外壁や室内の床材、壁材などは面積が大きいため、住まいの印象を大きく左右します。近頃は本物志向の高まりと共に、素材そのものが持つ魅力を引き出したもの、伝統的な工法がとられたものなど、こだわりの内装材・外装材で仕上げるケースが増えています。今回は家の雰囲気を高めたり、アクセントになったりする自然素材の使い方やその効果をご紹介します。
自然素材の魅力のひとつは、唯一無二の空間をつくり出せること。ナチュラルな色むらやゆがみも味わいとなり、新築時から落ち着いた雰囲気になります。経年変化でさえも趣深く感じ、より住まいに愛着を持てることでしょう。例えば、仕上げに草木染を用いた無垢の床材は、自然な風合いが強調され、木の温もりをより一層楽しめます(上写真)。
また、土壁や漆喰特有の凹凸感のある壁を間接照明によって際立たせると、自然光で見る質感とは少し違った表情を味わえます。写真のように飾り棚を設けると、柔らかな反射光が照らす印象的な展示コーナーにもなります。
コスト面などから、自然素材を広範囲に用いるのが難しい場合は、リビングや寝室の壁一面のみに使用するなど部分的に取り入れてみるのもひとつの手。アクセントとして目を引くポイントができ、部屋全体にまとまりが生まれます。
住まいづくりの際は、ぜひ自然素材やその仕上げにまでこだわってみてください。
外壁をタイルや石張りにしてはいかがでしょうか。土や石が持つ独特の質感と色合いによって、高級感とデザイン性のある印象になります。
また、版築※の門扉をアクセントとして設置するアイデアも。年月を経るにつれ味わい深く表情を変えていきます。素材の変化とともに、価値の高まりも感じられます。
- ※版築(はんちく)…土や石を突き固め、建造物をつくる工法のこと。歴史的建造物の壁や塀などを構築する際に使われてきた手法です。
版築の門扉(写真右下)により外観に自然な落ち着きを演出
ファブリックガラス
ガラスの間に布地を挟み込んだファブリックガラスは、ぼんやりと向こう側の様子がうかがえ、ゆるやかにスペースを区切ることができます。照明器具と組み合わせれば、ファブリックをつたって柔らかい光が部屋全体を優しく照らします。
布の柄により光の印象が変わるファブリックガラス
環境に配慮された石壁
石をカットした際にできる「耳」の部分を寄せ集め、レンガのように並べ接着した後にスライスしたユニークな素材です。廃材からできたとは思えないほど意匠性が高く、印象的な空間を演出できます。ひと味違った存在感を放ちながら、和室にも洋室にも違和感なくとけ込みます。
廃材の石を活用した素材でインテリアにアクセントを
2016年4月現在の情報となります。