アメリカ時間の2018年5月8日にAmazon社より発表された。
Amazonエクスペリエンスセンター(英語ページ)
アメリカ最大の住宅建築業者であるLENNAR社と組んで
全米各地に15ほどのアレクサ搭載のショールームを建築、一般公開したのです。
これから家を購入する人向けのショールーム
前回紹介したAmazonスマートホームコンサルテーションサービスは既存のホームオーナー向けで、今回発表されたAmazonエクスペリエンスセンターは、これから家を購入する人向けのサービスです。そのエクスペリエンスセンターと名付けたショールームは、誰でも予約なしで営業時間内にいつでも遊びに行けるようになっています。LENNAR社本社があるフロリダ州に5つ、カリフォルニア州に2つ、テキサス州に2つ、ネバダ州、サウスカロライナ州などを始め、Amazon本社があるワシントン州にも1つショールームが公開されています。
今回は、その15箇所に一斉公開されたショールームの中でもフラッグシップと位置付けられている家の一つ、フロリダ州にあるSatori Executive Estates(英語ページ)にさっそく訪問してきました。
いろいろな視点で体験できる
このショールームに搭載されているスマートホーム機能は以下の通りとなっています。
- Amazon Echo
- ビデオドアベル
- スマート掃除機
- スマートライト
- スマート温度計
- スマートスプリンクラー
- スマートロック
- スマートカメラ
- スマートオーディオ
- エンターテインメント(映画など)
- スマートシェード(ブラインド)
- Fire TV
- Amazon Dash Button
- EV車用チャージャー
ショールームに行くと、まずはLENNAR社の社員がドアを開けて挨拶をしてくれました。そして次に奥からAmazonの社員が登場。不動産を販売する営業の人だけでなく、Amazonの社員が細かくデバイスの説明をしてくれるので、訪問した人もいろいろな視点で体験できる利点があります。そして、家のいろいろな場所に、『アレクサにこう言ってみてください』という張り紙がしてあります。
例えば、スマートシェードはこんな感じです。アレクサに『シェード下げて(上げて)』というと自動的にカーテンが降りるところを自分で体験できます。
スマートドアベルのリングが設置されている壁。『アレクサに玄関見せて、と言ってみてください』と書いてあります。
Dash Buttonの使い方に関しても丁寧に説明してくれます。これは、家のちょっとした押し入れにペーパータオルなどの切れたら困るものを保管してあるところです。各棚にDash Buttonを置いておけば、もうすぐ無くなりそうだな、と思ったそのときにボタンを押して注文できる、というわけです。
また、面白い点が、全てのLENNAR社の建築する家はWi-Fi認定ホームとなっており、家のどこにいてもインターネットのコネクションが最適になるように保証されていると書いてありました。かなりスマートホーム化に力を入れているように見受けられます。また、Amazonプライム会員だとスマートホームの体験がさらによくなると書かれています。(実際にAmazon EchoやFire TVを使って音楽や映画を流すときにプライム会員でないとアクセスできないコンテンツもあるのでこれはその通りだと思います)このようにして、プライム会員とAmazon Echoの相乗効果を狙っているところも見受けられます。
全てのショールームに下記のブレーカーキットのような電気機器コントロールパネルボックスが設置されています。ここにスマートホーム関連のコントローラーが全て綺麗に収まり、一元管理できるというわけです。家を購入した後に、Amazonの電気工事技術者がこのコントローラーの設計をしてくれるそうです。
LENNAR社の建築するWi-Fi認定ホームの紹介パネル。
スマートホーム関連のコントローラーを一元管理。
スマートホーム対応がビルトインでなされているか
今回の訪問では、消費者が好きなように家の中をツアーしてアレクサを使って遊べるというカジュアルな体験を提供していました。誰でも遊びにいけるショールームを展開することで、家を購入するその瞬間からアレクサを使えるようにするという戦略です。このアプローチはAmazon以外にも、AppleやGoogleも行っており、例えばAppleの場合同じく全米大手の住宅ビルダーであるBrookfield Residential社と組んでApple HomeKit搭載型の家を標準として販売していくことを発表しています。
Brookfield Residential社がHomeKit搭載型の家を標準として販売することを発表(英語ページ)
私の世代も一般的に言われる住宅購入世代です。周りの友人にも購入をしている友人や投資目的に数件家を購入している人もいます。そんなときに、場所や値段だけではなく、どれだけスマートホーム対応がビルトインでなされているかという要素が今後住宅購入の決め手となるのかもしれません。
鍵を持たなくても指先で車の鍵が開けられる技術が当たり前になったように、スマートホーム機能が当たり前に搭載されている家を購入する日もそう遠くない未来に訪れそうです。消費者としては、自分で家を購入した後に電気工事などを手配するよりも、全てがパッケージになっている方がありがたい、というところでしょう。
※イメージ
パロアルトインサイトCEO・AIビジネスデザイナー
石角友愛さん Tomoe Ishizumi
パロアルトインサイトCEO 兼 AIビジネスデザイナー。
2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのGoogle本社で多数のAIプロジェクトをリードする。後にHRテックベンチャーの立ち上げや流通系AIベンチャーを経て2017年パロアルトインサイトを起業。日本企業に対してシリコンバレー発のAI戦略提案からAI実装まで一貫した支援を提供する。新著に「いまこそ知りたいAIビジネス」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)があり、プログラミング教育、ギフテッド教育、留学などについての出版も5冊あり。
現在、AI&ビジネス、シリコンバレーとIT企業、新しい働き方、女性の社会進出論などでの言論活動を積極的に行う。毎日新聞「経済観測」コラムニストであり、日経クロストレンドコメンテーター、日経xwoman(クロスウーマン)アンバサダー、NewsPicksのプロピッカーなども務め、ビジネスインサイダージャパンとマネー現代で寄稿連載中。
※2018年6月現在の情報となります。