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Sustainable Journeyは、
2024年3月にリニューアルしました。
連載:いろんな視点から世の中を知ろう。専門家に聞くサステナブルの目
2024.07.31
はじめまして。少し変わった経歴を持っている22歳、大学4年生の小澤杏子と申します。
2019年、私が高校2年生の17歳の時に、当時東証一部上場企業(2022年に東証プライム市場に移行)の株式会社ユーグレナで、全国500人以上の応募者の中から初代CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)として任命され、1年間自分のチームを統括して企業活動に貢献してきました。
活動内容としては、取締役会での経営改革提言を通した企業の本質的なサステナビリティの実現と企業価値の向上に将来世代の視点から寄与することです。一年の活動の成果として、2020年に「消費者が意識せずとも環境に配慮した行動を取れる仕組み」を軸とした「既存ペットボトル商品全廃」を提言しました。
提言をきっかけに、ペットボトル商品の全廃はもちろん、同社が扱う商品のパッケージを、環境負荷の低い容器に変更するアクションなどにつながっています。こうした活動を評価していただき、2021年には、Forbes JAPAN 30 UNDER 30 -日本発「世界を変える30歳未満」の一人に選出していただきました。
現在は株式会社丸井グループで、諮問機関のサステナビリティ委員会の最年少アドバイザーを担っています。直近の活動としては、同社とより多くの将来世代をつなげられるようなイベントを監修したり、機関投資家の方々向けのサステナビリティに関するインパクトブックの作成に携わってきました。本ブックは、丸井グループとして社会課題解決への道筋を客観的かつ定量的に示したものであり、目標達成に対する"本気度"を示しているものでもあります。
株式会社丸井グループWebサイト「INPACT BOOK」より
個人でもマルチにメディア関係や対談系のお仕事をいただいており、常日頃から多種多様な立場の方々との交流に励み、学び続けています。総じて高校生の頃から今日に至るまで、こうした活動の軸には「企業活動をよりサステナブルにしたい」という思いがあります。
実は、私自身は起業をしたり、プロジェクトを立ち上げたりという経験がありません。それは、以前から「日本が誇る既存のアセットをより活かしたい」という考えがあるからです。
特に大手といわれる企業の力を活用したり、つなげられたら、日本の企業活動はよりサステナブルになるのではないでしょうか。自分で組織を立ち上げることも大変魅力的ではあるものの、私は企業の"中"で活動していくことに価値を感じています。
突然ですが、「SDGs」を日々の生活の中で意識し続けられている方はいますか? SDGsという言葉を知らない方のほうが少数になりつつある今日ですが、言葉の概念はわかっていても、本質的に「自分ごと化」できていない方がほとんどなのではないでしょうか。
私が小学生の頃はまだSDGs教育がさほど進んでいませんでしたが、今日の小学生や中学生はSDGsのことをよく知っているし、学んでいます。素晴らしいことだと思います。一方で教科書的に理解はできていても、そのトピックがなぜ今重要なのか、個人がどの項目から考えていけばいいのか、といった視点が抜け落ちている人も増えてきたように感じています。
直近の丸井グループでの活動として、中学生との共創プログラム「マルイミライ・スクール」を監修し、社員の方々と開催しました。このイベントは、自分の「好きなこと」や「個性」と身近な社会課題をつなげてアクションプランを考える、体験型プログラムです。初回は30人ほどの枠に100人以上の中学生の応募があり、大成功に終わりました! 今夏に2回目の開催が決定しており、そちらも多くの学生が参加を志望してくれることを期待しています。
プログラムの中では、中学生の少し先輩にあたる高校生や大学生で活躍している方々が登壇し、なぜその活動を始めたのか、それぞれの視点を発表してもらいました。個人ワークでは、個々の興味関心をまずは言語化し、それらを既存のSDGsの項目とつなげ、どのような社会問題があるのかをメンターの大学生らと一緒に考えました。ここで先述した「教科書的な理解はできていても、個人がどの項目から考えていけばいいのか」という見落としがちな課題に気づいたのです。
参加してくれた学生たちは皆大変優秀で、十人十色の視点を持っていました。ですが、真面目で優秀だからこそ、SDGsのメイントピックとして挙げられることの多い教育格差や貧困問題、エネルギー問題などの大きすぎる話を自分ごと化しようとし、迷子になってしまっている学生も一部いました。自分の身近にない事柄を解決していくためには、かなりの経験と知識が必要になります。22年間しか生きていない私が言うことではないのかもしれませんが、学生たちの大きな着眼点は正しいけれど、自分の体験をベースにできていないからこそ関心を持続させるのは難しい、そして行動に移すハードルがより高いのでは? と考えています。
初回イベントでの気づきも踏まえ、「SDGsをより身近に感じてほしい」ということだけでなく、参加してくれた学生たちが、個々の関心をベースに社会問題と違和感なく向き合う習慣をつけられるようにしたいと思うようになりました。
私がこれまで活動を続けてこられたのは、社会に貢献したいという思いはありつつも、周りの目を気にせずシンプルに「面白い」と思うことを突き詰めてきたからです。私が関心を抱いたことが偶然現代社会で注目されている"サステナビリティ"につながっていただけで、無理やりすごい人になろうとしたり、教科書に書いてあることを踏襲しようとしたわけではありません。
将来世代の中でサステナビリティに対する意識は確実に他の世代より高まっていますが、もちろん全く関心のない人たちもいます。社会のためになることをするのが重要なのは大前提で、その目的で活動していることも支持します。一方で、面白いから、興味があるからという理由でこの分野に目を向けている同年代、または次世代を一人でも多く見つけ出し、次のバトンを渡せられるような人になっていきたい、と今は強く思っています。
2002年生まれ。東京学芸大学附属国際中等教育学校に在学中の2019年10月、ユーグレナの初代CFO(最高未来責任者)に就任。2020年、同社に対して「既存ペットボトル商品全廃」を提言した。2021年4月に早稲田大学社会科学部入学。Forbes JAPAN 30 UNDER 30 -日本発「世界を変える30歳未満」に選出される。同年11月に丸井グループのアドバイザーに最年少で就任する。
大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。
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2024年3月にリニューアルしました。