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暮らしにいいものを探して vol.23暮らしにいいものを探して vol.23日常に取り入れたい
フランスのビンテージ

今夏パリで開かれたオリンピック・
パラリンピックの記憶にもちなんで、
フランスなどのビンテージものを
集めたショップ、
兵庫県・神戸市にある
J’ai la pêche(ジェ ラ ペシュ)を
ご紹介します。

2024.9

バイヤーであり、店頭にも立つスタッフの細川裕生さん。現地でのエピソードも豊富。

港町のビルの一角、
フランスのビンテージものを
集めた店で

港町の風情が漂うエリアに2023年12月にオープンした店。中に入ると広々したスペースに、ビンテージの洋服や小物、陶器やガラス、ラグ、リネン、雑貨などがずらりと並んで興味をそそります。

「フランスをはじめ、ヨーロッパ各地で自分たちで買い付けたものを置いています。現地の洋服や雑貨を実際に手に取っていただいて、その国だったり、歴史や文化だったりを、ものを通して知っていただけたら」とスタッフの細川裕生さん。

ビンテージというと、一般的に30年などの一定期間がたったもので、100年を超えるとアンティークと呼ばれるのだそう。「店では、たとえば洋服なら1900年代から2000年代のものを扱っていますが、ものによってさまざまです」

通りに面したビルの1階角にある。エントランスから思いがけないものに出合えそうなワクワク感が漂う。

洋服や雑貨が並ぶ店内。什器もビンテージの家具を使い、心地よい空間に。

店内にあるものは、いずれもスタッフが現地で買い付けたもの。「フランス以外にもベルギーやオランダ、ドイツなどさまざまな国で買い付けます。たとえばフランスの蚤の市に行くといっても、どこの市に行けばいいのか?となるので、そこは調べたり聞いたりして独自のルートで探し続けています」

もの選びの基準となるのは、年代にこだわらず、素材や状態の良いもの。長く使えるものを厳選しているそう。「常にワクワクできるもの、新しいものをアンテナを張りながら探している感じですね。買い付けたものは時間をかけてダメージチェックをして、日本に入れてからも精査してから置いています」

良質のビンテージはきれいで、古くささを感じさせないものばかり。「洋服でも家具でも、ヨーロッパのビンテージは温かみがあるなと思います。理由としては手作業でつくられることが多いこと。もちろん機械もあるんですが、どこか手が加わっていることが多い。そうしたハンドメイドの良さも残っていて、長く使えば、さらに風合いが良くなっていくところが魅力の一つですね」

暮らしのなかで年を重ねた
シンプルで優しさのあるものたち

日常使いしたいうつわたち
日常使いしたいうつわたち

暮らしにまつわるものとしてまず目を引くのが陶器のうつわです。シンプルな皿や小皿、カップ&ソーサー、さらに、何を入れていたんだろう?と想像してしまう入れ物や存在感のある大皿、什器の引き出しのなかには大ぶりのカトラリーも。

手に取って眺めていると、ヨーロッパの田舎町にある家のキッチンが思い浮かぶよう…。ぬくもりのある、日々の食卓を感じさせるセレクトに惹かれます。

「陶器はフランス以外にイタリア、ベルギー、ドイツ、ポルトガルなどから。特殊なものというよりは、取り入れやすいものを選んでいます。上質のもの、基本的にきちんと刻印のあるものを探します」

使いやすいシンプルな皿。左上から時計回りにイタリア、オランダ、オーストリアのもの、各2,500円、皿の下のクロス1,900円。

大皿7,900円、花柄の皿1,900円、小皿各1,000円、レースの敷物1,500円。

うつわ以外にも、ビンテージを含めたさまざまな形のガラスやエキゾチックなラグ、ベッド用のリネン、手編みのクロスなども。店内を見渡すと、洋服ラックの上に木彫りの動物が並んでいたり、使い込まれたスツールやドアノブ、描きかけのスケッチ画が置かれていたり。宝探しをするように隅々まで見たくなります。

ガラスが並ぶコーナー。「1940年代や1950年代のものも。ヴァル サン ランベールのクリスタルガラスは希少だと思いますよ」。ほかにイタリアの土産物の定番、スノードームなども。

部屋のアクセントになりそうなカラフルなラグは手織りのものを厳選。「ラグは一気に集まることがないので少しずつそろえています」

蚤の市気分で探すのが楽しい!

ビンテージの洋服も。
唯一無二の魅力に触れてみる

店内の多くを占めるのがビンテージの洋服。特に制服や作業着などのワークウエアやカラフルな民族衣装も豊富にそろいます。

「フランスをはじめヨーロッパには一つのものを長く使うという感覚が根づいていて、長く大事に使う。ダメージ箇所はリペアしますし、ダーニングなどが伝統的な直し方ですね。そうしたリペアした部分もデザインのように美しいんです」

「たとえば昔の織機はいい意味で生地に粗さが出るので、使い込むと独特の風合いになっていきます。そうした新品にはない風合いに、前の持ち主のくせだったり、ゆがみみたいのものがあって、唯一無二のものになる、そこがビンテージの魅力じゃないかなと思いますね」

ほかにもTシャツや季節に合わせたアイテム、さらにスカーフやバッグ、靴なども。「ビンテージに慣れていないという方はデニムのパンツなどが取り入れやすいのでおすすめです」

美しいリペアが特徴的なワークウエア。(左)フランスのモールスキンワークジャケット。袖の継ぎも丁寧に施されている。ジャケット17,900円。(右)1920〜30年代のアンティークものも!手縫いのボタンホール、インディゴリネンの継ぎも素敵。インディゴリネンスモッグ79,900円。

自転車用ツーリングウエア12,900円。「ツーリングウエアは半袖のハーフジップが多いんですが、これは珍しいタイプ」。後ろのポケットにも注目。

店ではバイヤー自らが店頭に立ち、接客するのも特徴。話を聞いていると、自然と思い入れも生まれてきそう。「現地でのエピソード、商品が見つかったときの感動や興奮をそのままの熱量でお届けすることができるよう心がけています」

場所や時代を超えて巡り合う喜び、ヨーロッパのビンテージものを扱うショップでそんな出合いを楽しんでみてはいかがでしょうか。

年月を重ねてきたものを傍らに
新しい日常風景を

ビンテージに慣れていない方は、何か一つ雑貨を選んでみては?と提案する細川さん。選んでみたものが引き立つように、少しずつ周りも変えていくことで好きなビンテージがわかってくる、とも。

「選んだ一つのものに対しての意識から、周りへと意識を広げていくと、自然と暮らしに溶け込んでいって楽しくなると思います。その最初のきっかけになれたらうれしいですね」

窓に貼られているのはフランスの出版社シャルリエブドの漫画家による風刺画の下絵。

J’ai la pêche(ジェ ラ ペシュ)

兵庫県神戸市中央区栄町通5ー2-15
tel. 078-977-7235
11:00~19:00 水曜休み
Instagram @jai.la.peche

※表示価格は消費税込み2024年8月現在。

前号はこちらから

昭和の型板ガラスを繊細な柄を生かした皿に

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