大和ハウス工業株式会社

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土地活用ラボ for Biz

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コラム No.27-20

サプライチェーン

秋葉淳一のトークセッション 「お客様のビジネスを成功させるロジスティクスプラットフォーム」Ⅰ:本当の意味での「次世代ロジスティクスプラットフォーム」フレームワークス 代表取締役社長 秋葉淳一 × 株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長 加藤大和

公開日:2017/12/27

大和ハウスグループの新たな「物流事業」への取り組みを具体化する事業体として、株式会社ダイワロジテック(以下、ダイワロテジック)が設立されました。物流センターのシステム開発を担う、秋葉淳一代表取締役社長率いる株式会社フレームワークスを中心とするダイワロジテックの新たなメンバーとして、株式会社アッカ・インターナショナル(以下、アッカ社)が加わりました。
次世代のロジスティクスサービスを実現するために、何が必要なのか。

フレームワークスの秋葉淳一氏がホスト役となり、株式会社アッカ・インターナショナル代表取締役社長加藤大和氏をゲストにお迎えし、これからの物流のありかた、物流が経営をリードするためにやらなければならないことを語り合いました。第一回は、アッカ社が、大和ハウスグループの傘下に入った意義、目的を語っていただきました。

Ⅰ:本当の意味での「次世代ロジスティクスプラットフォーム」

今回、ダイワロジテックの新しいメンバーに入られましたアッカ社の業務内容などを簡単にご紹介いただけますか。

加藤:弊社はアパレル企業のインターネット通販におけるバックヤードの仕事をしている会社です。千葉、川崎、厚木と3拠点があり、本社は汐留にあります。いわゆる「ささげ」と呼ばれる撮影(さ)、採寸(さ)、原稿(げ)の業務を行っており、eコマース通販で表示されるアパレル商品の撮影や商品データの作成を物流センター内で行っています。
それに加えて、物流、ロジスティクスのマネジメント機能も持っています。BtoB も BtoC も両方自前でやっていて、通販から派生した BtoB の大型の物流現場もマネジメントしています。
さらに、商品の確認や出荷状況、在庫情報など、いろいろな問い合わせがあるので、電話とメールによるカスタマーサポートも行っています。最近は、チャットもやろうという話も出ています。

秋葉:それだけではなくて、アッカの特徴は、そうしたオペレーションをひとつにつなぐシステムにもありますね。

加藤:はい。最終的にそれらすべての業務オペレーションを一つに繋ぐために、システム開発もすべて自前で行っています。最初に取り組んだのが、社内の「ささげ」や業務オペレーションをスムーズに管理して、効率化を目指す社内のシステムでした。次に、我々のクライアント向けに、在庫を一元化して、それをいろいろな販路に向けて共有するという販売促進ツールです。
今はロボットです。倉庫内で在庫を円滑に動かしたり、マネジメントしたり、次世代の物流のきっかけになるようなロボットの活用を含めた倉庫管理システムを開発しました。去年の6月にローンチして、ちょうど1年半くらい経ちます。

そのアッカ社を、新たな組織である、フレームワークスを中心としたダイワロジテックにメンバーとして迎い入れられました。

秋葉::ロジスティクスのプラットフォームづくりをしようと思ったのがもっとも大きな理由です。これまで、物流の現場の仕事は基本的に人海戦術でした。「人ありき」ですべての業務プロセスを決めていました。
これからのロジスティクスを考えるとき、その延長線上で考え、進めていくのも一つの戦略なのですが、我々は物流の実事業者ではありません。大和ハウス工業本体もフレームワークスもそうなのですが、物流の実事業をする企業にサービスを提供している会社です。物流施設はつくりますが、物流施設の中のオペレーションを自らやることはありません。我々だけではなく、出資させていただいた株式会社 Hacobu も GROUND 株式会社も子会社のモノプラス株式会社も、物流施設の中の実オペレーションはやっていないわけです。
そう考えたとき、我々が提供するサービスは人海戦術の積み重ねではなく、ロボットや人工知能を使って、人でなければできないところだけを人が行うという、ある意味、反対側からアプローチをしていこうと思いました。しかし、実際に反対側からオペレーションを考えるとなると、世の中で誰もやったことがないことにチャレンジする必要があります。
実際に物流センターの中で、ロボットや人工知能を活用したオペレーションを使って実証しながら構築し、自ら課題を解決していく。そして実際に機能しているところをロジスティクス事業者の方々に見せていく。ここまでできて、本当の意味での「次世代ロジスティクスプラットフォーム」と言えるのではないか、こういう考え方なんです。
それまで我々の中には、オペレーションを実際に行う人が不足していましたし、なおかつ、旧来の物流の延長線上でやっている人ではない人を探さなければいけませんでした。そうなると自ずと答えは決まっていて、アッカ・インターナショナルという会社、加藤大和という人間しかいませんでした。

加藤:すごいタイミングで秋葉さんが登場されました。本当に不思議だったのですが、自分と同じようなことを考えているし、やろうとされていました。最初は、これ以上話すと完全に競合になるし、危ないと思いました。(笑)
言っていることはすごく似ていたのですが、見ている方向、視点が全然違いました。見ている立場というか、大きなバックボーンの中から見ていると感じました。
我々小さなベンチャー企業が見ているものとは、全然スケール感が違いました。

秋葉:お互いに会社名も知っていましたし名前も知っていましたが、実は、知り合ってからまだ1年くらいしか経っていません。だけど、最初に会ったときから、プラットフォームをつくり上げて、サービスとして提供したいという思いが一緒だったんです。小さなことをあげれば、お互いの会社間でコンペティターになり得るようなことはありました。でも、それって小さい話じゃないの?とお互いが思っていたと思いますし、そうしたところも含めて共有できていたと思います。ですから、「一緒にやろう」「出資したい」とこちらから言ったときは、「せっかくやるなら全面的に一緒にやりましょう。そのほうが明快です」といった感覚だったと思います。

加藤:そのタイミングで、これは一緒にやるべき事業だし、一緒にやるとマーケットのためにもなるしグループのためにもなる、産業自体のためにもなることに気づきました。自分の心の中にずっとあった壁が開いて、一緒にやるのであればすべてを預けようと。
株式の100%譲渡というのは、オーナーは、もうやる気がなくなってしまうのではないかと思われますが、全然そうではないんです。むしろ、今まで自分が育ててきた12年間の苦労だったり、楽しみだったり、喜びだったりというすごく大事なものをここにだったら預けられると思いました。
渡すという気持ちはまったくありません。自分たちがやりたいこと、自分たちがやってきたことが正しかったという通信簿みたいなものです。それがグループに参加させてもらえる切符だと思いますし、その期待にはぜったいに応えるという思いもあります。

秋葉:そのとき、加藤社長の中でプラットフォームのイメージが非常に鮮明に見えてきたと思うんです。今まで少しずつ積み上げてきたものが、バンと鮮明になったタイミンだったのだと思います。
それがすごくはっきりしたのに、オーナーとしてずっとやってきて、スピード感が見えたのに、規模がネックになって一気にいけない。あるいは、やってきたことは正しく、大手のお客様が相談してくれるようになったにもかかわらず、信用力だとか設備投資をするためのお金だとか、いろいろなところの課題があるから早くできない。そういうことだったのだと思います。そうであれば、我々と一緒になることによって、明確に見えているものに対して一気に進む、真っ直ぐ進むという選択をしてくれたのかなと、僕は勝手に思っています。

加藤:おっしゃるとおりです。今まで11年、12年ビジネスをやってきて、ひたすらお客様の売上を上げるために、もしくは役に立つために、ベンチャー企業は必死に自分の居場所というか会社のポジショニングを、ニッチなマーケットの中で探しています。そのニッチなマーケットとは、やはり今までにないということ、お客様が本当に求めているところに直接的に効果があるサービスをつくるということです。そうでないと必要とされないわけです。
そこで一個ずつ点のサービスをつくっていくと、けっきょくお客様が求めているサービスというのは、お客様の売上や利益、ブランディングなどを強化していくことになるわけです。
そうしたサービスをひとつずつ続けていくと、それらがつながって線になります。線になると、点のサービスが個別に全部強化されるんです。たとえば、今までやっていた撮影がもっと強くなる。そういったことがケミストリーのように化学反応を起こしてウワッと膨れあがるんです。でも、この線はやはり線でしかなくて、細すぎてみんな乗れません。一人のお客様に対してこの線はものすごく有効だけど、同じようなニーズを持っているこっちのお客様はもう少し違う。それを1社ずつ追っていくとたくさん線ができていきます。
この線を束ねて板にしないといけないということに気づきだしたのが、ちょうど今年の頭くらいでした。ロボットや配送の問題、人手不足がさらに加速するだろうとか、通信販売がどんどん伸びて、海外展開だったり、海外からも日本に進出してきたり、というようなことが大きく加速していることが一気に鮮明になりました。

秋葉:ロジスティクスのオペレーションをパーツで切ると、大和ハウス工業が建てる建物があったり、ロボットやマテハン機器があったり、システム領域や人工知能があったりします。その上でやっぱり人にしかできないというところがあります。
そうしたオペレーションのパーツには、層があるんです。この層を全部重ねて、どういうチョイスをしてサービスができるか、ということだと思うんです。これを用意していないと、そもそもお客様のニーズに応えられません。
たとえば荷主さんであれば、この4層をそっくり全部やってほしいかもしれません。物流事業者さんからすると、上の人間のところは自分でやるし、建物も自分で何とか用意するけど、間のところはサービスしてほしいと言うかもしれません。いろいろなかたちがあると思うのです。建物からそこのところまで、4層全部をサービスとして提供できる。様々な会社やサービスを使ってくださいと堂々と言える会社はほとんどないと思います。

加藤:今の情勢を見ると、自分たちで板をつくっていくのを、マーケットは待ってくれません。あってもなくてもマーケットは進んでいくんです。なければないで、何か他の手を探します。だから、事前に板を準備してあげないとインフラは使われませんし、市場はそれに合わせて成長していかないと思うんです。先回りして板をつくるには、ものすごいスピードが必要です。そのスピードは、我々単独でこれから進めようと思っても、絶対に間に合いません。

加藤社長がおっしゃる「板」が、秋葉社長の言う「プラットフォーム」だと思いますが、物流におけるプラットフォームの定義も範囲もここ数年で大きく変わっている印象を受けます。

秋葉:変わっています。また、それぞれの立場でプラットフォームという言葉を使っていますが、イメージしている範囲もレベル感もまったく違います。僕らはその範囲が広い。範囲というか深さというか高さというか、まったく違うので、既存の事業領域で仕事をしている人たちからすると脅威に思われる可能性はあります。
人海戦術でやっている会社、パートさんの時給に利益を乗せて売るような事業者さんのビジネスモデルは、けっきょく繁忙期、閑散期に合わせて人工をコントロールするものです。格好良く言えば、レイバーマネジメントをどれだけやるかです。
その発想のままで、これからの時代はロボットや人工知能、マテハンなどをどんどん使っていきましょうと単純に言ったところで、設備になった瞬間に毎月リース料がかかるし、あるいは毎月減価償却されていくということになるだけです。
本当に変革したいと考えるならば、労働集約でやっていたのとはまったく違う事業モデルを選択せざるを得ません。そういう意味で、これまで労働集約型だけの発想でやってきた企業が、一気に転換できるかといえば、おそらくできないでしょう。

加藤:発想の角度が違います。お客様の事業の発展を考えれば、ロジスティクスに対する考え方を変えないと、マーケットは待ってくれません。

秋葉:僕らがそういうものをつくってサービスとして提供していかないと、既存のプレイヤーが事業戦略の転換ができません。○○運送株式会社、○○物流株式会社という看板と枠は一緒でも、中身の事業構造をまったく変えないといけないはずです。延長線上ではそれができないと僕は思っています。まったく新しい物流施設を自ら建て、そこは今までとはまったく違うことをしたいと考えています。そのくらいの規模感が本当のプラットフォームだと思うのです。
言い方を変えると、僕が既存の物流事業者だとして、今の事業モデルがやりやすくなるようなものはプラットフォームとは言っていません。僕だけが使いやすければいいというものを、プラットフォームとは言っていないのです。僕らはあくまでもサービスとして提供したいので、そこにファイナンスなども交えて、そのサービスに対して従量課金制でお金をください、といったことをするのはそこなんです。そうじゃなかったら、お金を払えるのだったらリースを組んだらいいという話になるだけです。そこはまったく違いますね。

そうすると、ロジスティクス自体が今までコストセンター的な見方をされていたのが、バリューチェーンの中に入ってくるということですね。

秋葉:完全にそうですね。ロジスティクスファイナンスという言葉もありますが、ロジスティクスという領域自体が大きいので、それに対してファイナンスとは何だということも、この数ヵ月の間にもう一度再定義されてくると思います。昔だと、在庫評価、ABL(Asset Based Lending:動産・債権担保融資)や不動産担保融資などがありました。最近だと、みんなでお金を出してマテハンやロボットを買って、そこのファンドにお金を出した人には利回りを提供するスキームも存在します。でも、僕はそれってものを売っているのと同じだと思うんです。サービス化してないと。どう使ったらいいよ、というところまで踏み込んでいません。僕らはそこまで一気にいきたいと思っています。

第2回に続く

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土地活用ラボ for Biz アナリスト

秋葉 淳一(あきば じゅんいち)

株式会社フレームワークス会長。1987年4月大手鉄鋼メーカー系のゼネコンに入社。制御用コンピュータ開発と生産管理システムの構築に携わる。
その後、多くの企業のサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)の構築とそれに伴うビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)のコンサルティングに従事。
2005年8月株式会社フレームワークスに入社、SCM・ロジスティクスコンサルタントとしてロジスティクスの構築や改革、および倉庫管理システム(WMS)の導入をサポートしている。

単に言葉の定義ではない、企業に応じたオムニチャネルを実現するために奔走中。

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