親を介護するために仕事を辞める「介護離職」が問題になっています。
親の介護のために仕事を辞めると収入が減り、
子ども世帯の老後資金が足りなくなる可能性があります。
介護が必要になったときに慌てないように、使える制度を確認しておきましょう。
まずは介護保険サービスを検討
介護が必要な状態になったら、まずは介護保険のサービスを利用しましょう。65歳以上で介護や支援が必要な状態であれば1割の自己負担(所得によっては2割や3割負担)で介護サービスを受けられます。自宅で受けられる「訪問介護」や、施設に通ってリハビリなどを受ける「デイケア」、施設に泊まる「ショートステイ」など、本人や家族にとって最適なサービスを受けられます。どのようなサービスを受ければ仕事を辞めずに介護ができるのかを考えましょう。
手続き時には「介護休暇」長期対応には「介護休業」を
介護サービスを利用するには、要介護認定の申請や調査など、いろいろな手続きが必要になります。仕事を休んで対応することもあるでしょう。そんな時に利用したいのが、労働者の権利として法律で定められている「介護休暇」。そして介護保険サービスを利用するまで、まとまった期間の休みが欲しい場合は「介護休業」を利用しましょう。介護休暇、介護休業共に給料は支給されない会社が多いですが、介護休業に関しては雇用保険の介護休業給付金制度を利用することができます。利用できるのは、休業開始日前の2年間に、雇用保険に12カ月以上加入していた人で、休むまで支給されていた給料の67%が支給されます。
介護休暇と介護休業の違い
介護休暇および介護休業は、働きながら要介護状態※1の家族※2を介護するために取得できます。また、介護休暇は、時間単位でも取得できるので、認定調査のために2時間休暇をとり、早退することも可能。
介護休暇 | 介護休業 | |
---|---|---|
取得日数 | 介護対象家族が、1人の場合は年に5日まで、2人以上の場合は年に10日まで。 | 介護対象家族1人につき3回まで、通算93日まで。 |
給付金 | なし | 雇用保険の介護休業給付金が支給される場合もあり(上限あり) 支給額:休業開始時賃金日額×支給日数×67% |
利用できる 対象 |
介護する男女の労働者(日々雇用を除く)。ただし、労使協定を締結している場合は以下の場合は対象外 ●入社6カ月未満 ●1週間の所定労働日数が2日以下 |
介護する男女の労働者(日々雇用を除く。また有期雇用労働者においては、休業取得予定日から、93日を経過しても6カ月雇用契約が続くこと)。ただし、労使協定を締結している場合は以下の場合は対象外。 ●入社1年未満 ●申し出の日から93日以内に雇用期間が終了 ●1週間の所定労働日数が2日以下 |
※1 要介護状態 (1)または(2)に該当すること
(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上
(2)「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の12の項目のうち、2が2つ以上または、3が1つ以上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。下記表参照(一部抜粋)。
※2 配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫
(表) 常時介護を必要とする状態に関する判断基準 (厚生労働省のHPより一部抜粋)
項目 \ 状態 | 1 | 2 | 3 |
---|---|---|---|
座位保持 (10分間1人で 座っていること ができる) |
自分で可 | 支えてもらえればできる | できない |
排せつ | 自分で可 | 一部介助、 見守り等が必要 |
全面的介助が必要 |
外出すると 戻れない |
ない | ときどきある | ほとんど毎回ある |
薬の内服 | 自分で可 | 一部介助、 見守り等が必要 |
全面的介助が必要 |
※掲載の情報は2022年3月時点のものです。内容は変わる場合がありますので、ご了承ください。
ファイナンシャルプランナー 福一 由紀