2006年度の診療報酬の改定による「7対1入院基本料」の新設を機に、大規模病院などが看護師の大量採用を行う傾向が強まり、深刻な看護師不足に拍車をかけている。こうした実情を受けて中央社会保険医療協議会は、次回の診療報酬改定(2008年度)においては、一般病棟7対1入院基本料について医療の必要度などに基づいて届け出が行われるよう、施設基準に看護必要度を盛り込むなどの提言を行い、厚生労働大臣に対して建議する。
7対1入院基本料を届けている病院は現在561病院(11万9093床)。一般病棟入院基本料I群Iの届け出病院に占める医療法人病院は全体の51%だったのが、7対1入院基本料では71%を占めるほどになっている。
そもそも7対1入院基本料「急性期入院医療の評価ということで新設された」ものだが、予想を上回る届け出によって、看護師不足がこれまで以上に深刻化している。日本医師会による看護師の需給調査によると、病棟・病床数から算出して今後は7万人の看護職員の増加を必要としているのに対し、近年の就業者の増加数は3万人。今後も需給が改善され、看護職員が充足する見通しがたたないことから、7対1入院基本料では看護配置基準の引き上げを段階的に行うように求めている。
7対1入院基本料は看護の充実を図る上では正しい方向だが、予想以上の看護師不足を招く結果となり、中医協では医療や看護の必要度に応じて7対1入院基本料にするべきという点で意見が一致し、次の改定に向けて是正していく姿勢。医療必要度などに応じて7対1入院基本料を届け出にし、医療機関を限定するなどのルールづくりを行う必要があるとして建議することを決定した。