「年金は将来もらえなくなる…」などと考えている方も多いですが、
日本の公的年金は財政状況も良く、
今後100年間は安心して給付ができるように検証されています。
安心して老後生活を送るためには、保険料を納めて年金を受け取ることが大切です。
年金破綻の可能性は低い?
少子高齢化により年金破綻をするといった報道がよく見られます。でも、本当に年金は破綻するのでしょうか。実際には少子高齢化は進んでいますが、働く高齢者や女性が増えています。年金を支える就労者1人に対する年金を受給する非就労者の割合は1970年1.04人だったのに対し、2010年は1.05人、そして2050年には1.1人と予想されています※1。ですから、少子高齢化で年金が破綻するという可能性は低いのです。
出典:※1⁄総務省「国勢調査」、社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」(出生中位・死亡中位)、労働政策研究・研修機構「労働力需給の推計(平成20年3月)」
年金積立金の運用実績は?
将来の年金受給者が増えることに備え、年金積立金(2020年12月末時点で177兆7030億円)が運用されていますが、運用開始の2001年度以降、年率3.37%、累積85兆3011億円の運用収益を出しています(2020年12月末時点)※2。例えば2020年10月から12月の運用実績はプラス6.29%※3。「年金積立金の運用で〇〇億円の損失」など損失を出したときだけよくニュースになりますが、このように収益が上がるときの方が多いのです。また、これだけ高額な年金積立金がある国は日本くらいです。とはいえ、安定した年金受給のために、高齢世代の給付を少しずつ減らすなどの調整が行われています。
出典:※2、3⁄年金積立管理運用独立行政法人「2020年度第3四半期運用状況(速報)」
いざというときに保障を受けるために
公的年金は万が一のときの大きな保障です。必要以上に不安に思ったりしないで将来に備え、きちんと保障を受けられるようにしておきましょう。
年金は老齢だけではなく、障害年金、遺族年金も
老齢年金は生涯受け取ることができるものです。人生100年時代といわれる今、長い老後を安心して暮らしていくために、一番有効なのが年金といえるでしょう。また、公的年金は老後のためだけのものではありません。一定以上の障害を負った場合には障害年金が、また大黒柱などが死亡した場合は遺族年金が受給できます。ただし、保険料を滞納していれば、これらの年金が受給できなくなる可能性があります。
収入減などの場合は、免除、猶予の申請を
国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合、保険料の納付が免除、猶予となる「保険料免除制度・納付猶予制度」があります。免除や猶予が認められれば、年金の受給資格期間にカウントされ、保険料の滞納ではなくなります。ただし、老齢年金の受給額は減ることになるので、収入が戻ったら追納(10年間は後納可能)すれば安心です。
また、通常は前年(1月から6月までの申請は前々年)の所得が一定額より下の場合に認定されます。ところが、このコロナ禍で急に失業した場合などは、この制度をすぐに使えません。そこで特例として、2020年2月以降に新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した場合等の条件を満たした場合には、保険料の免除、猶予が認められることになりました。コロナ禍で収入が減少している方は、自治体の窓口などで相談してください。
ファイナンシャルプランナー 福一 由紀
※掲載の情報は2021年6月時点のものです。内容は変わる場合がありますので、ご了承ください。
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