都市の一戸建ては、敷地がタイトで隣家が迫っている分、窮屈になりがち…。
大阪府の住宅街に立つSさま邸は、2階にリビングを設け、広がりのある住まいを実現しました。
「ホテルライクなインテリアに囲まれてスタイリッシュに暮らしたい」という思いを叶えたSさま邸が素敵な理由とは?
都市型住宅で押さえておきたいポイントを人気インテリアコーディネーターの荒井詩万さんが解説します。
大阪の閑静な住宅街に一戸建てを構えることにしたSさん夫妻。住宅展示場を巡るなかで、「地震に強い鉄骨造」と「天井の高い大空間」に引かれ、ダイワハウスに夢を託しました。「とにかくリビングを広く」と、ふたりが優先したのは愛犬と共にくつろぎ、友人を招くことのできるLDKでした。1階は個室と収納、2階に約21帖の広々としたLDKを配置。インテリアは、妻の真衣さんがセレクトしたグレーとベージュの中間色の“グレージュ”を基調に品よくまとめられています。
階段を上がると、目の前に広がる約21帖のLDK。天井高を2m72cmとることで、のびやかな一室空間に仕上げています。一方で、テレビボードを兼ねた間仕切り壁は高さを抑え、リビングの裏側にジュエリーデザイナーの真衣さんと夫の翔伍さん共用のワークスペースを確保。この家の魅力について、荒井さんはこう語ります。
「2階のLDKは明るく、天井が高いから視線も抜けて、実際の空間以上の広がりを感じますね!廊下を設けないムダを省いたプランも納得です。天井が高い故の開放感やLDK全体の一体感はありつつ、空間を緩やかに仕切る壁がある。
たとえ別の場所にいても、家族の気配が感じられますよね。2m72cmと天井高が十分にあるので、ダイニングテーブルにドウダンツツジをあしらっても圧迫感がなく、部屋全体のポイントとして映えます」。
LDKを華やかな印象に引き立たせているのがオープンキッチン。「友人がよく遊びに来るので、アイランド型の“魅せるキッチン”にしたかったんです」と真衣さん。キッチンの天井をあえて下げたことで、この一室空間にメリハリがつきました。見せ場となるキッチン背面の壁には、繊細なテクスチャーが上質な印象を生むベージュ系のタイルをセレクト。この壁の奥には、冷蔵庫や家電、保存食品を収めるパントリー(食品庫)を確保しています。
「オープンキッチンは生活感が出がちですが、パントリーをつくったことでホテルライクなイメージになりましたね。また、キッチンの壁だけタイルで質感を変えたことが効果的なアクセントに。横に伸びるニッチ(飾り棚)と相まって、ラグジュアリーな印象をもたらしています」。
「広い庭をとれなかったので、ベッドルームとリビングの2カ所にテラスをつくってもらいました」と真衣さん。塀でプライバシーは守りつつ、光と風を感じられる都市型の屋外空間はとても快適だそう。
犬を連れた友人が訪れたときは、愛犬のレアちゃんと一緒に遊んだり、ワインと共に夕涼みをしたり。自然の要素と切り離されがちな都市生活こそ、こうした屋外空間が大切と荒井さんも語ります。
「屋外リビングという中間領域があると、内と外が分断せず自然につながります。部屋がそのまま外に拡張するイメージ。たとえ広いスペースでなくても、サイドテーブルとチェアを置くだけで、屋外にくつろぐ場ができます。Sさま邸のように寝室、または浴室と隣接するようにテラスを設けるプランの場合、部屋の広がり感が増して、プラスアルファで使えるスペースができる点も魅力です」。
広々としたLDKで、荒井さんが着目したのはスリット状の開口部です。「この窓が“3つ連続する”というのがポイントでしょうね。3連の窓により空間にリズムや動きが生まれますから」。
さらに、LDKにたどり着くまでのシークエンスで相乗効果が。「階段ホールは黒い踏み板で壁紙もダークな色。2階に上がってきたときに白いリビングの開放感が際立ちます。そのコントラストが、広くてキレイな空間だなという印象につながるんですね」。高い吹き抜けの階段ホールは、夫の翔伍さんもお気に入り。「夜はシャボン玉のような照明の模様が壁にうつるんです」と真衣さん。昼と夜で違った表情を見せる空間で、光と影のグラデーションを楽しんでいます。
ホテルライクな空間を目指すなかで、最もこだわったのが色選びだったそう。
「“グレージュ”がベース。クールな感じにしたかったので、キッチンやニッチ、テレビボードに濃い色を加えました」と真衣さん。この方向性に荒井さんも感心しきり。「全体のカラースキームが、イエロー系のグレー&ベージュで整えてあって、クールかつやわらかな印象なんですね。白い壁が基調の開放的なLDKをキッチンの黒い面材と壁タイルが引き締めています。あとは、質感。床や壁、家具もマットな仕上げで統一されているところに、コンクリート風の質感をリビングボードなどポイントに取り入れている。トータルで上品にまとまっています」。
モノトーンベースのリビングのソファには、スモーキーなブルーのクッションを差し色として加え、全体のトーンになじませながら動きを出しています。
光や風を感じ、空とつながる2階リビング。こうしたプランは都市に家を建てる上で賢い選択と言えます。Sさん夫妻の場合、約130m²の敷地に2台分の駐車スペースを希望し、物理的にも広い空間がとれる2階にLDKを配置することに。ダイワハウスのxevoΣは、2階リビングでも天井高2m72cmのゆとりある空間を確保できることも決め手だったそう。
ハウジングマイスター・吉川 慶氏は、プランについてこう語ります。「都市型住宅では、2階リビングのほうが広くてプライバシーの守られた居心地よい空間になります。ただし、動線となる階段は退屈しない仕掛けが必要。Sさま邸では吹き抜けの階段とし、幅もゆったりとつくり、シークエンスでLDKへの期待感が高まる“もてなしの場”にしました」。
天井高が2m72cmあるLDKには、実面積以上の広がり感を出すための工夫が多く隠されています。そのひとつが低く設けたキッチンの天井高。「単に“抜けのある広い空間”にするのではなく、重心が低く落ち着ける場にしたかったのです。光の明暗と同様、狭いところがあるから、広がりを感じられる。リビングからキッチンを見たときに、天井が低いことで焦点が明確になり、より奥行きのある空間に感じるわけです」と吉川氏。キッチン右手に続く、洗面コーナー側に立てた壁にも意図があるそう。「壁の先に空間が続いているように感じさせる。行き止まりに思わせないということですね」。都市型住宅や2階リビングのある注文住宅を数多く手がける吉川氏の知見や手法を駆使して、広がりと抜けを感じられるLDKが実現しました。
人気ジュエリーデザイナーである妻の真衣さん(instagram:@CANAL.Accessory)がこだわったホテルライクなインテリアも、のびやかな空間に一役買っています。荒井さんの解説にあるように、グレージュで統一感をもたせつつ黒や石調の質感を効かせ、洗練された住宅に仕上げています。余分な要素を排し、すっきりとまとめたことが、広がりをもたらしているのでしょう。
こうした理想の住まいを実現できたのは、夫妻の求めるイメージが明確にあったから。「吉川さんにスクラップ本を見てもらいながらの打ち合わせが、毎回本当に楽しくて。ダイワハウスでオーダーメイドしてよかったです。家への思い入れも深まりました。これからもっと理想の家を追求していきたいです」と真衣さん。心地よく暮らせて人を招きたくなる住まいづくりは、さらに進化していきそうです。
光や風を感じ、空とつながる2階リビング。こうしたプランは都市に家を建てる上で賢い選択と言えます。Sさん夫妻の場合、約130m²の敷地に2台分の駐車スペースを希望し、物理的にも広い空間がとれる2階にLDKを配置することに。ダイワハウスのxevoΣは、2階リビングでも天井高2m72cmのゆとりある空間を確保できることも決め手だったそう。
ハウジングマイスター・吉川 慶氏は、プランについてこう語ります。「都市型住宅では、2階リビングのほうが広くてプライバシーの守られた居心地よい空間になります。ただし、動線となる階段は退屈しない仕掛けが必要。Sさま邸では吹き抜けの階段とし、幅もゆったりとつくり、シークエンスでLDKへの期待感が高まる“もてなしの場”にしました」。
天井高が2m72cmあるLDKには、実面積以上の広がり感を出すための工夫が多く隠されています。そのひとつが低く設けたキッチンの天井高。「単に“抜けのある広い空間”にするのではなく、重心が低く落ち着ける場にしたかったのです。光の明暗と同様、狭いところがあるから、広がりを感じられる。リビングからキッチンを見たときに、天井が低いことで焦点が明確になり、より奥行きのある空間に感じるわけです」と吉川氏。キッチン右手に続く、洗面コーナー側に立てた壁にも意図があるそう。「壁の先に空間が続いているように感じさせる。行き止まりに思わせないということですね」。都市型住宅や2階リビングのある注文住宅を数多く手がける吉川氏の知見や手法を駆使して、広がりと抜けを感じられるLDKが実現しました。
人気ジュエリーデザイナーである妻の真衣さん(instagram:@CANAL.Accessory)がこだわったホテルライクなインテリアも、のびやかな空間に一役買っています。荒井さんの解説にあるように、グレージュで統一感をもたせつつ黒や石調の質感を効かせ、洗練された住宅に仕上げています。余分な要素を排し、すっきりとまとめたことが、広がりをもたらしているのでしょう。
こうした理想の住まいを実現できたのは、夫妻の求めるイメージが明確にあったから。「吉川さんにスクラップ本を見てもらいながらの打ち合わせが、毎回本当に楽しくて。ダイワハウスでオーダーメイドしてよかったです。家への思い入れも深まりました。これからもっと理想の家を追求していきたいです」と真衣さん。心地よく暮らせて人を招きたくなる住まいづくりは、さらに進化していきそうです。
住宅DATA
大阪府Sさま邸
- 商品名:xevoΣ(ジーヴォシグマ)
- 敷地面積:130.22m²(39.39坪)
- 床面積:1階 52.99m²(16.02坪)
2階 57.90m²(17.51坪) - 合計 110.89m²(33.54坪)
- ご入居時期:2018年4月
- 設計担当:吉川 慶(ハウジングマイスター)
上質な住まいづくりをかなえるハウジングマイスター(ダイワハウス社内認定)の資格を持つ設計士が、お客さまの夢やご希望をカタチにしました。
[ダイニングテーブル上]
- ガラスのフラワーベース¥11,200 /
- ティーカップ&ソーサー〈マーブル〉各¥14,000 /
- ホワイトのカップ各¥1,850 /
- ソーサー各¥1,200 /
- プレート Φ21㎝〈マーブル〉各¥8,300 /
- ナプキン各¥3,600 /
- ナプキンリング各¥1,900 /
- ティースプーン各¥950 /
- デザートフォーク各¥1,600 /
- ランチョンマット各¥2,500 /
- 2段スタンドに入れたプレート Φ23.5㎝各¥2,600
[キッチン]
- フルーツを入れたボウル Φ28㎝ ¥6,000 /
- ニッチに飾ったオブジェ〈大〉¥12,000 /
- 〈小〉¥6,500 /
- キャンドルホルダー¥5,000
[テラス]
- ガラスのボウル¥7,500 /
- キャンドルホルダー¥3,500 /
- クッションカバー¥7,000
[ソファ上]
- クッションカバー〈ストライプ〉¥38,100 /
- 〈グレー〉¥12,500 /
- 〈ネイビー〉¥12,000 /
- 〈ブラック〉¥13,000 /
- スロー¥20,860
(すべてリビング・モティーフ TEL 03-3587-2784)
[STAFF]
- photo:Kenji Masunaga
- Text:Hiroko Miyazaki
- 荒井 詩万
- インテリアコーディネーター
- 日本女子大学家政学部卒。設計事務所にて秘書として勤務。「町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー」卒業後、フリーのインテリアコーディネーターに。「CHIC INTERIOR PLANNING」主宰。戸建住宅やマンションのインテリアコーディネート・リノベーション、各セミナー講師、雑誌の企画・監修やスタイリング、テレビ出演などインテリアに関するさまざまな仕事を手がける。著書『今あるもので「あか抜けた」部屋になる。』(サンクチュアリ出版)累計発行部数1万6千部!