同じゆかたでも着物風に着たり、素肌にさらりと着たり、
帯や小物合わせ次第で雰囲気を変えて着こなせます。
コーディネートの仕方やきれいに着るポイントを、
スタイリストの小河浩子さんに教えていただきました。
ここでは、着物風に着るスタイルからカジュアルに着るスタイルまで順にご紹介します。
小河 浩子さん
ファッションから料理、雑貨、インテリアまで、スタイリストとして広告、雑誌等で活躍。また感性豊かな着物のスタイリング、着て楽で美しく見える着付けにも定評がある。
気軽に楽しめるゆかた
ゆかたはもともとがくつろぎ着。着物の約束事に縛られることなく、また、汗をかいても家で洗えるので、気軽に着られます。「お母さま、おばあさまのゆかた、または若いときに着たゆかたがたんすに眠っていませんか。昔のものもコーディネート次第でかえって今風に着こなせますよ」と小河さん。帯や帯締めはユーズドで探したり、バッグやパラソルも和装用でなくてもよいので、工夫してもっと気軽に楽しんでほしいと言います。
きれいに着るポイントは
着付けは、インターネット上にさまざまな動画サイトがあるので参考にするとよいそう。加えてきれ
いに着るポイントを伺いました。
「まず、着る前の準備が大事です。ゆかたは洗濯のりをスプレーしてアイロンをかけパリッとさせておきます」。そして、着付けの途中で動いたりしゃがんだりは着崩れのもと。
肌着や帯など必要な全てを、机の上など手に取りやすい高さに用意。その脇で前の鏡だけを見て、無駄な動きなく着ることが肝心だそう。
「ゆかたはすっきりと涼しげに着るのが心得。胸の膨らみや腰のくびれをなくしてずんどうな体型に補整すると、すっきりとした着姿になります。襟の扱い方も大事。後ろは衣紋(えもん)をしっかり抜きます(写真参照)。前は左右のバストトップが隠れるくらいの位置で深めに合わせ、着終わってから、首元の両側の襟を持ってわずかに開くように緩めると、肌との密着感がなくなり涼しげに見えますよ」
実際にゆかたを着てみると意外に涼しいもの。そして見る人にも涼しさを感じてもらうのが、ゆかたの粋なおしゃれかもしれません。
きちんと着物風に甘い花柄のゆかたを、黒を効かせたコーディネートできりりとモダンに
大ぶりの格子柄の帯、バッグやパラソルを黒で合わせてクールに引き締めました。バラの花をかたどった帯留めと鼻緒に赤を配し、大人の華やぎをプラス。帯は小ぶりのお太鼓結び、白の半襟と足袋を合わせ、きちんと着物風に着付けています。観劇やレストランでのお食事にも出掛けられる着こなしです。
帯合わせでちょっと着物風に藍の古典柄を大人の遊び着スタイルに
藍地に麻の葉柄の絞り染め。これは小河さんのお母さまのゆかただそう。帯は蔦模様の麻の着物を仕立て直したもの。素足に下駄、帯は粋な印象の銀座結びをコンパクトにアレンジして、右ページより砕けた着方です。帯揚げ、帯締め、鼻緒を同じ水色で合わせ涼やかにコーディネート。衣紋を抜き、ヘアはすっきりと上げてうなじをきれいに見せています。
半幅帯でカジュアルにモダンな柄を洋服感覚のコーディネートで
ブルーのよろけ縞のモダンなゆかたを素肌にさらりと着て、近くまでお散歩に。鮮やかな同系色の半幅帯は手軽な文庫結びに、小物は黄色からオフホワイトで軽やかに合わせ、カエル柄の扇子で遊び気分を。カジュアルなスタイルでも、ヘアは襟にかからないようにまとめ、ナチュラルメイクであってもリップは色を効かすのが大人の身だしなみ。
半幅帯を変えてみました。実はこれ、小河さんのおばあさまの帯。現代風のゆかた×昔の帯に、細めの帯締めを斜めに結ぶと、遊び心のある小粋な雰囲気になりました。