日本に住んでいる20歳から60歳までの人が、
全て加入することになっている「国民年金」。
年金というと老後のためだけのものと思われがちですが、
実はそれ以上に困ったときにも助かります。
「障害年金」と「遺族年金」について知っておきましょう。
障害状態になったら障害年金。厚生年金加入者はさらに上乗せ
病気やケガにより、生活や仕事などが制限される重い障害を負った時には「障害基礎年金」が支給されます(表1)。その病気やケガの初診日に厚生年金に加入していた人(会社員、公務員など)は、さらに上乗せとして「障害厚生年金」が支給されます。この障害年金は、障害状態にある間はずっと受給できます。
遺族年金の給付は、基本的には18歳までの子どもがいる世帯に
家族の生計を支える人が亡くなった場合は、遺族年金が受給できます(表2)。自営業者などが加入している国民年金からは「遺族基礎年金」が支給されますが、その条件は「18歳(到達後の3月31日まで)までの子」がいること。厚生年金加入者(会社員、公務員など)が亡くなった場合は、遺族基礎年金に加えて「遺族厚生年金」が受給できます。
保険料の納付状態をチェック
このいざというときに助かる障害年金、遺族年金ですが、誰でも受給できるというものではありません。保険料の納付状態によっては、受け取れない場合もあります(表3)。経済的に納付が難しい場合は、免除や猶予の特例がありますので、自治体の窓口などで相談しましょう。国の最大のセーフティネットである年金制度。どんなときに誰がもらえるか、しっかりとチェックしておきましょう。
(表1)障害年金の受給額〈年額〉 ※2019年4月分から
障害状態に応じて「障害等級」が分かれ、それぞれ年金額が決まります。また「障害厚生年金」は「障害基礎年金」の受給までは至らなかった状態の障害(障害等級3級)も支給対象となります。
障害等級 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
---|---|---|
1級 | 780,100円×1.25+子の加算※1 | 報酬比例の年金額※2×1.25+配偶者の加給年金額※3 |
2級 | 780,100円+子の加算※1 | 報酬比例の年金額※2+配偶者の加給年金額※3 |
3級 | なし | 報酬比例の年金額※2 (最低保障額 585,100円) |
(表2)遺族年金の受給額〈年額〉 ※2019年4月分から
一般的に高校生までの子がいれば、「遺族基礎年金」を受給できます。ただし、子がいない、子が大学生以上のみなどの場合は受給できませんのでご注意を。「遺族厚生年金」は、子がいなくてももらえますが、30歳未満の子のない配偶者は、5年間のみの受給となります。
遺族基礎年金 | 遺族厚生年金 |
---|---|
780,100円+子の加算※1 | 報酬比例の年金額※2×3/4※4 |
◎遺族厚生年金の「中高齢寡婦加算」制度について
遺族厚生年金受給している妻(夫が亡くなったとき40歳以上65歳未満の子がいない妻、または子が18歳を超え遺族基礎年金を受給できなくなったとき40歳以上65歳未満の妻)には、遺族厚生年金に付加して給付される年金の加算制度「中高齢寡婦加算」があります。加算額は、585,100円(年額)です。
- ※1 子の加算額:第1子・第2子は、各224,500円 第3子以降は各74,800円
(*注)子とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子 - ※2 厚生年金加入時の報酬によって計算される。老後に支給される老齢厚生年金受給額とほぼ同じ
- ※3 生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合、受給224,500円
- ※4 被保険者期間が、300月(25年)未満の場合は、300月加入とみなして計算
(表3)受給のための保険料の納付要件 ※下記のいずれかを満たすこと
基準月※5の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上が、保険料納付または免除 |
基準月※5の前々月までの1年間に保険料の未納がない(65歳未満) |
- ※5 障害保険は初診日のある月、遺族年金は死亡した月
ファイナンシャルプランナー 福一 由紀
2019年5月現在の情報となります。