風通しがよく、外とゆるやかにつながる和室は、四季の表情を楽しむことができる心地よい空間。可変性のあるふすまや障子で仕切られ、もてなしの場として、あるいは食事や就寝、趣味を楽しむ場として多目的に使えます。さらに生活の変化にも対応できる大らかさも魅力です。和室のよさを見直してもっと活用するとともに、洋室にも和の感覚を取り入れることで心地よい空間をつくり、暮らしを豊かにすることができます。
和室でのくつろぎ感をつくるひとつの要素が、畳の上で座って過ごす目線の低さ。天井が高く開放的に感じられます。洋室ではソファや椅子、テーブルなどに低めの家具を選ぶことで重心が下がり落ち着いた空間に。椅子はリラックスできる座面が広いものを選ぶのがポイントです。また、フロアライトに低い灯りを取り入れるなど多灯照明にすることで、よりくつろぎ感を演出できます。
(上2点)上は昼、下は夜のリビング。フローリングの洋室に障子を合わせ、低めのソファや椅子を配置して、和の趣を演出した空間。照明は天井一灯ではなく多灯にすることで、落ち着いた雰囲気に。
畳スペースの障子を洋室側にも連続して取り入れ、デザイン性の高い椅子とも調和のとれた空間に。
障子は日中の強い日差しをやわらげたり、庭木の影をスクリーンのように映し出すなど、部屋全体をやわらかな印象にします。障子は開けたり、閉じたり位置を自由に移動させることができるので、視線や光を遮りながら、風景を取り込むこともできます。また、障子は和室だけでなく、フローリングとも相性がよく、桟のデザインによっても部屋の印象は変わります。縦のラインを強調すると高さ、横なら広さを感じさせる空間になります。
(上・左下)玄関脇のモダンにデザインされた和室。玄関側との仕切りには障子を使い、引き込めば開放的な空間に。
(右)夜、仕切りの障子を閉めて灯りをつけると、外からは大きな行灯のように見え、あたたかみのある雰囲気に。
日中は外からの日差しをやわらげ、スクリーンのように庭木の影を映し出す効果も。
和室では縁側に腰掛けたり、畳に寝転んで庭を眺めたり…。自然と一体感のある空間づくりを大切にしてきました。庭の景観は、部屋の中で座ったときに見える低い目線を意識しましょう。また、床の間に季節の花を生けたり、掛け軸を飾るように、玄関やリビングのちょっとしたスペースに、花や節句の飾り物をディスプレイして、季節感を演出。竹かごや土のぬくもりを感じる陶器、和紙の照明などの小物を取り入れることでも心が安らぎます。
庭のちょっとしたスペースにも草花を育てて、自然を身近に。
目線の高さの景色を意識し、自然をいつも感じられる工夫を。バルコニーにはプランターを配置して。
土や木、和紙など、自然素材の小物を置くだけでも、和のぬくもりが感じられる。季節ごとにディスプレイを替えて。
2015年11月現在の情報となります。