「憧れのインテリアをカタチにしたい!でもどうすればいいの…?」
シンプルなモダン系からデコラティブなエレガント系まで、インテリアのテイストは実にさまざま。
細かな違いがわからない人も多いはず。
理想のインテリア選びは、まず自分の好きなスタイルを知ることから始めましょう。
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今回は、数あるテイストの中から【フォーマル】と【エレガント】をピックアップ。
ヨーロッパからTURRI(トゥーリ)やCORNELIO CAPPELLINI(コルネリオ・カッペリーニ)など、5つのブランドの高級家具を直輸入で取り扱うユーロ・カーサ(ブランド株式会社)の橋田渉さんにお話を伺いつつ、それぞれの特徴をまとめました。
アドバイス
高級輸入家具専門店「ユーロ・カーサ」
ブランド株式会社
橋田 渉さん
2013年に慶応義塾大学大学院理工学研究科博士卒業してから東京・日本橋ショールームで営業を担当。お客様との対話から理想のインテリアをご提案することを大切にしています。また、ミラノ・サローネ(世界最大の家具見本市)も毎年まわり、複数のブランドを扱う専門店として商品を選び、知識の向上も欠かさない。
伝統のフォーマル、くつろぎのエレガント
デコラティブで重厚なイメージの【フォーマル】と【エレガント】には、よく似た印象を持つ方が多いかもしれません。しかし、その成り立ちやトーンには若干異なる点があります。はじめに両者の違いから整理してみましょう。
まずはフォーマルについてです。各国の王室や貴族を対象に製造されていた特注品をルーツに持つこのテイストは、格調高く伝統的なデザインが特徴といえます。今でもロイヤルファミリーの邸宅やヨーロッパの公邸に用いられるインテリアの多くが、フォーマルというカテゴリーに分類されることが多いようです。
細部まで装飾されたフォーマルなリビング
一方エレガントは、フォーマルから派生して生まれたと考えられています。上品さは残しつつ、ゲストを呼んで楽しむ「社交の場」としての使いやすさやくつろぎやすさを追求した結果、生まれたのがエレガントです。もちろんカジュアルな雰囲気にならないよう、シルエットや素材で高級さを感じさせる要素が用いられています。
住まいの中で、空間の用途によってテイストを分けることもできます。例えば、最初にゲストの目に触れるエントランスや応接室はややフォーマルなテイストにしておくことで、ホストとしての品格の演出につながります。一方、リビングやダイニングなどゲストと打ち解けて楽しむことを目的とする空間は、過ごしやすさを重視してエレガントにまとめてもよさそうです。
使いやすさに配慮したエレガントなリビング
メーカーのコレクションを自分好みにアレンジ
ひとくちにフォーマルやエレガントといっても、家具メーカーによって雰囲気はさまざまです。さらに各社ともモチーフとなる時代や国別に複数のコレクションをラインアップしています。実際に製品を目で見て、手で触れて、ご自身のイメージを固めていってください。
フォーマルもエレガントもクラシックなトーンを楽しむものではありますが、もちろん現代風のアレンジを加えた製品も多数用意されています。
ディテールはクラシックでも、無地のベルベット生地でモダンな印象に
ディテールの装飾でクラシックなイメージを残しつつ、ファブリックなどでモダンさを演出することもできます。装飾の有無や配色で、見た目の印象が大きく変わることもこのテイストの面白さのひとつです。
モダンなイメージに寄せるのか、王道のクラシックを楽しむのかは好み次第です。全体をモダンにまとめつつ、重厚感のある小物でクラシックな雰囲気を醸し出すのもひとつの方法です。ダマスク柄のクッションや真鍮の照明などを取り入れるだけでも、落ち着きのある印象を与えることができます。
クラシックな雰囲気を演出するダマスク柄
壁の色味や模様が、家具との調和のポイント
壁面にもデザインを
壁面や照明の色味などは、家具を生かす上ではとても重要です。日本だと室内の壁紙は白で統一されていることが多いですが、フォーマルやエレガントの家具は装飾性が高いためインパクトのある壁の方が調和します。部屋全体を重厚なテイストにする場合は色や柄のある壁紙は特に効果的で、深い紺色などのノーブル(高貴)な色味や大胆なストライプ柄はとても相性がいいとされています。またヨーロッパの家具メーカーでは、モールディングなどの壁面装飾まで請け負うこともあります。壁もデザインの一部と考えて、自分なりの空間づくりを楽しみましょう。
壁面のモールディングで家具との一体感を演出
家具を生かす空間のゆとり
雰囲気の調和だけでなく、部屋のサイズとのバランスも大事な要素のひとつです。基準は「家具が部屋に入るかどうか」ではありません。特に重厚なイメージが強いクラシックな家具は、配置できたとしても空間に余裕がなければ家具としての良さを十分に引き出すことが難しいでしょう。図面をもとに販売店に相談すれば、空間を生かすインテリア探しを手助けしてくれるはずです。また、置きたい家具があらかじめ決まっている場合やイメージがある場合は、設計段階でハウスメーカーに相談するのがお勧めです。
十分なスペースの確保が家具を生かすポイント
クラシック≠使いづらい
フォーマルやエレガントなどのクラシックなテイストの家具は、格調高さゆえに使いづらい印象を与えることがあります。しかしそれは誤解です。ルーツからもわかるように、時代を超えて「使い続けられること」を前提に作られています。そのため、日常的に使用する上で、とりわけ慎重に扱う必要はありません。メンテナンスも基本的には簡単で、例えば鏡面塗装が施されているものであればキズがついても市販のコンパウンド(研磨剤)で磨けば元通りになるものも。素材に木を用いているものがほとんどですが、今では各社が世界中を市場としているため、湿度や温度が極端な地域で使用する場合も品質に影響を受けることがないよう研究されています。
長く使うからこそ、自分の好みでセレクトを
フォーマルやエレガント系のインテリアは、木製品でもしっかりと塗装を施している場合がほとんどです。そのため、ソファなどの革製品を除いては、経年での変化より「変わらない美しさ」を楽しむものといえます。
最近はアパレル系のブランドが高級インテリア業界に進出していることもあり、色味や素材などファッションのトレンドが家具に応用されることが増えてきました。しかし家具は長期にわたって使うことが想定されるので、あまり流行を気にしすぎる必要はありません。特にフォーマルやエレガントのテイストの家具は、流行に左右されず普遍的に愛される一方で自分好みにアレンジもでき、長く愛用しやすいです。好きな色や柄、または来客の頻度やペットを飼っているかどうかなど、自分の趣味やライフスタイルを基準にセレクトするといいでしょう。一度にすべてを買いそろえることは難しいかもしれませんが、自分の好みを基準にすれば後から追加購入してもテイストがバラバラになることはないと思います。トレンド感を演出するのであれば、小物のチョイスを工夫するといいかもしれませんね。
自分の趣味やライフスタイルに合わせたインテリアを
まとめ
華やかな装飾や、品格のあるデザインが特徴のフォーマルとエレガント。重厚感のある美しさを、長期にわたって楽しみたい方にふさわしいテイストといえるでしょう。その中で、好みやシチュエーションによって、王道のクラシックからモダンな雰囲気まで自分なりのテイストを探してみるのも面白そうですね。
画像提供:ユーロ・カーサ