介護保険給付費の増大で財政が懸念され、厚生労働省はかねて2009年度から介護保険制度の被保険者・受給者の範囲拡大を検討していたが、懸念する声が相次ぐなど理解を得られないとして範囲の拡大を見送る方針を固めたもようだ。
2005年の改正介護保険法の附則として、厚労省は介護保険制度の被保険者・受給者の範囲の拡大を含めた社会保障全体の見直しを検討することとし、06年度内には結論を得て09年度の第4期介護保険事業計画のスタート時に新制度への移行を予定していたが、これまでに制度の変更をめぐって反対意見が多く混乱を招いていた。有識者会議でも後期高齢者医療制度で国民負担が増すなかで、さらに若者層に負担を強いるというのは理解を得られないとする意見があって、議論がまとまらず、範囲拡大に関する議論は事実上、棚上げとなり拡大が見送りとなる公算が強い。
ちなみに、介護保険の対象範囲については、介護保険制度のスタート時にも議論が行われ、被保険者を20歳からとするのが有力だったが、結局40歳以上と改められてスタートした。04年にも再度期論が行われたがこの時も結論がでないままに今日におよんでいる。