新年を迎え「今年こそ家を建てるぞ!」と決意した方もおられるでしょう。
税制面や補助金などの条件を上手に生かすためには、
早期のスタートがおすすめです。
2017年4月から消費税率が10%に引き上げられる予定です。2017年4月1日以降に引き渡しを受ける新築住宅には、消費税率10%が適用されることになります。
2016年9月30日までに請負契約を結べば、引き渡しが4月1日以降でも8%が適用される経過措置もありますが、いずれにしても、残された時間は長くはありません。住まいづくりには、約10~15か月かかります。新居のイメージづくりから、建築依頼先の選定、返済計画、そして施工まで、さまざまな行程があります(詳細は下記参照)。
数々の行程を踏まえ、引き渡し希望時期から逆算すると、動き出すべき時期を迎えているといえるでしょう。
「住宅ローン控除」をはじめとするさまざまな優遇税制は、2016年も引き続き利用できますが、消費税率10%の適用に伴い、条件が拡充される制度もあります。
例えば、「すまい給付金」は、住宅ローンを利用した住宅購入に対する給付額の上限が変更されます。消費税率8%の場合は30万円ですが、10%になると50万円に引き上げられます(詳細は下記参照)。
また、「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」は、契約の時期によって非課税限度額に差がつくことになります。2016年9月30日までは700万円ですが、2016年10月1日から2017年9月30日までに契約し、かつ消費税率10%が適用された場合は2500万円まで拡大されるのです。良質な住宅であれば、より有利になります(詳細は下記参照)。消費税率10%が適用されるケースにしても、税制を有効に生かせる条件がそろっているのが、今年であるといえるでしょう。
気をつけたいのは、新築時に発生する家具・家電の購入費用や、引っ越し代にも消費税がかかるということ。どの時期が自分にとって有利なのか、見極めて計画を立ててください。
引き渡しまでのスケジュールは、大きく4つの期間に分けることができます。土地の有無や建てる家の大きさ、個人の状況などにより、細かい内容や必要な時間は変わりますが、全体のスケジュール期間としては約10~15か月ほど。引き渡し希望時期から逆算し、開始時期のめどを立ててみましょう。
「住宅ローン控除」とは、ローンを利用して住宅を購入した人が、一定の条件を満たすことで年末のローン残高の1%(限度額あり)が10年間にわたって所得税や住民税から戻ってくる制度です。
「すまい給付金」は、消費税率引き上げによる住宅取得者の負担を軽減するために設けられている制度。住宅ローン利用による住宅購入で、年収に応じた給付金を受け取れます。給付額は、消費税率8%の場合は最大30万円ですが、10%の場合は最大50万円まで引き上げられます(50歳以上で、かつ購入する住宅が一定の基準を満たしていれば現金購入も対象になります)。
※給付金を受ける人と住宅には一定の要件があります。
「住宅取得等資金の贈与税の非課税措置」とは、両親や祖父母などから住宅取得等の資金の贈与を受けた場合、一定金額まで非課税になる特例のこと。2016年9月30日までは非課税限度額は700万円(良質な住宅は1200万円)ですが、2016年10月1日から2017年9月30日の間に契約を結び、消費税率10%が適用された場合、非課税限度額は2500万円(良質な住宅は3000万円)と大幅に増額されます。
※制度の適用には、入居時期や年齢、家屋の登記簿上の床面積などの条件があります。
※掲載の情報は2016年1月現在のものです。内容は制度運用中でも変わる場合がありますのでご了承ください。
住まいる総合研究所 井口 克美先生(住宅評論家)
1987年株式会社リクルート入社。SUUMO(旧週刊住宅情報)及びSUUMOカウンターにて、営業及び企画を担当。マンションから注文住宅まで幅広い領域で活躍。2014年「住まいる総合研究所」を設立し、セミナー講師及び執筆活動に取り組んでいる。
2016年1月現在の情報となります。