中医協は、2012年度の診療報酬改定を小宮山洋子厚生労働大臣に答申した。今回の改定率は、全体で0.004%のプラスとなり、本体部分の増額で得られるおよそ5500億円のうち、医科に4700億円、歯科に500億円、調剤に300億円を充てる。
医科の内訳は、介護報酬との同時改定の観点から医療と介護の連携や在宅医療の充実に1500億円を充てるほか、医療従事者の負担軽減・処遇改善に1200億円、がんや認知症などの医療技術の進歩・促進に2000億円としている。
診療側の懸案だった診療所の再診料は前回の69点を据え置く。同一日の複数科受診に関しては、患者が自らの意思で2科目の診察科を受診した場合には再診料34点を算定することが可能となった。ただし、この場合には乳幼児加算や外来管理加算などは算定できない。また、精神病床や結核病床、有床診療所に入院中の患者が透析や共同利用を進めている検査のため他の医療機関を受診する場合の評価を見直し、当該出来高入院料の基本点数から15%を控除した点数で算定する。
前回新設された地域医療貢献加算(3点)は、時間外対応加算に名称を変更。対応の種類によって評価を3段階に分ける。標榜時間外において常時、患者からの電話などによる問い合わせに応じる加算1は5点、標榜時間外の準夜帯において電話で対応したり休日や早朝、または深夜に留守番電話などで対応する加算2は3点、地域の医療機関と輪番で電話対応を行う加算3は1点とした。また連携する情報は、院内に掲示するとともに患者への説明を義務付けた。
また、在宅医療の促進に関して、在宅療養支援診療所(在支診)および在宅療養支援病院(在支病)では、常勤医師3名以上や過去1年の緊急往診実績5件以上、同看取り実績2件以上など、強化した施設基準を満たしたところへの評価を新設する。往診料について病床を有する場合(有しない場合)は、緊急加算850点(750点)、夜間加算1700点(1500点)、深夜加算2700点(2500点)とした。また、在宅医療において看取りによるターミナルケアの充実を図るため、在宅ターミナルケア加算については、そのプロセスと看取りに分けた評価体系に見直し、機能を強化した在支診・在支病と併せて評価を行うこととした。