。「食卓の一品」と表現される程、朝夕問わず食事の際に使用されます。このことからも、日常生活における存在感の大きさがうかがい知れます。
日本では、明治維新以降に西洋ろうそくが輸入・製造されるようになりました。現在日本でキャンドルの売り上げトップを誇るカメヤマ株式会社は、元宮大工の谷川兵三郎が1927年に創設した谷川蝋燭製造所が始まりです。
同社が創業当時から第一に掲げたのが高品質でした。質の良い神仏用ローソクの条件『三ず』―流れず、曲がらず、くすぶらずを実現するため試行錯誤。より良い原料を探究したり、良好な燃焼の要の一つとなる芯糸を自社工場で製造したり編み方を工夫したりするなど、改良を重ねてきました。1975年にはスウェーデン王立研究所で行われた品質実験により、世界一の評価を得ました。
1995年、同社はキャンドルハウス事業部を立ち上げました。目的は日本でキャンドル文化を広めて、日常で楽しんでもらうこと。デザイン性と品質を追求した独自の商品開発を進めながら、海外キャンドルメーカーの製品の販売も行っています。また、町おこしイベントでのライトアップや、音楽フェスティバルとのコラボといった多彩な企画を実施。暮らしへの取り入れ方やキャンドルの魅力を発信し、キャンドル文化の浸透に向けて歩みを進めています。
※テラスやバルコニーなどでキャンドルを使用する場合は、ランタンやホルダーなどを使用し、火の粉が防水面に触れないようにしてください。
(調理器等を使用する場合も同様です。)
「“ビタミンキャンドル”と呼びたくなるほど、キャンドルのパワーは私たちの日常生活に欠かせないものなんです」と話すのは、同社キャンドルハウス事業部営業本部長の金指琢也さん。キャンドルの炎がもたらす三つの効果を次のように紹介しています。「一つ目は、マイナスイオンが発生するという点です。面積当たりで比べると、燃焼中のキャンドルから放出されるマイナスイオンの量は、森林や滝から放出される量を上回ると言われています」。キャンドルに火を灯せば、家で過ごしながら森林浴気分を味わうことができるのです。
金指さんが二つ目に挙げたのは消臭作用です。「お部屋の臭いやペット臭が気になる場合、キャンドルが効果的です。臭いのもとは空気中に漂う微粒子成分です。キャンドルの炎はこの物質を燃やしてくれます」。さまざまな食材を取り扱うキッチン、外気が入ってきたり、汗などで汚れた靴が置かれたりする玄関などに用いるのがおすすめなのだそうです。
三つ目は、人の心を癒やす作用。「不規則にゆらぐキャンドルの炎は、『1/f(えふぶんのいち)ゆらぎ』のリズムを刻んでいます。これは小川やそよ風、人間の鼓動と同じリズムで、人が心地良いと感じるそうです」。このゆらぎを利用した療法“ライトテラピー”は、不眠などの症状の治療に用いられています。このように、キャンドルには、人の体や心にプラスの影響をもたらす、秘められたパワーがあります。
存在感が際立つキャンドルを置けば、ダイニングテーブルがたちまちゴージャスに
カメヤマキャンドルハウスは火について子どもに教える活動をしています。火の扱い方やその恵みを伝えることで、生活を豊かにする力、災害や緊急時に対応する力を育みます。「住まいの電化が進み、裸火を見たことがない子どもが増えていると聞きます。確かに子どもが火遊びするのは危険ですが、だからといって火を遠ざけるのではなく、本物の火に触れる体験が大切です」と金指さん。キャンドルは、火と触れ合う機会を日常で創り出し、彼らの成長の一助になります。
また、オフィス内の会議室や家族で過ごすリビングといった人が集まる場所で、キャンドルの火はコミュニケーションを促進する面もあると金指さんは言います。「囲炉裏やキャンプファイアなど、昔から会話が弾む場面のそばには火がありました。きっと心にゆとりをもたらしてくれるのでしょう。ある企業では、会議時にキャンドルを灯すようにして以来、内気な社員が心を開いて意見を述べるようになったと言います。キャンドルには人間関係の緊張を緩め、話しやすくする作用もあります」
さらに、ホームパーティーなどおもてなしの場面でも、キャンドルはお客さまに喜ばれることが多いそうです。「火は動きがあるので、印象に残りやすく、また非日常感を演出できます」(金指さん)
心に安らぎをもたらすだけでなく、人と人のつながりを促すキャンドル。毎日の暮らしでも、お祝い事などの特別なシーンでも。心地良いゆらぎに触れる機会をつくってみてはいかがでしょうか。
LEDキャンドルは実際の炎のゆらぎを再現。本棚など、火を使いにくい場所でも問題なく、キャンドルのようにほのかな灯りを楽しめます
ウォーマーランプは火を使わないので寝る前でも気軽に使えます。溶けたロウから香りがほのかに漂います
お風呂で楽しむ「バスキャンドル」。水面に映し出されたキャンドルの灯りに、心も洗われます
このページでは金指さんから教えていただいた、
キャンドルを上手に暮らしに取り入れるノウハウをご紹介します。
キャンドルの正しい使い方
キャンドルは気軽に暮らしに取り入れられますが、
火を使うので注意も必要です。正しい使い方を知っておきましょう。
火をつけてから消すまで
火をつける際、キャンドルの芯をまっすぐに立てると、火がつきやすくなります。燃焼中は火のそばから離れないようにしましょう。消火時は静かに吹き消しましょう。水をかけるのは厳禁です。
トラブルの解消法
途中で火が消えたり、火が小さくなった場合、溶けてたまったロウの中に芯が埋まったことが原因と考えられます。溶けてたまったロウは新聞紙の上などに捨て、芯に再点火しましょう。もしロウが固まってしまったら、なるべく柔らかいうちに芯の周りのロウをスプーンで削り芯を出しましょう。溶けたロウは排水管のつまりの原因となりますので、直接シンクに流さないでください。
キャンドルを楽しむためのコツ
美しいキャンドルの輝きをより堪能できるように。
魅せ方のポイントをご紹介します。
キャンドル周りを工夫する
アイテムを活用することで、キャンドルの表情はより豊かになります。テラスではランタンを使ったり、カラフルなホルダーで食卓を彩ったりして、キャンドルの着せ替えを楽しみましょう。
部屋の明るさは夕暮れ程度がベスト
キャンドルホルダーの影が映えるので、真っ暗ではなく薄暗い方が美しいです。外の光を取り入れる場合、夕暮れ時の少し明るい時に点火するのが良いでしょう。室内の場合、直接照明は消して、間接照明をつけた状態がおすすめです。
置く場所は3つの高さに分散して
複数置く場合、目線より上、目線と同じ、目線より下の3つの高さにリズムをつけると、より灯りを心地良いと感じることができます。
シーン別に選びたいキャンドルあれこれ
4つのシーンごとにおすすめのキャンドルをご紹介します。
ライフスタイルに合わせてお好きなキャンドルをお楽しみください。
1日の終わりの憩いの時間に
1「WoodWick(ウッドウィック)」シリーズ
芯が木でできているので、火をつけると暖炉の薪が燃えているような音がします。パチパチという音に包まれながら、揺らめく火を眺めてゆっくり過ごしてはいかがでしょうか。
バスタイムに
2「バスキャンドル」
お風呂にキャンドルを浮かべてみると、華やかな明かりが水面に映ります。安定して水に浮かぶ設計のカップは熱や衝撃にも強く、バスルームでも安心して利用できます。
お庭やバルコニー、縁側でくつろぐ時に
3「シトロネラ」シリーズ
虫が嫌うといわれるハーブを配合したキャンドル。バルコニーや縁側で過ごす時にそばに置けば、虫よけを兼ねた明かりとして便利です。
4「LUMINARA(ルミナラ)アウトドアピラー」
火を使わずにキャンドルの炎を表現するLEDキャンドル。水やホコリに強いので、お庭や玄関アプローチに取り入れてみてはいかがでしょうか。
火をともさずに香りを楽しみたい時に
5「キャンドルウォーマーランプ」
ハロゲン電球の熱でキャンドルを溶かして楽しむ電気スタンドです。豊かな香りとふんわりとした明かりを楽しめます。電気なのでおやすみ前でも安心して使用できます。
キャンドルのDIY
既製品を買うだけがキャンドルの楽しみ方ではありません。
オリジナルキャンドルを作って、自分の好みを追求するのも一つの手。作る過程も楽しめます。
市販の手作りキャンドルキットを使ってオリジナルキャンドルを作ることもできます。形を工夫したり、色を組み合わせたりして、世界で一つのキャンドルを作ってみませんか。
手作りのハ―バリウムをキャンドルにして楽しむことも
手作りキャンドルキット
手作りのハ―バリウムをキャンドルにして楽しむことも
取材協力/カメヤマ株式会社
キャンドルハウス事業部
金指 琢也さん(かなざし たくや)
キャンドルハウス青山店
- 住所/
- 〒107-0062
東京都港区南青山4-25-12 - TEL/
- 03-5656-1923
- FAX/
- 03-5656-1924
カメヤマキャンドルハウス 公式サイト
2019年7月現在の情報となります。