水野 亮

大型建築物の設備設計を担当しています。具体的には空調や電気、衛生設備などの設計、積算であり、なかなか目に留まることがない分野ではありますが、建築物は設備が入らなければ稼働することができません。その意味では、建築物に生命を吹き込む仕事だと思っています。入社以来、工場やオフィス、倉庫などさまざまな建築物に携わってきた中で、特に難易度が高かったのは、劇場用途の建物でした。空調設備から発生する音を、劇場では建物特性に見合った適正な騒音値に収める必要があるのですが、そこまでの精度の高い消音設計は経験したことがなかったのです。

騒音値の計算を重ねて消音装置等を組み込み、空調設備に設置して行った最終の音響検査では、これまでにない緊張を味わいました。結果、見事に設計通りの騒音値範囲に収めることができ、お客様に「とても良い音響環境の劇場ができたよ！」と言われた時は、設備設計者としての大きな歓びを噛みしめました。前職でも設備設計を担当していましたが、前職は元請会社ではなかったため、お客様から直接評価していただく機会はほとんどありませんでした。それだけに、このようにダイレクトにご要望をうかがい、成果に対して評価をいただけることに、やり甲斐と楽しさを感じています。

私は商船大学出身なのですが、モノづくりに携わりたかったことから建築設備の施工会社に就職しました。仕事は楽しく、やり甲斐も感じていましたが、一方で、保守的な傾向があり、新たな案件をあまり開拓しない会社のスタンスに“技術者としての成長の限界”を感じるようになったのです。大和ハウス工業は前職時代、一度、協力会社として一緒に仕事をしたことがありました。その際に実感したのが「戸建てや集合住宅だけでなく、データセンター、製薬工場、劇場など多様な建築物を手掛け、常に時代の変化に目を向けている企業」ということでした。また、協力会社との距離感の近さ、仕事を進めるうえでの対応力の高さなどにも好印象を持ちました。

そんな折、偶然、大和ハウス工業が設備設計職でキャリア採用を募集していることを知ったのです。今までにない建築物の設備設計を手掛けることができ、技術者として成長できるのではないかと考え、転職を決意しました。実際、入社して以来、自身の成長が加速していると感じています。多様な建築物に携わることで守備範囲を広げられたうえ、前職では手掛けていなかった電気設備も扱うようになり、視野とスキルが広がって、仕事を俯瞰できるようになったと思います。さらに、お客様と直接やり取りする機会が増えたこともプラスに作用しています。特に、お客様のご要望とコストバランスを考慮して「こんな設備を入れてはどうでしょうか」と具体的なラインナップを提案する力が付いたと自負しています。

大和ハウス工業には、豊富な学びの機会があります。私の職場では、部署全体で月に2回、勉強会を開催しています。そこでは、新商品、技術の情報を知れることはもちろん、部内の失敗事例を共有して気づきを得ることもできます。また、2ヵ月に1度の省施工・新工法の検討会では、文字どおり最新の施工・工法の情報を共有し、有用なら実際の仕事に導入していきます。加えて年に1回、技術職を対象にして開かれる「Daiwa Works」も有意義です。これは過去1年間の自分の仕事を振り返り、成功・失敗問わずまとめた内容を評価してもらうユニークな取り組みです。

優秀者には技術統括本部長である副社長に直接プレゼンするチャンスが与えられ、副賞を受け取ることもできます。こうした数々のインプット・アウトプットの場があるのは、前職と大きく異なるところです。沢山の案件を進めていく中で、学びの時間をつくるのは難しい場合もありますが、自分のステップアップのためには不可欠だと考えています。今後も、技術者としての自身の成長もさることながら、若手と上司をつなぐ“懸け橋”の役割も果たし、より良い部署づくりにも貢献していきたいと考えています。