「療養病床から転換した老人保健施設における医療サービスの提供について」(平成19年6月20日:第5回介護施設等の在り方に関する委員会)にあるとおり、療養病床から転換した介護老人保健施設については、入所者に引き続き適切な医療サービスを提供する必要があることから、次の点について医療提供機能の強化措置が確保できるような具体的な医療職の配置の在り方とその適切な裏打ちとなる介護報酬の在り方を検討する必要がある。
(1)日勤帯の時間帯における医療サービスニーズの高まり
(2)夜間等日勤帯以外の時間帯の対応
(3)入所者の看取りへの対応
療養病床が介護老人保健施設に転換した後、一定期間が経過するに従い、転換時の入所者は徐々に退所することとなる。
一方、療養病床から転換した介護老人保健施設の入所者として想定され、適切な医療サービスを提供されることが必要な者は、地域において引き続き発生することが想定される。
これらの者に適切な医療サービスを提供する受け皿を確保する観点から、療養病床から転換した介護老人保健施設については、一定の医療サービス等を必要とする者を入所させるよう求めることについて検討してはどうか。
療養病床から転換した介護老人保健施設について、入所者の状態を踏まえた医療ニーズに対応するサービスの提供体制に応じた給付額を定めるためには、介護報酬体系において新たな施設サービス費を創設する(新たな施設類型を設ける)のではなく、療養病床から転換した介護老人保健施設において、必要な医療サービスの提供にふさわしい医療職の配置を行った上でサービスの提供を行った場合に、介護報酬上加算により評価を行うこととしてはどうか。
療養病床から転換した介護老人保健施設の入所者として想定され、一定の医療サービスの提供が必要な者の入所を引き続き担保する観点から、療養病床から転換した介護老人保健施設については、個々の施設が入所者に関して以下の条件を満たすこととしてはどうか。
<医師による対応(往診等)>
夜間等日勤帯以外の時間帯における、急性増悪により医師による緊急対応的な医療提供を要する入所者については、対応が必要と見込まれる入所者数等に鑑みれば、介護老人保健施設の医師のオンコール対応や他の保険医療機関の医師の往診(後者については医療保険からの給付であり、保険局と調整中。)により対応可能である。
<看護職員による夜間等日勤帯以外の時間帯の対応等>
看護職員による夜間等日勤帯以外の時間帯の医療提供については、対応が必要と見込まれる入所者数等に鑑みれば、新たに夜間等における看護職員の継続的な配置を求めることや、必要に応じ、経管栄養への対応のため、朝夕の時間帯について、日勤帯の勤務者の早出・遅出勤務を行うことが必要である。
また、療養病床の転換により、現在の療養病床の入院患者のうち一定の者が転換した介護老人保健施設に入所することにより、既存の介護老人保健施設と比較して日勤帯の時間帯における医療ニーズも高まることが考えられるため、療養病床から転換した介護老人保健施設の医薬品費・医療材料費といった物品費は、入所者が有する医療ニーズからすると、既存の介護老人保健施設と比較して高額となることが想定される。
このように、療養病床から転換した介護老人保健施設は、既存の介護老人保健施設と比較して医療ニーズが高まることから、夜間等日勤帯以外の時間帯における対応を可能とするための一定の看護職員の配置等や、必要となる物品費等について、介護報酬上加算により評価することとしてはどうか。
療養病床から転換した介護老人保健施設では、看取りを要する者が一定程度存在することから、入所者や家族の意向に沿った安らかな最期を迎えることができるようにすることが必要である。
こうした医師、看護職員等による終末期における看取り体制を評価するため、次に掲げるような要件を満たした場合に、介護報酬上加算により評価することとしてはどうか。
こうした看取りに対する対応の他、入所者により大きく異なるニーズに対応した一定の適切な医療サービスを提供することを介護報酬上加算により評価することとしてはどうか。
<資料の出典元> 第43回社会保障審議会介護給付費分科会資料(平成19年10月12日開催)