最近、テレビのニュースや新聞・雑誌などで「IoT(アイ・オー・ティー)」という言葉を
よく見かけるようになりました。
言葉の意味をご存じでない方も多いと思いますが、
実はこの「IoT」は私たちの暮らしの未来をインターネットによって大きく変える概念として、
いま世界的に注目されています。まずは、この「IoT」について解説しましょう。
様々なモノがネットに繋がることで生まれる、新しい便利
「IoT」は、「Internet of Things」の略。直訳すると「モノのインターネット」と呼ばれますが、これだけでは意味はわかりません。これはいったいどういうことでしょう。
私たちにとってインターネットを使う環境と言えば、パソコンやスマートフォン・携帯電話をイメージする方がほとんどだと思います。ウェブサイトを閲覧したり、メールやLINEのメッセージを送受信したりするために、日常的にインターネットを使っている方も多いのではないでしょうか。
これに対して「IoT」は、家電や自動車、産業用機械など、これまでインターネットに繋がっていなかった様々なモノをネットに繋いで、様々な新しい便利を実現しようという考え方です。すでにビジネスの世界では、製造業、物流業、農業など様々な産業で、この「IoT」を取り入れた新しい工夫がなされ、“新たな産業革命”を生み出していると言われています。
ネットを使った遠隔操作で、面倒な手間や負担を軽減する
では具体的に、「IoT」はどのような新しい便利を実現しているのでしょうか。ここでは農業を例にとってみましょう。
農家に携わる人にとって、これからの寒い時期は農作物を育てているビニールハウスの温度・湿度管理は重要な仕事です。毎日、農家の方はハウスを1軒ずつ回って温度湿度計を何度もチェックしており、必要に応じてハウス内の温度や湿度を微調整します。農家の方にとってはこれが身体的に大きな負担になるのです。農家の方は高齢化が進んでおり、こうした負担の軽減は農業の未来にとって大きな課題です。
ここで、この温度湿度計や空調設備がインターネットに繋がったらどうでしょうか。数多くのハウスの温度・湿度の情報はリアルタイムに集計されて、インターネットを通じて農家の方が持つパソコンやスマートフォンで閲覧できます。わざわざ全部回らなくても、自宅にいながらビニールハウスの状況を把握し、急な変化にも遠隔で空調設備を操作して対応できるようになるのです。これにより、農家の方がビニールハウスを巡回する回数を減らすことができ、身体への負担は大きく軽減できることでしょう。
このように、モノがインターネットに繋がることで、状況の把握や様々な操作を遠隔で行うことが可能になり、面倒な手間を大きく省くことができるのが、「IoT」がもたらす大きな価値だということができるでしょう。
「IoT」で、私たちの生活をもっと便利に、安全に
この「IoT」は、私たちの生活や社会の安全にも次々と導入されており、新しい便利や安心・安全を生み出しています。
例えば、国の防災科学技術研究所とNTTドコモが共同研究している取り組みでは、地滑りのリスクが高い山などに観測用の杭を打ち、その杭をネットに繋ぎます。それによって、地面の動きを観測してネットを介してリアルタイムにレポートし、変化があった際にすぐに察知できるようにする防災システムの実現を目指しています。
また身近なところでは、子どもの見守りサービス。子どものランドセルに送受信機を取り付けて、登下校時に学校の校門などに取り付けたセンサーを通過するとネット上に情報が送られ、保護者に「子どもが学校に着きました」「子どもが学校を出ました」という通知メールが届くようなサービスは、様々な地域に導入されてきています。
また最近では、家電をネットに繋いだ「スマート家電」や家のカギや窓をネットに繋いだ「スマートロック」も登場。例えばエアコンや部屋のランプがネットに繋がることで、「寒いから帰る前に暖房をつけておこう」「暗くなってきたから防犯のために部屋の明かりをつけておこう」といった操作を外出先でスマートフォンから簡単に行うことができるようになります。
そして最近注目されているのは、部屋の中でリモコンを使わなくても家電の操作ができる「スマートスピーカー」の登場です。 Googleの「Google Home」、アマゾンの「Amazon Echo」、LINEの「WAVE」などが相次いで発表され、注目されています。
スマートスピーカーは、居住者の音声を認識してネットに繋がった様々な家電を声だけで操作できるようになります。家電を操作するためにリモコンを探したり、スイッチを操作するために部屋の中を移動する手間を省くことができるのです。
IoTが私たちの生活の中に浸透することで、様々な手間が省けたり、新たな便利が生まれたり、これまで以上の安全・安心を手に入れることができます。これから拡がる「暮らしの中のIoT」が私たちの生活をどう変えていくのか、注目してみてはいかがでしょうか。
※2017年11月現在の情報となります。