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連載:私をつくる、モノやコトのはなし。「農具」をくれた先輩たちのように、若者を応援できる人になりたい。"小諸の人"として考えるこれから

連載:私をつくる、モノやコトのはなし。

「農具」をくれた先輩たちのように、若者を応援できる人になりたい。"小諸の人"として考えるこれから

2024.05.31

    武藤さんのロングインタビューはこちら

    "自分"を主語にすると、社会とつながり始める。長野に移住した武藤千春が考える未来との向き合い方

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    ダンス&ボーカルグループで活動した後、ファッションブランドのプロデュースやラジオパーソナリティなど、幅広く活躍している武藤千春さん。2019年に長野県小諸市へ移住し、現在は農業を営んでいます。

    約30種もの野菜を生産・販売するほか、耕作放棄地を利用してワイン用のブドウを栽培。農ライフブランド「ASAMAYA」を立ち上げ、農産物のオンライン販売や商品開発、マルシェの開催など、「農ライフ」をさまざまな形で発信しています。防災士として地域の災害対策にも携わるなど、小諸市に根を下ろして活動中です。

    行動力で未来をつくる、武藤さんの人生を豊かにするモノとは?

    地域の農家さんとの心地よいコミュニケーション

    農業を始めて、今一番大変だと感じていることは何ですか?

    草刈りですね。夏は暑くなってしまうので、朝6時くらいから1、2時間やっています。きれいに刈っても3日後にはボーボーになっているので、しんどいです。でも農業機械を使っていますし、そこまで疲れたりはしていないですよ。

    草刈機や農機具などはご自分で準備したんですか?

    クワなどは、(小諸市の隣の)佐久市で暮らす親戚のおじいちゃんからもらいました。農具はもらいものばっかりなんです。近所のおじいちゃんたちが「軽トラを空にしておいで」と言ってくれて、支柱をたくさん積んでくれたりとか。軍手もよくもらいますね。小型の耕運機は自分で中古を購入しましたが、トラクターは借りています。

    地域の皆さんは協力的なんですね。

    20坪の土地で畑仕事を始めた時も、近所のおじいちゃん、おばあちゃんがのぞきに来て。東京から来たギャルが、平日に畑をいじっていると気になるみたいで(笑)。見られている意識から、ちゃんとやろうと思えた面もあったと思います。プレッシャーというわけではなく、「今度あの人が来た時に、実がなったのを見せよう」と楽しみにしていました。

    支柱の立て方を工夫したら、プロの農家さんよりも実がなったことがあって。「なんでそんなに実がなってるの?!」と聞かれたり(笑)。

    小諸に来て、以前より人とラフに関われるようになった気がしています。地域のおじいちゃん、おばあちゃんは、私がこれまでどんな仕事をしてきたかということよりも、「今、何をやりたいのか」を聞いてくれます。「何の野菜を作りたいの?」とか、「お米は作れるの?」とか。目の前にいる人が何に興味を持っているかを聞くことから、コミュニケーションが広がっていくんです。それが心地よくて、私もこういうふうに人に接したいと思いました。

    「小諸にいる人」として、今自分ができることは

    新しい場所に馴染むのが難しく感じたことはありませんか?

    ほとんどないですね。私が土地をお借りした70代のおじいちゃんがとてもいい方で。代々この場所で農家を営んできた方なんですが、「僕は『移住者』という言葉が嫌いだ」とおっしゃっていたんです。「300年前まで辿れば、僕らだって移住者。『今、小諸にいる』。それでよくない?」と。私も「小諸にいる人」として、のびのびやっていいんだと思えました。

    武藤さんが農ライフブランド「ASAMAYA」を立ち上げたことで、農産物のオンライン販売や商品開発など、今までにない届け方が広がっていますね。

    農家の皆さんと知り合う中で、作ることについてはプロフェッショナルでも、届けることに苦手意識を持っている人が多いと知ったんです。SNSネイティブの自分にできることがあるかもしれないと思いました。とはいえ、大規模に販売しているわけではありません。自分の目が行き渡る範囲で、届けられるものを届ける。スモールスタートで展開しています。

    野菜の定期便は収穫できた野菜を送るので、何が届くかはお楽しみ。受け取った方が「届いた野菜で何を作ろう」とレシピを調べてくれて。料理を写真に撮って送ってくれたりするのが嬉しいですね。

    私は小諸のことしかできないけれど、同じ課題を抱えている農家さんは全国にいるはずです。SNSを使いこなす若い人が活躍できる場はたくさんあると思います。自分にとっては当たり前で、スキルとも思っていないようなことが、農村に行ったら役立ったりする。私の姿を見て、やってみようと思う若い人が増えたら嬉しいです。

    この先にどんな展望がありますか?

    移住して農業を始めたら、応援してくれる先輩たちがたくさんいました。今はプレイヤーとして応援してもらっている立場ですが、自分も若い人が活躍できる場を耕していきたいですね。小諸の街を、移住したくなったり、好きなことに挑戦できたりする、ワクワクする場所にしたい。応援できる大人になりたいと思います。

    PROFILE

    武藤千春

    武藤千春Chiharu Muto

    1995年東京生まれ。2011年~2014年にアーティストFlower、E-girlsとして活動。2015年よりユニセックスストリートブランド〈BLIXZY(ブライジー)〉を設立し、トータルプロデュースを行うほか、J-WAVEなどでラジオナビゲーターとしても活動。2019年から長野県小諸市にも拠点を持ち、農ライフをスタート。野菜やワイン用ぶどうの栽培に取り組みながら、農ライフの魅力を届けるべく、2021年に農ライフブランド〈ASAMAYA〉を立ち上げる。同年、防災士の資格を取得。2024年からは防災意識を高めるプロジェクト「あさま防災カルチャークラブ」を始動。

    未来の景色を、ともに

    大和ハウスグループも「生きる歓びを、分かち合える世界」の実現に向け、様々な取り組みを進めていきます。

    大和ハウス工業は、自然と共に森を間借りする別荘・移住・田舎暮らしを実現できる"暮らす森"を全国14カ所で展開しています。

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