CASE16
医療施設
武蔵嵐山病院
- 所在地:
- 埼玉県東松山市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 8,701m2
- 竣工:
- 2018年11月
- 用途:
- 一般病床(43床、うち地域包括ケア病床10床)、療養病床(58床)、回復期リハビリテーション病床(56床)
「総合診療」「透析医療」「リハビリテーション医療」「在宅医療」「健診医療」を5つの柱に、それぞれ高い専門性を持たせた診療機能を核とした全157病床の病院として、地域から高い支持を集めておられる医療法人蒼龍会 武蔵嵐山病院様。
今回、病院全体の機能強化と職員アメニティの向上を実現するため、患者様にとっても利便性の高い、東松山市への移転・新病院建築を計画されました。
計画のポイント
予算に合わせ、ローコストを実現した施設プランニング
病院として求める機能はそのままに、設計プランを極限までブラッシュアップ。職員スペースを各階に分散させるなど、細部にまで工夫を凝らし、全体的にコンパクトながらも効率性と機能性に富んだ施設プランにより、総合的な建設コストの圧縮を実現しました。
正面玄関脇に配置された外来受付や総合案内を行うロビースペース。明るく高級感ある空間に演出されています。
病院全体の機能強化と職員アメニティの向上を重視
5つの診療機能を核とした157病床を効率的に配置。さらなる病院機能の向上が図られています。また新病院は、病院運営を支えている職員の「働く環境の向上」をメインコンセプトに計画。事前にヒアリングを実施するなど、現場のニーズを可能な限り建物設計に活かされました。
各階に設けられた職員休憩室。階毎に配置場所が異なるため、部屋の広さやインテリアに変化を持たせています。
利便性の高い東松山市へ移転・新病院を建設
比較的、広範囲から同院を利用されている患者様が多いことから、開設の地である比企郡嵐山町を離れ、隣接する東松山市内の広い建設地を確保。駅前立地であるとともに、幹線道路沿いのため、駐車スペースを広く取るなど、患者様やご家族にとって「便利で通いやすい病院」を目指されました。
周辺から注目度の高い新病院。外壁の一部にタイルを使用するなど、旧病院のイメージを残しつつ、現代的かつ高級感あふれる外観に仕上げました。
お客様の声
施設面から機能向上を実現、
患者様と職員を幸せにする新病院
医療法人蒼龍会 武蔵嵐山病院 理事長 菅野 元様
私たちは、どのような医療を施行すべきかを不断に考え、進化させなくてはいけません。その中で、絶対に忘れてはならないものがあります。それは医療が人間の生活に密接に密着したライフラインとしての一面を持つこと。今回、新病院の移転新築は、こうしたライフラインの機能性をより充実させなければならない、という使命感から計画したものでした。「新たな事業展開のための新たな病院」という考えではなく、「患者様の快適性や利便性の向上と職員の環境整備」をコンセプトに掲げ、何としてでも具現化したいと思っておりました。
何よりも『職員が胸を張って働ける病院』を目指しました。それは、日々精力的に業務に取り組み、運営を支えてくれている職員への感謝の表れでもあります。また、“職員がやりがいを持ち働ける病院”こそ、患者様にとっても“良い病院”だと信じているからです。
移転については、さまざまな考えがありました。旧病院周辺は人口減少が進んでおり、市内よりも近隣から来院される患者様のほうが多いという現状と将来的なニーズや市場性を考え、新病院の建設地は、若年層も多く新興住宅街も広がる当該地のほうが良いかと決断。また、旧病院は一部借地であったため、事業の永続性を考えれば土地建物を一括所有したかったことも理由として挙げられます。
移転を決めてから土地を購入。設計事務所に図面を作成いただき、数社の建築会社から見積もりをしていただきましたが、いずれも大幅に予算から外れたものばかりで、一旦計画を中断せざるを得なくなりました。そこで、以前から営業に来られていた大和ハウス工業に相談してみようと思うに至りました。
今回の施設計画にあたっては、関西まで大和ハウス工業の施工された物件を見学に行きました。それからヒントをもらったり、職員の声を反映したりして、数多くの要望を出しましたが、可能な限り具現化できただけでなく、変更にも柔軟に対応してもらい、出来栄えにはとても満足しています。特に天井などの意匠性など、図面だけでは分かりづらい細部の設えも、センスよく仕上がっているのには、本当に感心しました。
今回、地域の医療環境に鑑みて、救急部門の機能を大幅に充実させました。今後は、さらなる職場環境の向上のため、保育施設の併設などの整備も検討しています。職員アメニティを向上させることで、より優秀な人材確保にもつなげていければ理想的で、将来的な病院全体の機能向上にもつながるでしょう。
都心の医療機関とは異なり、私たちは今後もより一層、地域医療に特化しなければならないと考えています。入院環境が大幅に改善したことや、ハード面からの機能充実が図れたことなど、新病院開設の意味合いはとても大きかったと考えています。外来患者様の来院エリアも広がるなど、いま地域の期待値の高まりを実感しています。